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2025年06月14日
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ビネー式知能検査
ビネーによって開発され,シュテルンの考案した知能指数の概念を取り入れ,ターマンによって修正・実用化された知能検査
標準問題
各年齢群の児童の50~70%が正解できる項目
精神年齢
検査から導き出した子どもの現在の発達レベルに相当する年齢
生活年齢
実年齢
知能指数(IQ)
平均的な発達をしている人と比べて,対象となる子どもの能力や発達レベルがどの程度にあるかを知る指標
;シュテルンによって考案され,精神年齢÷生活年齢×100で算出
ビネー式知能検査の欠点
・児童のみを主な対象としている点(成人以降は意味をなさない)
・全般的な知能発達度はわかるが,知的能力ごとの違いはわからない点
概観的知能検査
ビネー式知能検査において,全般的な知能発達度はわかるが,知的能力ごとの違いはわからないという特徴
田中ビネーV
日本で一般的に用いられているビネー式検査の最新版
田中ビネーVの利点
・成人以降には偏差知能指数を採用
・全般的な知的能力だけでなく領域ごとの評価も導入
偏差知能指数(DIQ)
平均的な知的能力と比較してどの程度の知的能力を持っているか
知的発達症(知的発達障害)
IQ70以下の場合に疑われ,適応機能に応じて判断される
ウェクスラー式知能検査
ウェクスラーによって発表された知能検査
WPPSI
幼児向け(2歳6ヶ月~7歳3ヶ月)
WISC
児童向け(5歳~16歳11ヶ月)
WAIS
成人向け(16歳~89歳)
WISC-V
言語理解,視空間,流動性推理,ワーキングメモリ,処理速度
偏差知能指数(DIQ)
平均的な知的能力と比較してどの程度の知的能力を持っているか
全検査IQ(FSIQ)
総合的な得点
指標得点
知的能力ごとの得点
ディスクレパンシー
指標得点間に大きなばらつきがある場合
言語性IQ
かつて用いられていたが妥当性が低いという問題があったため,現在では用いられていない
動作性IQ
かつて用いられていたが妥当性が低いという問題があったため,現在では用いられていない
臨床心理士
日本臨床心理士資格認定協会が定めた資格および有資格者のこと
臨床心理査定
面接・観察・心理検査を用いてクライエントの全体像を理解すること
臨床心理面接
査定によって明らかになったクライエントの全体像をもとに,最適な心理療法を検討し,クライエントを援助すること
臨床心理的地域援助
地域社会(学校・職場・家庭など)に働きかけて,心理的問題の予防や安全を図るための活動・実践を行うこと
調査・研究活動
心理検査の開発や心理療法の効果研究などを行う
コンサルテーション
ある心理的問題を援助しようとしている他領域の専門職が効果的に援助できるよう,心理専門職がその専門家を援助すること
コンサルティ
コンサルテーションにおいて援助を受ける側
コンサルタント
コンサルテーションにおいて援助をする側
コンサルテーションの意義
・例えば,教師へのコンサルテーションによって,教師自身が効果的に生徒を援助することが可能になれば,その学校の問題対処能力が高まったことになる
・地域社会の問題対処能力を強化していく役割=臨床心理的地域援助
コンサルテーションにおける注意点
コンサルタントとコンサルティは,専門領域が異なる専門家同士の関係であるため,上下関係ではないこと
リエゾン
複数の専門領域の連携が円滑に進むように活動すること
セルフ・ヘルプ・グループ
【自助グループ】
共通の体験,悩み,障害を持つ人々が自主的に集まり,問題の解決や軽減を目指して活動するグループ(同じ問題や障害を抱えるメンバー同士の交流から自己治癒力を発揮させていく)
エンパワーメント
クライエントが主体的な問題解決ができる力を獲得することを目指し援助すること
アカウンタビリティ
社会に向けた活動報告・説明責任(心理士の地位向上+社会的な役割)
アドボカシー
社会的弱者の権利や意思を,援助者が代弁することで,社会的弱者の権利や意思を守ること
スクールカウンセラー
各中学校に配置され,教師へのコンサルテーションと,生徒・保護者へのカウンセリングを主な業務とする心理職のこと
SCとしての対応
カウンセリング(被害生徒・加害生徒・保護者),コンサルテーション(教師,保護者,学校システム)・他機関との連携,予防啓発的活動(心理教育,広報活動)
守秘義務に対する柔軟性
・通常,相談室外での相談活動は自粛されるべきだが,生徒が自発的に相談室を訪れることは少ないので,偶然すれ違った生徒の相談に乗るなど,柔軟な対応が求められる
チーム内守秘義務
相談で得た生徒情報をスクールカウンセラー個人で抱えるのではなく,教師も含めた学校全体で共有すること(生徒本人の同意をとって・タラソフ判決・守秘義務)
リエゾン
スクールカウンセラーが個人で問題を解決するのではなく,教師や各関係機関のリエゾンによって,効果的な介入を進めていく
いじめ
ある一定の人間関係にある他者から,心理的・物理的な攻撃を受けることで,当該行為の対象となった児童等が苦痛を感じているもの
中1ギャップ
いじめの発生は,中学校入学による環境変化から中学1年生が最も多い
いじめの4層構造
被害者・加害者・観衆・傍観者
観衆
いじめをはやし立てる者たちのこと
傍観者
いじめを見て見ぬふりをする者たちのこと
不登校
何らかの心理的,情緒的,身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあるいはしたくともできない状況にある者
教育機会確保法
無理な復学はせず,フリースクールや教育支援センターなど多様な学習活動を認める
特別支援教育
発達障害児や,聴覚・視覚などの障害を持つ者に対し,学習・生活上の困難を克服し自立を図るために,一人一人の状況に合わせて行われる教育のこと
児童虐待
親あるいは代理の保護者の行為によって,児童の心身が危機にさらされること
身体的虐待
児童に外傷が残る,あるいは残る恐れのある,生命の危機を伴う暴力行為
心理的虐待
児童に対する暴言,拒絶的な反応など,児童に強い不安やうつ状態などを引き起こさせる言動
;子どもの目の前で家族や配偶者に暴力を振るうこと(面前DV)も含まれる
性的虐待
児童にわいせつな行為をすること,またはさせること
ネグレクト
児童の心身の発達を損なう衣食住環境や医療環境を,長時間放置しておくこと。保護者としての責務を放置している状態
児童虐待の原因
原因は一つではなくて,複合的
;親の問題,子どもの問題,家族関係,社会的孤立,世代間伝達
世代間伝達
児童の頃虐待を受けると,親になった時に自分の子どもに虐待をしてしまう可能性があること
通告義務
虐待を受けたと思われる児童を発見した場合には児童相談所への通告義務があり,これは守秘義務より優先されることが児童虐待禁止法に規定されている
愛着障害
乳幼児期に虐待・養育者のはく奪や度重なる交代など(マルトリートメント)に由来する症状
反応性アタッチメント症
養育者からの支援を求めなかったり,反応しなかったりする
脱抑制型対人交流症
初対面の大人に警戒感なく過度に馴れ馴れしい態度をとる
マルトリートメント
虐待・養育者のはく奪や度重なる交代など,極端に不遇な養育
DV(ドメスティックバイオレンス)
配偶者への暴力
家庭内暴力
子どもから親への暴力
共依存
過度に保護的な人物にパートナーが依存するだけでなく,保護的な人物が「パートナーに必要とされている」という状況に依存する状態
スーパービジョン
心理専門職がその専門性の向上のために,経験を多く積んだ心理専門職に指導・助言を受けること
スーパーバイジー
指導を受ける側
スーパーバイザー
指導をする側
スーパービジョンの目的
・専門性の向上
・心理専門職自身の精神的安定を図る
心理専門職自身の精神的安定を図ることの効果
・心理専門職のバーンアウトを防ぐ
・クライエントの立場を追体験する
エンカウンター・グループ
ロジャースのクライエント中心療法の訓練過程として開発したグループ体験
;参加者間の自由な感情の交流によって新たな自分への気づきを得る
教育分析
精神分析の訓練過程において自らがクライエントとなって精神分析を受けること
;逆転移を防ぐために分析家自身の内的葛藤を事前に解決しておく
マイクロカウンセリング
アイヴィの開発した,カウンセリング技法とその訓練プログラム
;はげまし,閉ざされた質問,開かれた質問,感情の反映といった技法がある
はげまし
クライエントの話に適切なタイミングで相槌を打ったり,続きをうながしたりする
閉ざされた質問
はい,いいえで答えられるため,緊張が強いクライエントでも答えやすい
開かれた質問
自由回答
感情の反映
クライエントが話さないように表現されている感情表現に援助者が気づき,それを反射して返すことで,クライエントの自己理解を援助する
フロイト
精神分析学者
局所論
人の精神は,意識,前意識,無意識の3つの領域から構成されているとする理論
意識
記憶や感情,思考や認知など心の現象として体験できる領域であり,自身でコントロールすることが可能
前意識
普段は意識にはないが,思い出そうと注意を向ければ意識に思い出せる領域
無意識
心の現象として経験できず,自身でコントロールできない領域であり,思い出そうとしても思い出せない
抑圧
心的外傷(トラウマ)を意識からしめ出し,無意識に閉じ込めること。抑圧された心的外傷はコントロールできなくなり,不適応行動を引き起こす(=ヒステリー(神経症)の原因)
構造論
人のパーソナリティは,イド・自我・超自我の3つで構成されているとする理論
イド
リビドーが備蓄されていており,快楽原則に基づいて活動
超自我
親や社会によって形成された価値観・倫理観に基づいてイドを監視・検閲し,道徳原則に基づいて,行動の善悪を判断
自我
現実原則に基づいて,イドと超自我をうまく調節する役割
リビドー
人間の生命エネルギー・性的エネルギー
エディプス・コンプレックス
フロイトの心理性的発達理論における4~6歳の男根期の心理的葛藤
;自分の性を意識し始めた幼児は,異性の親に性愛感情を抱き,同性の親に敵意を抱くように
__最終的に,異性の親への性愛と同性の親への敵意を抑圧することで終結
去勢不安
同性の親の報復として,男性の象徴であるペニスを奪われると考えること
エディプスコンプレックスによって
獲得するもの
超自我の形成と性役割の獲得
超自我の形成
「母親への性愛は実現してはならない」と思うようになり世界に道徳や規律があることを知る
=道徳原則に基づく超自我が形成
性役割の獲得
父親への同一視により,男らしさ,男性的な価値観・態度といった性役割が獲得される
エクストラ・コンプレックス
女児の心理的葛藤(ユング;女児は去勢不安を感じないから)
防衛機制
不快な欲求・体験から自我を守るさまざまな手段
抑圧
不快な欲求や体験を無意識におさえこむこと
アンナ・フロイト
フロイトの娘で精神分析家でもある:抑圧以外のさまざまな防衛機制を体系化
反動形成
抑圧した欲望や想いが言動として現れるのを防ぐために,正反対の言動をとること
投影(投射)
自分の受け入れがたい感情や考えを,他者が自分に向けてきた感情・考えと捉えること
同一化(同一視)
受け入れがたい現実やかなえられない現実を満たすために,誰かのまねをすること
合理化
自分の行動に合理的な理由を見つけ出すこと
知性化
不安を起こす感情を意識化しないために,その感情と距離をおいて知的に判断しようとすること
退行
過去のより未成熟な行動様式に戻ること
否認(否定)
不快な現実の知覚を拒否することで,自我を守ること
昇華
社会的に容認されない欲望を,社会的に容認される形で表出すること
補償
劣等感をカバーするために,他の望ましい特性を強調すること(アドラーの概念)
ユング
フロイトの弟子の一人であったが,フロイトが性的な衝動に重点を置きすぎることに反発し,独自の理論を展開した
分析心理学
夢分析を重視したユングの理論
集合的無意識
ユングの分析心理学における中心概念で,人類に時代や場所を超えて共通する普遍的な無意識のこと
元型(アーキタイプ)
集合的無意識に存在する心的イメージ
アニマ
男性の中に存在する女性的性質を持つもの
アニムス
女性の中に存在する男性的性質を持つもの
老賢人
父なるもの,権威・倫理・秩序を表す偉大な存在
グレートマザー
母なるもの,愛情・成長・豊穣を表す慈悲の存在
ペルソナ
仮面。社会に表出している適応的な側面。
シャドウ
影。社会に表出していない否定的な側面。
個人心理学
アドラーによる理論体系;
人は劣等感を感じるが,それを乗り越えていこうとする意思があり,補償が働くと考えた;
人間性心理学の基礎
自我心理学
アンナ・フロイトやエリクソンらの精神分析学派で,自我を中心に人間を理解していこうという流れ;
アンナ・フロイト=防衛機制の体系化
エリクソン=青年期における自我同一性の重要性
対象関係論
クラインの論
自己心理学
コフートらの精神分析学派;特にコフートは自己愛に注目し,独自の理論を展開;
認められたい欲求である映し返しと,理想的な目標に同一化したい欲求である理想化からなる
新フロイト派
社会的・文化的要因を重視した精神学派
;「関与しながらの観察」=サリヴァン
「自由からの逃走」=フロム
対象関係論
最早期の乳児が内的世界に思い浮かべる母親の表象との関係性
クライン
対象関係論を提唱
表象
乳児が内的世界に思い浮かべる母親
妄想分裂ポジション
自分に満足を与えてくれる時には「良い乳房」,自分に満足を与えてくれない時には「悪い乳房」というように,母親の表象が分裂しており統合されていない
;良い乳房には愛情を,悪い乳房には攻撃的な感情を持つ
部分対象
母親の表象が分裂しており統合されていない状態のこと
抑うつポジション
良い乳房も悪い乳房も同じ母親であると理解し,部分対象が統合され全体対象となる
:攻撃的な感情を向けていた悪い乳房も,愛する母親であったことを知り,罪悪感から抑うつ的な気分に至る+完全な良い乳房が失われたことによる喪失感や,見捨てられ不安を抱く
原始的防衛機制
乳児が用いる未熟な防衛機制。原始的防衛機制を使い続けると,境界性パーソナリティ障害など不適応になる可能性がある。
分裂
良い乳房と悪い乳房のように部分対象に分けることで,対象の持つ両価的特徴を避ける
投影性同一視
分裂させた部分対象に自分の悪い部分を投影し,その悪い部分を対象が持っているかのように振る舞う
アンナ・フロイトの主張
男根期以前の乳児は親との対象関係が構築されておらず,精神分析的解釈は意味をなさない
クラインの主張
男根期以前の乳児も母親との対象関係を構築する力があると考え,精神分析的解釈が可能と考える;児童分析の有効性
インテーク面接
相談機関にやってきたクライエントに対して行う初回面接
受理面接
インテーク面接の別名;クライエントを受理するか判断するため
インテーク面接の目的
?主訴の確認とリファーの判断
?ラポールの形成
主訴
クライエントが何を求めて相談機関にやってきたのか
(「困っていることは何か」だけでなく「どうなりたいか」も確認し,面接の目標を共有)
インフォームド・コンセント
援助方針をわかりやすく伝え,同意を得た上で契約を結ぶといった説明と同意のこと
リファー
援助が困難である場合に,他の適切な治療機関にクライエントを紹介すること
ラポール
援助者とクライエントの信頼関係
二重の不安
?自身の問題に対する不安
?相談機関に対する不安
援助者に求められる姿勢
清潔な身だしなみと安心できる雰囲気で,クライエントを尊重し,共感的に傾聴する姿勢
リファーの注意点
冷静な態度でリファーを行うと,クライエントは見捨てられたと思う可能性がある
アセスメント(査定)
面接・観察・心理検査を用いてクライエントの全体像を理解する作業
医学的な判断と臨床心理学的なアセスメントの違い
医学的な診断は,病気の原因となる患部を発見することに重点を置くが,臨床心理学的なアセスメントでは,クライエントのパーソナリティ・能力・生活環境など,問題点に限らず健康的な面も含めて,全体像を把握することに重点を置くこと
面接法
言語的・非言語的やりとりから,クライエントを理解しようとする
構造化面接
あらかじめ質問内容を設定しておく
非構造化面接
あらかじめ質問内容を設定しない
半構造化面接
設定するが面接者の裁量で柔軟に質問内容や順番を変更することができる
観察法
表情や態度からクライエントを理解しようとする
自然観察法
ありのままの対象の姿を観察する
実験的観察法
観察者が意図的に設定した場面に対してどう行動するかを観察する
関与しながらの観察
新フロイト派のサリヴァンによる,関与と観察の不可分性を指したもの
関与と観察の不可分性
セラピストが自らの存在を道具としてクライエントと関わり,クライエントとの関係性を手がかりにクライエントの理解を深め,次の関わりを紡ぎ出していくこと
心理検査法
性格検査や知能検査
性格検査
質問紙法,投影法,作業検査法に分類される
知能検査
個別式知能検査と集団式知能検査がある
個別式知能検査
ビネー式知能検査・ウェクスラー式知能検査・KABC・ITPA・DAM(グットイナフ人物知能検査)
集団式知能検査
陸軍心理検査/アーミーメンタルテスト(AMT:Army Mental Test)・田中A式・B式知能検査
;学習障害や発達の遅れのスクリーニングとして使う
症状評価尺度
抑うつや不安などの精神症状の評価を行う
神経心理学的検査
記憶や言語,注意などの認知能力の評価を行う
発達検査
子どもの心身の発達の程度を評価する
テストバッテリー
一つの心理検査ではパーソナリティの一側面しかわからないため,複数の心理検査を組み合わせ,複合的な視点でクライエントを理解する
質問紙法
あらかじめ用意された質問項目に回答者が「あてはまるーあてはまらない」などを回答することにより,性格特徴を把握しようとする検査
質問紙法の利点
統計的処理による客観的解釈・集団実施が可能・実施者の熟練に左右されにくい
質問紙法の欠点
無意識的側面がとらえられない・回答のバイアスが生じやすい・言語能力に依存
MMPI(ミネソタ多面的人格目録)
マッキンレイとハザウェイが開発
;健常者と精神疾患を持つもので有意差があった質問項目で構成
550の質問項目,10の臨床尺度,4の妥当性尺度
妥当性尺度
自分をよく見せようとしていないか調べる質問・めったに「はい」と答えることがない質問に「はい」と答えているかなどを調べ,回答の歪みや虚偽・脚色,精神的な混乱などがないかをチェックする
YーG性格検査
(矢田部ーギルフォード性格検査)
ギルフォードの性格検査を矢田部達郎が日本人用に標準化した性格検査
;120の質問項目で12の性格特性を測定
妥当性尺度がないため,回答の歪みを判断できない
MPI(モーズレイ人格目録)
アイゼンクが開発し,情緒安定性である「神経症傾向」と社会性である「外向性ー内向性」の2つの性格特性を測定する性格検査
;回答の歪みを判断する虚偽尺度がある
EPPS
エドワースが開発
;同程度の社会的望ましさを持つ文章が二つ提示され,どちらかを強制的に選択することで,回答者の欲求を明らかにする(社会的望ましさによる回答の歪みを統制)
MAS(顕在性不安検査)
テイラーが開発
;MMPIから不安に関する質問項目を抽出して作成された検査
STAI(状態ー特性不安検査)
スピルバーガーが開発
;生活条件により変化する一時的な不安である状態不安と,生活条件に関係なく存在する特性不安とを分けて測定
BDI(ベック抑うつ質問紙)
ベックが開発
;抑うつの程度を測定するための質問紙
投影法
曖昧で多義的な刺激に対する被検査者の自由な反応を得て,それを分析することで被検査者の性格特性を把握しようとする性格検査の総称
投影法の利点
無意識的側面がとらえられる・回答のバイアスが生じにくい
投影法の欠点
検査者の熟練が必要・検査者の主観的解釈・集団実施が困難
・言語能力に依存・被検査者の負担
ロールシャッハ・テスト
ロールシャッハが開発
;左右対称のインクのシミが何に見えるか答えてもらい,その反応内容を分析する
白黒5枚・カラー5枚
包括システムが普及(日本では片口法が多い)
TAT(主題統覚検査)
マレーとモーガンが開発
;絵から自由に物語を創作してもらう
欲求ー圧力理論
TATにおいて,創作された物語の主人公の行動に被検査者の欲求が,主人公の周囲で起きる出来事に被検査者が環境から受ける圧力が,それぞれ反映されていると考えること
P-Fスタディ
ローゼンツァイクが開発
;欲求不満場面が描かれたマンガのような絵の吹き出しに,自由にセリフを入れてもらい,それを分析する
自我阻害場面
他者の行為によって自身に欲求不満が生じている場合
超自我阻害場面
自身の行為によって他者から責められ不満が生じている場合
SCT(文章完成法)
不完全な文章が提示され,その文章の続きを完成させる
;意識的な側面が反映されやすく,回答の歪みが生じやすい=質問紙法的な特徴を持つ
テストバッテリーの一環として用いられることが多い
描画法
描画法とは,被検査者に絵を描いてもらい,その絵を分析することで性格特性を把握しようとする投影法の一種
描画法の利点
言語表出が困難な年齢や症状を持つ対象に対して実施可能な点
描画法の欠点
投影法と同じ(解釈の困難さ・検査者の主観が解釈に混入など)
バウムテスト
コッホが開発
;A4用紙に「実のなる木を一本描いてください」と教示し,描かれた木の大きさ,形,バランスなどから被検査者の特徴を理解する
バウムテストの注意点
あくまで補助的な理解にすぎず,性格特徴や発達的側面の全てがわかることはないため,テストバッテリーの一つとして用いられる
HTPテスト
バックが開発
;家,木,人(House,Tree,Person)の順に,それぞれ別のB5の画用紙に描く
HTPテストにおいて
家,木,人がそれぞれ表すもの
家=家庭環境,木=無意識的な自己像,人=現実に理解している自己像
PDI
HTPテストの描画終了後,描かれた絵について64の質問を行うこと
;描画という非言語的な側面とPDIによる言語的側面の両面からアプローチが可能
動的家族画
バーンズが開発
;A4用紙に「家族が何かしているところ」を書く
動的家族画が示すもの
個人のパーソナリティ,家族間の関係性,対人関係の態度
;成員同士で見せ合うことで,家族集団全体の力動性を知ることも可能
風景構成法
統合失調症者との言語的交流を補うために中井久夫が開発
;A4用紙に「山,川,田,道,家,木,人,花,動物,石」を順番に書いてもらい,一つの風景を完成させる=風景全体の構成に注目
統合失調者は,風景構成が瓦解し描けなくなることが多いが,回復過程で描けるようになっていく
作業検査法
被検査者に簡単な作業を行わせて,その作業結果から性格特性の特徴をとらえる方法
作業検査法の利点
集団実施が可能・回答のバイアスが生じにくい・言語能力に依存しない
作業検査法の欠点
情報量の少なさ・内容の単調さ
内田クレペリン検査
クレペリンが考案した作業を,内田勇三郎が検査として改良したもので,ランダム数字が上下2段に17行ずつ印刷された検査用紙を用いる
内田クレペリン検査の作業
隣り合う数をたし算し,答えの一の位のみを記入していくことを1行につき1分ずつ,計15分間行い,15分作業,5分休憩,15分作業の順で実施する
内田クレペリン検査の分析
各行の最終到達点を結んで作業曲線を作成し,作業曲線の形,作業量,誤答数から性格特性を分析する
定型曲線
健常者の作業曲線は,初頭努力,終末努力,休憩効果という特徴を持つ
初頭努力
最初の1分の作業量が最も多い
終末努力
最後の行(15分目)が次に多い
休憩効果
前半よりも後半の方が作業量が多い
ベンダー・ゲシュタルト・テスト
ベンダーが開発
;図形9つを1つずつ提示し,時間制限を設けずに模写させる
図形はウェルトハイマー(ゲシュタルト心理学創始者)によるもの
描写の正確さ,線の乱れなどに注目し,脳機能の障害を査定
人格の成熟度,知的側面の遅れなどを判断することも
カーンバーグ
精神分析理論に基づき,病態水準による分類を行った
病態水準
現実検討能力,同一性統制度,防衛操作の3点を基準とした,カーンバーグによる精神症状の重篤さの分類のこと
現実検討能力
現実を正しく認識する能力
;低い場合,妄想や幻覚が見られる
同一性統制度
自己の記憶・認知・思考などの一貫性を保てるか
;低い場合,一貫性を保つことができない(人格の解体)
防衛操作
欲求不満や不快な衝動に対して適切な防衛機制を用いることができるか
;低い場合,原始的防衛機制が用いられやすい
神経症レベル
比較的重篤でない精神症状のことで,代表的な症状に不安症や強迫症がある
;現実検討能力や同一性は保たれている・脳に特定の病理所見もない
境界例レベル
神経症レベルと精神病レベルの中間に相当する重篤さを持つ精神症状のことで,代表的な症状に協会性パーソナリティ障害がある
;欲求不満や不快な衝動に対し,原始的防衛機制を用いることがある
精神病レベル
比較的重篤な精神症状のことで,代表的な症状に統合失調症がある
;妄想や幻覚が出現し,人格の解体が見られ,原始的防衛機制が頻繁に用いられる・脳に特定の病理所見が見られることが多い
神経症,精神病という名称
特定の精神症状を示す用語でなく,精神症状の重篤さを示す用語
病態水準の注意点
分類基準となる「現実検討能力」「同一性統制度」「防衛操作」はいずれも正確に測定することが困難で,分類には不確定さが伴うため,病態水準による分類は現在用いられていない
クレペリン
病因論に基づいて精神症状の分類を行った
病因論
精神症状の原因に着目して分類すること
外因性
外的環境によって加えられた身体要因(脳の損傷や服薬による影響)により生じた症状
内因性
外的環境ではなく,遺伝的な身体要因により生じた症状
心因性
身体要因ではなく,心理的な要因によって生じた症状
病因論の問題点
病因を完全に特定することが困難で,複数にまたがる可能性があるため,現在では言葉のみが残っている
アメリカ精神医学会
DSMを発表
DSM
「精神疾患の分類と診断の手引き」のことで,症候論に基づく分類が特徴
症候論
観察される症状によって精神疾患を分類すること
操作的診断基準
定められた各症状をチェックし,該当する症状が規定数以上あれば,その精神疾患が診断されるという仕組み
多軸診断
個人について5つの次元から総合的に診断しようとするもので,生物・心理・社会モデルを前提としている
カテゴリー診断
精神症状に典型的な症状のうちいくつ以上が揃っていたら診断できるという方法
多元的(ディメンション)診断
基盤に多元的なスペクトラムを想定し,その上で%表示で重症度を見るという方法
DSM-5の特徴
多軸診断の廃止・広汎性発達障害から自閉スペクトラム症へ・精神遅滞から知的障害へ
DSM-5-TR (text revision)
「障害」を「症」に変更
ICD
世界保健機構(WHO)が発表した「国際疾病分類」
:精神疾患だけを対象とした分類ではないが5章に「精神および行動の異常」という記載がある
ICD-11
複雑性PTSD,ゲーム障害などが新たに定義・性同一性障害という表記がなくなった
統合失調症
思考,感情,行動の大きな混乱を特徴とする精神症状
統合失調症の基本情報
生涯罹患率は1%程度で男女差はない・ほとんどが10代後半から30代前半に発症
陽性症状
機能の過剰や歪みを主な特徴とする
;妄想・幻覚・自我障害・緊張病症状
急性期に多く見られる
陰性症状
活動性の欠如と行動欠損を主な特徴とする
;感情の平板化・自発性喪失
慢性期に多く見られる
妄想
誤った:現実とは異なる、確信、訂正不能
一時妄想
妄想気分、妄想知覚、妄想着想
妄想の内容
被害妄想、関係妄想(クラスメイトが笑ったのは・・)、誇大妄想
幻覚
対象のないところに対象を認識
自我障害
「自分の考えや行動が自分のものである」という意識が障害される(離人症、自生思考、させられ体験)
解体症状
まとまりのない会話(解体した会話)と行動を主な特徴とする
DSM-5の診断基準
?妄想
?幻覚
?まとまりのない会話
?まとまりのないまたは緊張病性の行動
?陰性症状
原因
特定はされておらず,複数の因子が関与するとされている
;二重拘束説・脆弱性ストレスモデル・ドーパミン仮説
二重拘束説
逃れられない矛盾するメッセージを突きつけられることにより統合失調症が発症するという説
ベイトソン
二重拘束説を提唱
脆弱性ストレスモデル
遺伝的に持つ中枢神経の脆弱性に過度のストレスが加わることにより,統合失調症が発症するという仮説
ドーパミン仮説
神経伝達物質のドーパミンの過剰分泌により統合失調症が発症しているという仮説
統合失調症の治療
生物学的・心理社会的
生物学的治療
薬物療法・電気けいれん療法
統合失調症の急性期
陽性症状により不安定な状態にあるため,抗精神病薬による薬物療法を実施
統合失調症の慢性期
心理教育・認知行動療法・生活技能訓練(SST)を実施し,ストレスを最小限にとどめて状態を安定化しつつ,社会復帰に向けた準備を始める
統合失調症の認知行動療法
妄想や幻覚そのものを消去するのではなく,症状に伴う患者の苦痛軽減が目的
気分の変調
抑うつエピソードと躁エピソードがある
抑うつエピソード
気分の著しい低下
躁エピソード
気分の著しい高揚
双極症
抑うつエピソードと躁エピソードを反復する
うつ病
抑うつエピソードのみを経験する
うつ病の9つの症状(授業)
抑うつ気分,興味・関心や喜びの喪失,体重あるいは食欲の変化,睡眠の変化,精神運動性の焦燥/抑制,疲労感または気力の減退,無価値観あるいは自責感,思考力や集中力の減退あるいは決断困難,自殺念慮・自殺企図
うつ病の症状(別カテゴリ)
うつ気分,意欲・行動力の低下,思考障害,身体症状,日内変動
抑うつエピソードの精神症状
抑うつ気分,関心・興味の減退
抑うつエピソードの身体症状
睡眠障害,食欲の変化,疲労感
抑うつエピソードの特徴
活動できない自分への自責感から自殺念慮を抱く
微小妄想(二次妄想)
状況・感情・性格の反応として妄想の発生が了解できるもの(貧困妄想,罪業妄想,心気妄想)
貧困妄想
経済面の強い不安や思い込み
罪業妄想
自分は罪深い存在だという思い込み
心気妄想
健康面の強い不安や思い込み
躁エピソードの症状(授業)
過度の自尊心あるいは誇大的思考,睡眠の変化,普段より多弁で話したい気持ちが強い,考えが次々に浮かぶ(観念奔逸),注意の散漫,活動性の亢進/精神運動性焦燥,自らの楽しみに熱中
躁エピソードの精神症状
過活動,観念奔逸,誇大妄想,易刺激性など
躁エピソードの身体症状
睡眠障害,食欲や性欲の増加
躁エピソードの二次妄想
誇大妄想(自分には特別な才能がある)・発明妄想(自分は天才で大発明した)など
双極症?型
躁エピソードとうつ病エピソードを反復し,妄想や幻覚を伴う症状を持つ
双極症?型
軽躁エピソードとうつ病エピソードを反復する症状を持つ
軽躁エピソード
躁の程度が重篤でない場合
躁エピソードと軽躁エピソードの境目
入院が必要な状態かどうか・社会機能が低下しているかどうか
観念奔逸
次々とアイデアが浮かび,話が脇道にそれるため全体としてのまとまりがなくなること
易刺激性
些細なことで怒ったり興奮したりすること
うつ病の原因
はっきりとは特定されていないが,脆弱性ストレスモデル,モノアミン仮説,うつ病になりやすい病前性格などが挙げられる(どちらも素因と環境要因の双方が影響)
モノアミン仮説
うつ病の原因を神経伝達物質(セロトニンなど)の分泌異常と考える仮説
循環気質
クレッチマーによるもの;肥満型の体型で,社交的,陽気,活発
執着気質
下田光造によるもの;律儀で責任感が強く,物事にのめり込んでしまう「堅物」
メランコリー親和型性格
テレンバッハによるもの;職場では几帳面で責任感が強く,対人関係では,他人のために尽くし,秩序と道徳を重んじる性格
躁エピソードの援助
・心理教育(再発が多く,継続内服が必要だと伝える,患者は抑うつ・家族は躁エピソードを重視するためどっちも重要と伝える)
・薬物による鎮静
抑うつエピソードの援助
・治療関係(信頼関係)の構築
・心理教育(怠けではない・支持的な対応・重要な決断は先送り・自殺をしない約束)
・家族の心理教育
・薬物療法
・電気けいれん療法(自殺の危険が高い,薬物療法が不適または無効例)
・休息
・認知行動療法
双極症の薬物療法
気分安定剤(抑うつエピソードの際に処方された抗うつ薬によって躁転する可能性もあるため注意)
うつ病の薬物療法
抗うつ薬(SSRI)によって,セロトニンの伝達を促進する+睡眠薬
うつ病の精神療法
認知行動療法__すべてを悲観的に考えてしまう認知の歪みを持っている可能性が高い
対人関係療法__重要な他者(家族・同僚など)との対人関係に焦点を当てて,自分の行動を変えることで周りの状況に変化を起こす
援助の注意点
自殺(寛解期・回復期,躁エピソードでは行動できてしまうので一番危険・入院を視野に)
支持的な対応(治療を続ければ改善に向かう)
しっかり休むことが必要
励まし・気晴らしは禁物(頑張れない自分・楽しめない自分を自覚し,逆効果・焦らせない)
家族への心理教育
新型うつ病
ディスミチア型を示すうつ病
ディスミチア型
責任感があるとはいえず仕事や役割を放棄することに対する罪悪感が少ない他罰的な特徴
仮面うつ病
実際はうつ病にかかっていたとしても気分の落ち込みや悲しさなどの心の状態を自覚することができなかったり,それを言葉で説明できなかったりする場合,身体症状を中心に訴えること
季節性うつ病
抑うつエピソードの発症と1年のうち特定の時期との間に規則的な時間的関係がある場合
;多くの場合秋または冬に始まり,春に寛解
非定型うつ病
食欲増加や過眠が特徴
;いいことが起こると反応して明るい気分になることができる
周産期うつ病(産前・産後うつ病)
3~6%の女性において,妊娠中または産後数週~数ヶ月の間に抑うつエピソードを発症し,2週間以上継続する症状
;分娩後の身体的および情緒的な要因によって起こる
マタニティ・ブルー
産後数日後,一時的に現れてすぐに消える気分の変化
エジンバラ産後うつ病質問表
(EPDS)
産後うつ病のスクリーニングテスト
不安症
不安を主症状とする病態の総称
不安症の支援
行動療法(主にエクスポージャー法)
分離不安症
幼児が愛着を持った人と離れることに著しい不安を持ち,その不安が社会的・学業的な機能の障害を引き起こしていること
場面緘黙(選択性緘黙)
言語能力に遅れがないにもかかわらず,ある限られた状況で話せなくなること
限局性恐怖症
特定の対象や状況の存在および予期によって引き起こされる著しい恐怖感があり,その恐怖が著しい苦痛や社会的・職業的な障害を生じさせている場合に該当する
社交不安症
他者から観察される可能性のある状況に対して,顕著な恐怖や不安を感じ,その恐怖や不安が著しい苦痛や社会的・職業的な障害を生じさせていること
;自身の行動に対する否定的な評価への恐れを抱きやすい
パニック症
理由もなく突然に生じるパニック発作の反復を主症状とする
パニック発作
周囲の状況とは全く無関係に生じる動悸,発汗,震え,息苦しさ,めまい,胸腹部の不快感
予期不安
パニック発作が予期せず反復するため,患者が常に発作の再発を恐れるようになること
広場恐怖症
公共の場所に出ることに対する一連の恐怖のこと
全般性不安症
多数の出来事または活動に対して過剰な不安がある
;将来への見通しが現実に比べて過度に悲観的・生涯を通じて慢性的に経過
強迫症
強迫観念と強迫行為を繰り返すことを主症状とする
;強迫観念が非合理的だとわかっているが,強迫行為を止めることができず,疲弊してしまうことが多い
強迫観念
非合理的な思考(不安や不快感を引き起こす思考・衝動やイメージが意思に反し繰り返し頭に浮かび,止めようとしてもやめられないもの)
;自分の手が非常に汚い(不潔),人を傷つける,悪いことが起こる
強迫行為
強迫観念によって引き起こされる行為
;手を何度も何度も洗う,確認,数を数える,言葉を繰り返すなど
PTSD
生命を脅かすほどの恐怖と無力感を経験したり目撃したりすることで,様々な身体的・精神的症状が現れること
急性ストレス症
PTSDの症状が3日以上1ヶ月以内の場合
適応反応症(適応障害)
PTSDではないものの,明確なストレスによってうつ的な症状が生じている場合
遷延性悲嘆症
(せんえんせいひたんしょう)
親しいものの死から1年以上悲嘆反応が続き,日常生活における苦痛や困難となっている場合
再体験症状(フラッシュバック)
心的外傷体験が自らの意志とは無関係に想起され,夢にみたり,現実に起こっているかのように行動したりしてしまうこと
回避症状
心的外傷体験に関する感情や思考,人物や場所を避けて,心的外傷体験から目を背けること
認知・気分の否定的変化
外傷となった出来事の重要な局面が思い出せない一時的健忘,興味や関心の喪失,罪悪感などの感情の持続,家族・恋人・配偶者との関係疎遠
過覚醒症状
緊張のために睡眠困難になったり,警戒心が強くなって強い不安を抱いたりすること,怒りを爆発させたり,集中が困難になったりすること
複雑性PTSD
虐待や拷問,監禁など外傷体験が長期間にわたる場合
複雑性PTSDの症状
PTSDの症状+感情制御の困難さ,解離症状,希死念慮
PTSDの援助
心理教育,恐怖の対象となる刺激へのエクスポージャー
PTSDの心理教育
どんな症状が予期されるか患者自身が知り,改善への期待を育成することが重要
持続性エクスポージャー
PTSDに対するエクスポージャー;トラウマ記憶に緩やかに直面してもらう治療法
イメージエクスポージャー
トラウマ記憶を想起して語ること
現実エクスポージャー
苦痛や不安を感じるために避けている状況や対象に繰り返し触れていくこと
EMDR
(Eye Movement Desensitization of Reprocessing)
心的外傷体験を想起しながら,治療者の指の運動を目で追うことで,弛緩状態を作り出す
サイコロジカル・ファーストエイド
PTSDの予防的介入;「見る」「聞く」「つなぐ」の3つが基本原則
被害者の様子を観察し,話を丁寧に聴いてニーズを把握し,適切なサービスへとつなぐ
心理的デブリーフィング
外傷体験の系統的な報告とそのときの感情体験の表出
;かつては有効とされていたが,現在ではその有効性がないことが確認されている
身体症状症および関連症群
身体的なとらわれを主な症状とする病態の総称
;かつては不定愁訴を持つことが強調されていたが,DSM-5からは,身体症状に対する異常な思考,感情,および行動に基づく診断が強調されるようになった
不定愁訴
医学的な説明が困難な身体症状を持つこと
身体症状症
身体症状があり,かつその症状に対する強いとらわれを表現する症状
;身体症状にだけ向けられた注意や,正常な身体感覚を異常な身体症状に結びつける傾向
身体症状症の注意点
心身症とは異なり,身体症状に対する強いとらわれが主であるため,あくまで心理的障害(精神疾患)である点に注意
病気不安症
医学的な問題がないにも関わらず,いつまでも疾患にこだわってしまう症状
;通常の身体感覚やわずかな身体症状を破滅的に解釈・成人期前期に発症・慢性化
心気症
かつての病気不安症の呼び名
機能性神経学的症状症(変換症)
器質的異常はないにも関わらず,運動症状や感覚症状を訴える病態
;不安や心理的葛藤が身体症状に転換されたもの
変換症の心理的特徴
疾病利得
疾病利得
強度のストレス下において症状が突然現れ,その症状のおかげで患者はある行為を回避できたり,何らかの責任を負わなくてもよくなったり,あるいは望み通りに他者の注目を受けられるようになったりする(本人は意識的にやっているわけではない)
ヒステリー
機能性神経学的症状症(変換症)は,精神分析におけるヒステリーと同じ
心身症
発症や経過に心理社会的要因が関係する身体疾患のこと
;過敏性腸症候群,片頭痛,2型糖尿病,心因性発熱
アレキシサイミア
心身症になりやすい性格特性
;身体症状や事実関係は述べられるが,自身の内的な感情や葛藤を表現することが困難
タイプA
心臓の冠動脈疾患を起こしやすいパーソナリティ
;短気,敵意,競争的努力,時間的切迫などを持つ人は,心筋梗塞や冠動脈疾患による死亡率が高い
精神疾患
身体症状症は,身体症状に対するとらわれを主とするから精神疾患
身体疾患
心身症は,心理社会的要因が関与する身体症状のことだから身体疾患
解離症(解離性障害)
解離を主症状とする病態で,多くの場合,外傷体験によってもたらされる
解離
意識・記憶・自我同一性など通常は統合されている機能が破綻し,個人の連続性が失われること
解離性健忘
重要な個人情報を突然思い出せなくなること
;脳に異常なし(心因性)・生活史全般×だけど生活史以外の知識は○・発症&回復突然
解離性とん走
日常生活から離れて放浪し,新しい自我同一性を身につけてしまうこと
;新しい名前,家,仕事,性格を持つ(DSM-5より解離症健忘に統合)
解離性同一症
(解離性同一性障害)
1人の人間に少なくとも2人以上の分離した自我状態が存在し,それらが異なるときに出現し,記憶・感情・行動などを支配すること
;かつての多重人格障害
解離性同一症の注意点
安易に複数の人格の識別をすること=人格の統合ではなく解体を助長することにつながり,害となる
人格の交代を否定すること=治療者への不信を招き,本質的な問題を悪化させる可能性あり
→慎重な診断と適切な情報提供(心理教育)が必要
離人感・現実消失症
(離人感・現実感消失障害)
離人感や自分の身体が自分のものでなくなったような感覚が生じること
離人感
自分が自分の身体から抜け出て,離れたところから自分を眺めているように感じる体験
性別違和(性同一性障害)
反対の性への強烈で持続的な同一感と,自己の性の不快感を特徴とする
摂食症
食行動の異常とボディ・イメージの障害を有する病態
摂食症の原因
社会的風潮・女性のダイエット願望・環境の変化によるストレス・アイデンティティの拡散など複数の要因が関係しており,一つに特定することができない
神経性やせ症
?有意に低い体重(標準体重の85%以下)?肥満恐怖?ボディ・イメージの障害
神経性やせ症の病識
病識は薄く,集中力の低下と疲れやすさ,低血圧や月経の異常などは,体重減少が原因であることに気づけない
摂食制限型
節食・絶食により大食を伴わない
むちゃ食い・排出型
隠れ食いや大食をして下剤や嘔吐で体重を減らそうとする
代償行動
自己誘発性嘔吐や下剤の使用,絶食や過度な運動などで体重増加を防ごうとする行為
神経性過食症
?むちゃ食いエピソード?代償行動?体重・体型の影響を過度に受ける自己評価
失統制感
コントロールできない自分
神経性過食症の精神症状
コントロールできない自分に対する自己嫌悪感や抑うつ
神経性過食症の身体症状
便秘,月経異常など
むちゃ食い症(過食性障害)
むちゃ食いエピソードは見られるが,代償行動は見られない場合
摂食症の援助
心理教育・認知行動療法・入院治療・家族療法
パーソナリティ症
属する文化において期待されていることから大きく逸脱したパーソナリティによって,社会生活における持続的な苦痛が生じている障害
パーソナリティ症A群
風変わりで奇妙な行動を示す群(統合失調症との類似性)
猜疑性パーソナリティ症
他者の言動を悪意あるものとして捉え,極端に疑い深い
(幻覚が存在しない点で統合失調症と異なる)
ジゾイドパーソナリティ症
孤立した生活態度で社会的な関係を欲したり楽しんだりせず,平板な感情と他者への無関心さが特徴である
失調型パーソナリティ症
迷信を信じ,奇妙な行動や言動をとるため,他者との親密な関係を築くのが難しい
パーソナリティ症B群
派手で突飛な行動を示す群
ボーダーラインパーソナリティ症
(境界性パーソナリティ障害)
対人関係,自己像,感情の不安定さが特徴
;他者や自己に対する理想化とこき下ろし
衝動的で自己破壊的な行動をする反面,見捨てられることを避けるためになりふり構わぬ努力を行う
自己愛性パーソナリティ症
誇大性,過剰な賞賛の欲求,他者への共感の欠如
;非難に対して敏感で失敗を恐れる
演技性パーソナリティ症
芝居がかった派手な行動,独特の服装,化粧,髪の色で,自分に注意を引こうとする
;注目の中心にいないと不愉快になる
反社会性パーソナリティ症
他者の権利を侵害する不適応行動(虚言,窃盗,放火,器物破損,暴力など)
;無責任で怒りやすい
パーソナリティ症C群
不安や恐怖を感じやすい群(不安症・強迫症との類似性)
回避性パーソナリティ症
他者からの批判や拒絶を恐れるあまり,確実に自分が好かれる状況でなければ他者との親密な関係を築くことができない
依存性パーソナリティ症
自主性を欠き,他者に必要以上の助言を求める
;他者からの分離に対しては,極度の見捨てられ不安を感じる
強迫性パーソナリティ症
完全主義者で柔軟性がなく,細かい規則・予定にとらわれる
;完全主義を他者にも期待するため,人間関係が限られる
パーソナリティ症の援助
生活史の中で少しずつ形成されたものであるため,根底から変化させることは困難
;直面している生活上の困難を一つ一つ改善し,適応的な生活を支援することが有効
発達障害
幼少期に主に認知や行動面で発達に遅れが見られること
;親の養育態度とは無関係に生じる脳の機能障害
神経発達症
DSM-5からの発達障害の名称
自閉スペクトラム症(ASD)
対人コミュニケーションの困難さやこだわりと反復・常同行動を特徴として持つ発達障害の一つ
ウィングの「三つ組」の行動症状
社会的相互作用の障害,コミュニケーションの障害,想像力の障害
社会的相互作用の障害
他者と目を合わせられない,対人関係の形成・維持の困難さ,情緒的相互性の欠如
コミュニケーションの障害
話し言葉の遅れ,会話を開始し継続することの困難さ,
言葉を覚えるのが困難で,覚えても話が噛み合わない
想像力の障害
限局された興味対象への過度な集中,習慣へのこだわり,
常同行動(同じ行動や遊びを続けること)
DSM-5におけるASDの診断基準
「社会的コミュニケーションおよび対人相互反応における持続的な欠陥」と「行動,興味,または活動の限定された反復的な様式」
広汎性発達障害
DSM-?-TRまでの名称;自閉性障害,アスペルガー障害,レット障害,小児期崩壊性障害の下位分類が存在
ASDに統合された理由
・概念の重複が見られ厳密な区分が困難
・診断名だけで障害を判断してしまい,子どもの個々の姿を見失ってしまう危険性がある
・程度の差はあるが連続体であるため,カテゴリー分類を廃すべき
スペクトラム
スペクトラム=連続体;明確な境界のない大きな枠組み
スペクトラムに関するウィングの考え方
いずれの広汎性発達障害のカテゴリも,程度の差はあれ同じ特徴を持った連続体である
療育
自閉症児にとって暮らしやすい環境を作り,適応力を育てることで困難を軽減していくこと
;行動療法的アプローチが基本となり,適応行動を学習
TEACCHプログラム
自閉症児を支援するための個別教育プログラム
;言語ではなく絵で見せて視覚で理解させる
ASD児への心理療法
行動特徴から周囲の偏見やいじめに遭うことにより発生した,不安症・うつ病・睡眠障害などの二次的な問題に対して行う
家族への心理教育
養育者が自身の養育を責めないように,自閉症は冷淡な親の不適切な養育で起こるわけではないことを正しく伝え,療育の重要性を認識してもらう
特別支援教育
教育現場での支援
愛着障害
マルトリートメントに由来する愛着行動の欠如を呈する障害
マルトリートメント
虐待,養育者のはく奪・度重なる交代の幼少期の不適切な養育体験
反応性アタッチメント症
養育者である大人に対して陽性の感情に欠け,情動の制御が悪く,養育者から得られる快適な支援を求めない,あるいは反応しないといった特徴を示す愛着障害の一つ
;自閉スペクトラム症(ASD)の特徴と類似
脱抑制型対人交流症
初対面の大人に対して警戒感なく過度に馴れ馴れしい態度をとる愛着障害の一つ
;注意欠如・多動症(ADHD)の特徴と類似
愛着障害と発達障害の違い
発達障害は親の養育態度とは無関係
愛着障害は親の不適切な養育に由来する
特異性発達障害
全体的な能力や機能は年齢相応であるにも関わらず,読み書きや運動など部分的な能力や機能で著しい遅れが見られる障害
限局性学習症(SLD)
全般的な知的能力の遅れは見られないのにも関わらず,算数や文字の読み書きなど特定の学習能力に著しい困難を示す症状
注意欠如・多動症(ADHD)
不注意,多動性・衝動性の特徴を持つ発達障害の一つ
ADHDの援助
薬物療法(多動・衝動性を抑える)+行動療法(適応行動を学習)
SLDとADHDの抱きやすい感情
「できて当然」と思われる行為に困難を示すため,自覚的に失敗体験が多く,劣等感を抱きやすい
劣等感に対する援助
周囲の人に正しく把握されていないと,その行動特徴が甘えやわがまま,努力不足と受け取られてしまいがち
;親への心理教育・教師へのコンサルテーション・合理的配慮
反抗挑発症(反抗挑戦性障害)
周囲に対して挑戦的で,反抗的な行動を当然のごとく行なってしまう
;周囲の無理解や不適切な対応から,ADHDの子どもに9歳頃から見られる場合がある
素行症(素行障害・行為障害)
反抗挑発症の問題行動がエスカレートし,万引きや過度の暴力を繰り返す
DBDマーチ
反抗挑発症→素行症→反社会性パーソナリティ症
転移
クライエントが援助者に非合理的な感情を抱くこと
;クライエントの内的葛藤から生じる,援助者への非合理的な感情全般
精神分析における転移の考え方
幼少期に両親に抱いていた感情が援助者に向く
;クライエントが援助者に強烈な敵意を見せた場合,その敵意は,幼少期に両親に抱いていた敵意が転移したものと解釈する
陽性転移
好意や恋愛感情を向けること
陰性転移
敵意や怒りを向けること
転移の解釈における注意点
心理面接という非日常場面だからこそ生じるものであり,クライエントの正当な反応とは区別すべきである
逆転移
援助者が転移に反応して,クライエントに非合理的な感情を向けること
教育分析
自らがクライエントとなって精神分析を受けること
;フロイトは逆転移が分析家の中立性を失わせるため防止すべきだと考えていた
逆転移に対する援助者の対応
援助者が自らの逆転移を自覚し,それに振り回されることなく,なぜ自分に逆転移が生じているのか洞察する
抵抗
クライエントが心理療法・心理面接の進行を妨げること
行動化
クライエントが自身の心理状態を言語化することができず,行動によって表現すること
;無断欠席,沈黙,遅刻,援助者への暴力,性的誘惑など
抵抗の背景
問題の解決を望みながらも,自身が変化していくことに対する不安・疾病利得
疾病利得
問題の解決によって周囲の心配や同情を失いたくないと思うこと
抵抗や行動化への対応
発生そのものを防止するのではなく,なぜ発生したのかともに考えることで,クライエントの理解と成長の手がかりとする
精神分析療法
問題行動の原因を無意識に抑圧された心的外傷体験と考え,心的外傷体験の意識化と徹底操作による自我の強化を目指す心理療法
自由連想法
クライエントは寝椅子に横になり,分析家はクライエントからは見えない位置から,「頭に浮かんでくることを批判や選択をしないでそのまま話してください」と指示する一連の流れ
;語られる内容にはクライエントの無意識が反映されている
沈黙という形で抵抗を示した場合の解釈
無意識に隠れている恐怖や欲望への到達を拒んでいる
解釈の方法
直面化・明確化
直面化
クライエントが回避している考えや感情を分析家が言語化して,クライエントと向き合わせること
明確化
クライエントが語った内容を簡潔な言葉で言い返すことで,クライエントの自己理解を援助すること
治療的退行
自由連想法や解釈といったかかわりの中で,クライエントが過去の心的外傷体験を想起すること
洞察
無意識に抑圧された自身の欲求や感情を理解していくこと
徹底操作
洞察と解釈を繰り返していくこと
;徹底操作によって自我が強化され,意識化された心的外傷体験・欲求や感情を自身で制御できるようになる
自我が強化された状態
「高い現実検討能力」「分裂することなく一貫した自我同一性」「昇華など適切な防衛操作が可能」
夢分析
顕在夢を手掛かりにして,潜在夢の内容を解釈し,無意識の意識化を目指すもの
顕在夢
クライエントが言語化可能
潜在夢
抑圧された欲望が反映
行動療法
問題行動を不適切な学習によるものとみなし,学習理論を用いて不適切な行動を消去し,適切な行動を学習することを目指す心理療法の一つ(直接観察できる行動のみを治療対象とする)
;レスポンデント条件づけに基づく技法とオペラント条件づけに基づく技法がある
アイゼンク
精神分析を批判し,科学的な臨床心理学の確立を目指したアイゼンクによって定義づけられた
レスポンデント条件付けに基づく技法
系統的脱感作法,エクスポージャー
系統的脱感作法
事前準備;リラックス状態を作り出すための弛緩法を身につけ,不安階層表を作成する。
実践:不安をイメージした後に弛緩法を実践して不安とリラックス状態とを条件づけ,不安の解消を図る。不安階層表の低次の不安から高次の不安へと順番に条件づけていく。
ウォルピ
系統的脱感作法を開発
不安階層表
低次の不安から高次の不安まで一覧にした表
暴露法(エクスポージャー)
系統的脱感作法と基本は同じだが,不安場面をイメージするのではなく,直接さらして不安場面に慣れさせる点,不安場面からの回避行動を減らすことを重視する点で異なる
フラッディング
最上級の不安にいきなり直面させること
反応妨害エクスポージャー
強迫性障害に対して用いられるエクスポージャー
;強迫行為を禁じることで,強迫観念から生じる不安に徐々に慣れさせていく手法
オペラント条件づけに基づく技法
応用行動分析
応用行動分析に基づく技法
シェイピング法,トークンエコノミー法,タイムアウト法,嫌悪療法
応用行動分析
オペラント条件づけと三項随伴性(ABCモデル)に基づく理論
;機能分析が行われる
スキナー
応用行動分析を成立
;徹底的行動主義(観察不可能な心の動きは考えない)
機能分析
何が問題行動を維持しているのかという観点から,問題行動の機能を明らかにする
;三項随伴性(ABCモデル)に基づき,問題と行動間の結びつきを明らかにすること
三項随伴性(ABCモデル)
まず先行刺激があり,それに対する行動の結果によって問題行動が動機づけられ,強化されると考えるモデル
;先行刺激,行動,強化子(問題行動の結果)のいずれかを変化させることに焦点を置いて介入
シェイピング法
一度に獲得することが困難な行動に対し,スモールステップを達成するたびに強化を与え,徐々に目標行動に接近させていく手法
スモールステップ
細かい達成目標を設定すること
トークン・エコノミー法
適切な行動にトークンという擬似貨幣を与えることで,その適切な行動を強化していく手法
;子どもの行動変容と支援に用いられることが多い
タイムアウト法
問題行動後に誰もいない部屋に移動させるなどして,正の強化を受けさせないようにする方法
嫌悪療法
アルコールを摂取したら嘔吐剤を飲ませるなどして,特定の行動に対して罰となる刺激を与え,その行動の消去を目指す方法
自律訓練法
シュルツによって提唱されたリラクセーション法
;背景公式,第1~6公式と呼ばれる自己暗示の言葉を心の中で唱えることで,公式の中にあるリラックス状態を得ることができる
;自我の弱い重度のうつ病や統合失調症患者には禁忌とされる
認知療法
認知を変容させることで行動を修正し,心理的問題を解決していこうとする心理療法の一つ
ベックの認知療法
抑うつの原因を,あらゆる出来事に対してネガティブに偏った思考をしてしまうことにあると考え,その認知の変容を目指した(現在では認知再構成法として用いられる)
否定的自動思考
瞬間的に頭をよぎる否定的な思考
;クライエントが自らの否定的自動思考に気づき,適切な思考に修正できるよう働きかけていく
論理情動療法
エリスによる,ABCDEモデルに基づく療法
ABCDEモデル
ある出来事(A)に対して不合理な信念(B)を持つために,否定的な感情や悩みといった結果(C)が生じる。そこで,不合理な信念に反論(D)し,合理的な信念に修正するよう援助した結果,自らの目標達成に向けた行動が取れるようになる(E)。
不合理な信念
融通の効かない固定的な信念
認知行動療法(CBT)
ケース・フォーミュレーションを軸としたアセスメントを行い,行動療法や認知療法を軸としたさまざまな技法を用いて介入するアプローチの総称
;クライエントとセラピストがチームとなって問題状況を把握し,効果が実証された技法を用いて介入していくことが求められる
ケース・フォーミュレーション
クライエントの問題の成り立ちを説明する仮説を刺激ー反応の図式に基づき生成する作業
刺激ー反応の4つの側面
「認知」「感情」「身体」「行動」の4つに分けて,刺激に対する反応を整理していく
ケース・フォーミュレーションの重要性
問題の成り立ちを図示して外在化すること
;セラピストとクライエントがともに問題を眺め,ともに解決を考えていく協働関係を作ることができる
セラピストにとっての
ケース・フォーミュレーションの利点
クライエントを理解するアセスメントの一環
クライエントにとっての
ケース・フォーミュレーションの利点
自身の問題を理解するための心理教育の役割を果たしている
協同的実証主義
認知行動療法の基本姿勢
;セラピストが一方的に指示し,クライエントがそれに従う「縦の関係」ではなく,セラピスト・クライエントがともに話し合いながらチームで取り組む「横の関係」であることに注意
認知に介入する場合
認知再構成法
感情に介入する場合
エクスポージャー
行動に介入する場合
行動活性化
身体に介入する場合
マインドフルネス
認知行動療法にて
クライエントに課されるもの
ホームワークが課され,技法を自分自身で獲得し,セルフケアができる状態を目指す
認知再構成法
自動思考以外の考えを持つことができるように,自動思考の検討を行う方法
思考記録表(コラム表)
認知再構成法で用いられる
;状況やその時の感情,自動思考,それに対する反論と代わりの思考,それによる感情の変化を記録する
行動活性化
行動の肯定的な変化に伴って,クライエントの自己評価の向上や適応的な姿勢への変化を目指す技法
;うつ病患者に対する効果が期待
行動活性化がうつ病患者に有効であるとされるのはなぜか
うつ病に伴う活動レベルの低下が,無力感の増長や自己評価の低下を招いている側面があり,まず行動レベルでの達成が重要となるため
活動記録表
行動活性化で用いられる
;クライエントは何時にどのようなこと(食事,掃除,読書など)を行ったのかについて記入が求められる。その上で個々の活動における達成感(M;mastery)と喜び・楽しさ(P;pleasure)をクライエント自身に得点化してもらう。これを1週間程継続する。
主張訓練法
(assertion training)
アサーションを目指すトレーニング
;自分と相手との間に存在する相違についてお互いが少しずつフェアに折り合いをつけていくことが大切と考え,やりとりを続けながら自分らしさを認め,かつ相手のその人らしさも認められるより豊かな人間関係を築くことを目指す
アサーション
自分も相手も大切にしながら自分の意見や気持ちを率直に,適切な方法で表現する自己表現の一つ
ソーシャルスキルトレーニング
(社会生活技能訓練;SST)
学習理論に基づき,体系的・意図的に対象者の社会技能形成を図る,構造化された援助技法
SSTの成立
1970年代にリバーマンらが精神障害者のリハビリテーションを促進する援助技法として確立させた
SSTの意義
対人状況で必要とされる技法を獲得することで,様々な社会的ストレスの回避や対処が期待されている
マインドフルネス
?一瞬一瞬の体験に意図的に注意を向け続けること
?今の体験に好奇心を持ってそのままにしておくこと
?思考や感情に対して脱中心化した視点を獲得すること
マインドフルネス認知療法
今現在の現実をあるがままに知覚し,感情や思考にとらわれないようにすることを目指す心理療法
マインドフルネス瞑想
原始仏教で2500年以上前から実践されていた瞑想
;体内や心で体験される出来事1つ1つに,価値判断や反応をせず,受け入れるような姿勢で意識を傾け,その意識を持続すること
;色々な出来事をとらわれのない無執着の姿勢で体験できるようになっていく
ACT
(アクセプタンス&コミットメントセラピー)
6つの基本原則に基づき,心理的柔軟性の獲得を目指すアプローチ
;望ましくない認知や行動の除去や修正ではなく,認知や行動の選択肢を豊かにすることで,柔軟な対応が取れることが重視されている
ACTの6つの原則
脱フュージョン,アクセプタンス,プロセスとしての自己,文脈としての自己,価値の明確化,コミットした行為
脱フュージョン
思考に飲み込まれない・現実と思考の混同から脱する
アクセプタンス
体験を回避せず,あえてそのまま置いておく
;「いま,ここ」において体験していることを積極的に判断を介さず受け取ること
プロセスとしての自己
思考する自分を客観的に見つめる・「観察する自己」
文脈としての自己
自分が置かれている文脈や環境の「今」に集中すること
価値の明確化
自分が生きていこうとする方向や価値を言語化する
コミットした行為
自分の価値にそった行動を,実際に取る
クライエント中心療法
ロジャースによって提唱された非指示的な心理療法
ロジャース
クライエント中心療法を提唱
自己概念
クライエント自身が抱いている自己像で,
クライエント自身の理想が反映されている(理想自己)
経験
クライエントが現実に体験していること(現実自己)
自己一致
自己概念と経験の重なり
否認
経験のうち,自己概念と重なりを持っていない部分
;本当は体験しているのに,自己概念と合わないため,無視されている領域
歪曲
自己概念のうち,経験と重なりを持っていない部分
;本当は体験していないのに,そうだと思い込んでいる自己概念
自己実現傾向
人ならば誰もが持つ自己概念と経験を一致させていこうとする傾向
カウンセラーの3条件
共感的理解,無条件の肯定的配慮,自己一致
共感的理解
クライエントの私的な内的世界を,あたかもクライエント自身であるかのように感じ取ること
;共感的理解によって感じ取ったことを,クライエントに反映することを通して,クライエントが自分自身の理解に至ることを援助する
無条件の肯定的配慮
クライエントのどのような側面にも偏りなく肯定的で積極的な関心を向けること
;カウンセラーが無条件にクライエントを受容することによって,クライエント自身もあるがままの自分を受容することが可能となる
自己一致
(純粋性・真実性)
カウンセラー自身が自己一致の状態にあること
;自己一致しているカウンセラーと接触することによって,クライエントも自己一致の状態を目指すことができる
3つの態度条件をそろえたカウンセラーとの関係を通じて
クライエントは,自己洞察,自己受容,自己実現が可能となる
自己洞察
あるがままの自分とその問題に気づく
自己受容
あるがままの自分とその問題を受け入れる
自己実現
より自己一致した状態に近づいていくこと
「十分に機能する人間」
自己実現したクライエントが自身で問題を解決していけるというクライエント中心療法の最終目標
傾聴
感情に焦点を当てよく聞くこと
単純な応答
「はい」「うんうん」「わかりました」「よくわかります」(=感情の受容)
感情の反射
クライエントの情動化された態度を認知し反射すること
ジェンドリン
フォーカシングを創始
;ロジャースの共同研究者
フォーカシング
クライエントがフェルト・シフトに至る過程を援助する
;ロジャースのいう「経験と自己概念の一致」を促進させる技法(ロジャースのミッシングリンクを埋めた技法)
ミッシングリンク(失われた環)
ロジャースはクライエントがどうすれば「経験と自己概念の一致」を実現できるか述べておらず,セラピストの態度に関する3条件がクライエントをどう変化させるか述べていない
;ロジャースが,クライエントの自己理論とセラピストの態度の間にどんな関係があるのか明らかにしていなかったこと
フェルト・センス
クライエントの中に存在する,言葉にできない漠然として滞った感情が身体感覚として現れる
ハンドル
フェルト・センスをぴったりと表現できるようなイメージや名前
フェルト・シフト
フェルト・センスの存在にクライエント自身が気づき,言葉などで表現できるようになることで,自身の滞った感情の流れが自己を成長させる方向へ向かって流れていくこと
人間性心理学
ロジャースの心理療法,ジェンドリンのフォーカシング,フランクルのロゴセラピー,パールズのゲシュタルト療法など
ロゴセラピー(実存分析)
フランクルによる心理療法
;人間を,いかなる状況でも価値を追求する自由と責任を持つ存在と考え,人生に価値と目的を見出せないときに空虚感を経験し,欲求不満状態に陥る
フランクル
ロゴセラピーを創始
ロゴセラピーの代表的技法
逆説志向(自らが恐れる状況をむしろ望むように行動)と反省除法(意味や価値あることに注意を向けさせる)
ゲシュタルト療法
パールズによる心理療法
;排除されていた自己の部分を統合し,全体性の回復を重視する心理療法
パールズ
ゲシュタルト療法を創始
ゲシュタルト療法の目指すもの
過去の体験や生育歴ではなく「今,ここ」で体験している自己の統合を目指す
エンプティ・チェア
ゲシュタルト療法の代表的な治療
;空のイスにもう一人の自分を座らせて,架空の会話を行い,会話の中から,自分の気づいていなかった「今,ここ」の自分の姿に気づき,自己を統合させていく
交流分析
バーンによって開発された,対人関係に関する理論とそれに基づく心理療法
人間性心理学に位置づけられる理由
理論上は精神分析から出発しているが,他者との交流を積極的に求める人間観や「今,ここ」を重視することから,人間性心理学の中に位置付けられることが多い
交流分析における仮定
人に「親の心・大人の心・子どもの心」という3つの心がある
エゴグラム
交流分析において,対人関係のあり方を分析するために用いる質問紙
エゴグラムの5つの分類
批判的な親の心(CP),養護的な親の心(NP),大人の心(A),自由な子どもの心(FC),順応した子どもの心(AC)
批判的な親の心(CP)
規律・道徳を重んじる
養護的な親の心(NP)
保護・優しさを重んじる
大人の心(A)
現実的な判断・理性を重んじる
自由な子どもの心(FC)
自由・解放を重んじる
順応した子どもの心(AC)
適応・協調を重んじる
構造分析
エゴグラムの結果に応じて,対人関係においてどのような側面を重視しているかを理解すること
交流分析の目的
構造分析をもとに,人が強迫的に従ってしまう対人関係の様式を発見し,新しく適切な対人関係の様式を再構築すること
集団療法
複数名のクライエントが集まって行う心理療法
;セルフ・ヘルプ・グループなど
集団療法が他の心理療法と異なる点
・カウンセラーからの影響だけでなく,集まったクライエント同士の交流による影響が発生する点
・過去の出来事よりもその場で起こった感情(今,ここ)に注目する
ファシリテーター(促進者)
カウンセラーの集団療法における役割
;積極的に介入するのではなく,クライエント間の相互作用を活性化させる役割を担う
心理劇(サイコドラマ)
台本のない即興劇の中で,特定の役割を自主的に演じることで,他者への共感や新たな自分への気づきを得る集団療法の一つ
モレノ
心理劇を開発
家族療法
問題が顕在化しているクライエントをIPと呼び,IPの問題は家族システムが十分に機能していないために生じていると考え,家族システムが健全に機能するよう介入していく心理療法のこと
円環的因果律
家族メンバーそれぞれが問題の原因であり,結果である可能性
IP
(identified Patient)
患者とみなされている者
家族療法の特徴
家族の誰が問題なのかということを追求せず,家族システム全体に生じている悪循環の解消を目指す点
ベイトソン
家族療法が生まれるきっかけ
二重拘束説(タブル・バインド)
矛盾する2つ以上のメッセージが同時に送られ続け,それに対して逃れることができない状況(二重拘束)
;二重拘束によって統合失調症が起こる
二重拘束説の特徴
個人の問題や病理が,日常的なコミュニケーションの問題から生じる可能性を提示した点
;二重拘束説により,個人の内面だけでなく「個人を取り巻くシステム」に焦点を当てるアプローチとして家族療法が発展
リフレーミング
意味づけを変容させること
;子どもの問題行動は迷惑行為だが,子どもは問題を起こすことによって両親が協力するきっかけを作っていると意味づけを変えることができる
ジョイニング
家族の中に直接的・積極的に参加し,家族の葛藤を明らかにしていきながら,健全な交流を目指して介入していくこと
ミニューチン
ジョイニングを提唱
遊戯療法
言語能力が未熟で内的な世界を言語で表現することが困難な子どもを対象に,遊びを媒介として自己表現を促す心理療法
カタルシス効果
ありのままの自己の表現が可能となることで,自己治癒力を発現させていくこと
アクスライン
クライエント中心療法の考え方を遊戯療法に活用するために「8つの原則」を掲げた
;理論的立場を超えて遊戯療法の基本を示している
アクスラインの8つの原則
?よい治療関係(ラポール)を形成させる
?あるがままの受容を行う
?許容的雰囲気を創る
?適切な情緒的反射を行う
?子どもに自信と責任を持たせる
?非指示的態度をとり,治療者は子どもの後に従う
?変化は長い時間を必要とするため,進行を急がない
?必要な制限を与える
「制限(枠)」の例
治療者や自身への身体的攻撃,備品の破壊や持ち出し,安全や健康を害する行為(砂を食べるなど)
「制限」の持つ意味
治療者と子どもの安全の確保・子どもの自己表現の促進
「制限が子どもの自己表現を促進する」の意味
制限を与えることで,怒りや不満を表現する機会を与える
「制限」のメリット
健康を害する行為が禁止され,安全が確保されているからこそ,子どもは不必要な罪悪感を抱くことなく,安心して自己表現をすることができる
箱庭療法
木箱の中に砂やミニチュアを自由に並べることによって,自分の世界を表現する心理療法
カルフ
箱庭療法を確立
箱庭療法の経緯
ローエンフェルトの世界技法に由来し,ユング派のカルフによって発展,その後,河合隼雄が日本に紹介し,普及した
箱庭療法の対象
非言語的であるため,内的な感情や葛藤を言語化するのが困難な子どもやクライエントに適用可能
箱庭療法の効果
・自分の内的な世界を表現することができ,内的な葛藤が解放されてカタルシス効果が得られる
・創造的な活動に取り組むことにより自己治癒力が発揮される
箱庭療法の注意点
・アセスメントの側面+心理療法の側面
・完成した箱庭の解釈だけでなく,「箱庭を作ること」そのものに心理療法としての意味がある
自我の侵襲性
自我の侵襲性が高く,精神病レベルのクライエントは内的な世界が大きく揺さぶられる可能性があるため,基本的に適用しない
自由にして保護された空間
カルフが強調
;セラピストによる心理的な守りと箱庭の枠の守りによって,セラピストとクライエントの間に母子一体性が再現され,クライエントの内にある自己治癒力が働き始める
芸術療法
様々な芸術活動によって内的な世界を表現し,心理的問題の解決を目指す
;言葉に頼らない自己表現だけでなく,昇華の役割を果たす場合も多い
コラージュ療法
さまざまな雑誌や新聞を切り抜き,それらを台紙に貼り付けてコラージュ作品を作る
風景構成法
治療者の指示に従って画用紙に風景を書き込んでいく
スクリブル法
(スクイッグル法)
ウィニコットが考案
;サインペンで殴り書きを行い,できた図が何に見えるかを見る
日本独自の心理療法
森田療法・内観療法・臨床動作法
森田正馬
森田療法を考案
森田療法
不安や恐怖が特別なものではなく,自然なものとして受け入れることで「あるがままの自分」を受容し「とらわれの機制」を打破していく心理療法
森田神経質
森田療法の対象である,内省的で自身の身体的・精神的不快に敏感な心気症傾向のある者
精神交互作用
不快感を解決しようとする行動が,かえって不快感を増大させてしまうこと
とらわれの機制
不快感へのとらわれ
;例)些細な感覚に過敏に反応して不安がり,不安を感じないように意識することが,かえって不安をあおってしまい「不安へのとらわれ」が生まれる
不問的態度
不安や恐怖などを感じるのは特別なことではないと考え,カウンセラーは不快感の原因を追求しない
内観療法
身近な家族や知人に対して「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3点を報告し続けることで,人生観や行動の修正を図る心理療法
吉本伊信
内観療法を浄土真宗の精神修養法をもとに考案
集中内観
内観療法を1~2時間ごとに訪れる面接者に3分程度で報告することを7日間,毎日くり返す
見調べ
過去の対人関係や自分の生き方について客観的に,継続的に調べることができる
臨床動作法
うまく動かせなくなり,痛み・凝りなどを感じている身体の動作に働きかけることによって,心身の改善を促す心理療法
;肩上げ,肩下ろしなどの課題・大地に対して縦に座り体軸を立てる課題など
成瀬悟策
臨床動作法を提案
ランダム・アサインメント
効果を検証したい内容(独立変数)以外は全て均質となるように,実験参加者を実験群と対照群に振り分けること
ランダム化比較試験(RCT)
無作為に割り当てられた実験群と対照群を用意し,介入の効果を比較する手法
比較研究における非倫理性
対照群=問題を抱えるクライエントに「心理療法を施さない」という選択をする非倫理性
実験群=効果が確定していない心理療法を施すという選択に対する非倫理性
事例研究
少数のクライエントの変化を追うもの
事例研究の問題
ごく少数のクライエントの変化を記述・変化の記述にはセラピストの主観的解釈が含まれる
→科学的根拠に欠けるため,普遍化・法則化することは難しい
事例研究のメリット
・自らの経験や従来の理論が役に立たなかったとしても,過去に同様の稀な症例に遭遇した臨床家の事例研究論文を参考にすることにより,援助方針を考案できる(知の蓄積)
・当事者の主観的体験を理解することができる
・普遍化を目指すのではなく,あくまで個の理解に焦点を当てている
公認心理師
「国民の心の健康の保持増進」に貢献する心理専門職の資格を担保するために誕生した国家資格のこと
名称独占資格
公認心理師の有資格者以外は自身の名称に「心理師」という文字を用いてはならない
業務独占資格
医師など有資格者に業務が独占される資格
公認心理師の4つの専門業務
心理状態の観察および結果の分析・心理に関する支援・関係者に関する支援・心理教育
心理状態の観察及び結果の分析
心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析すること
心理に関する支援
心理に関する支援を要する者に対し,その心理に関する相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと
関係者に対する支援
心理に関する支援を要するものの関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと
心理教育
心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと
臨床心理士の4つの専門業務と共通する点
・心理状態の観察及び結果の分析=臨床心理査定(アセスメント)
・心理に関する支援=臨床心理面接
・関係者に対する支援=臨床心理的地域援助
臨床心理士の4つの専門業務と異なる点
・クライエント(来談者)という表記ではなく,来談の有無に左右されない要心理支援者という表記が用いられている点
・心理教育が重視されている点
心理教育の目的
心理学や心の健康に関する様々な知識を伝えることによって,問題発生を未然に防ぐこと(第一次予防)
心理教育の対象
国民全体
公認心理師の3つの義務
信用失墜行為の禁止,秘密保持義務,関係者との連携
法的な拘束力
公認心理師資格は更新制度がなく,資質向上は責務(努力義務)とされており,法的拘束力は弱い
科学者ー実践者モデル
調査・研究で効果が認められた査定・面接技法を用いてクライエントへの援助を行い,そこで得られた知見や疑問(リサーチ・クエスチョン)を再び調査・研究として扱い,臨床心理学を発展させていく心理職の活動モデル
リサーチ・クエスチョン
実践の中で得られた知見や疑問
心理専門職の専門性
心理専門職には,クライエントに対して援助を行う実践家であると同時に,科学者であることも求められていること
;科学と実践を統合させた支援を行うこと
エビデンス・ベースド・アプローチ
科学的根拠(エビデンス)に基づいて支援を行うこと
ガイアット
エビデンスを重視する流れを作り出し,できるだけ質の高いエビデンスを提供すべきとした
エビデンスレベル
下から,専門家の意見,事例研究,観察研究(コホート,ケースコントロール),介入研究(ランダムではない比較研究),ランダム化比較試験(RCT),系統的レビュー(メタ分析)
;エビデンスとして採用されるためにはRCT以上が望ましい
サケット
エビデンス・ベースド・アプローチが成立するためには,?科学的根拠(エビデンス),?臨床上の経験・技能,?クライエント(患者)の価値観の3つが必要である
エビデンス・ベースド・アプローチの
3つの要素からわかること
どれだけ科学的根拠があったとしても,それを用いる支援者の経験や技能が十分でなかったり,クライエントの十分な理解と納得がなければ,効果を発揮することはできない
ナラティブ
「語り」のこと:エビデンス・ベースド・アプローチが成立するためには,提供されるエビデンスに対するクライエントの十分な理解と納得が語られる必要があり,ナラティブな要素も必要
科学→実践
エビデンス・ベースド・アプローチ
実践→科学
リサーチ・クエスチョン
チーム・アプローチ
クライエントの問題を一人の援助者が支援していくのではなく,様々な専門家が協働しながら問題に対応していくこと
生物心理社会モデル(BPSモデル)
生物学的側面・心理学的側面・社会学的側面から,多面的にクライエントを理解することを目指すモデル
生物心理社会モデルに基づく意義
個人で問題を抱え込むことなく,お互いの強みを生かしながら,多面的で効果的な援助が可能になる
生物学的側面
脳・遺伝・神経・細胞など
社会学的側面
組織・行政・文化・制度など
心理学的側面
ストレス,認知,感情,信念
精神科医
様々な精神疾患を脳の病気とみなし,診断に基づく投薬によって治療を図る
診断ー治療モデル
何らかの心の異常(症状)に対して病名を診断し,その病名に対応した薬物を投与することで治療を図る
査定
クライエントの持つ問題点だけでなく豊かな面も注目し,性格面や生活環境,成育歴なども含めた全体像の理解を目指している
査定ー援助モデル
問題の消失だけを目標とするのではなく,クライエントの全人的な理解に基づき,より適応的に生きることを援助することを目指す
精神保健福祉士
厚生労働省認可の国家資格で,主に精神障害者の社会復帰に関する相談や援助を行う(社会的な視点で関わっていく)
信用失墜行為
公認心理師法第40条で定められた公認心理師の義務の一つ
;単なる違法行為や法的違反行為だけではなく,社会的に信用を失う行為全般を指す
多重関係
クライエントとの間に専門家としての役割とは別の役割を意図的かつ明確に同時にあるいは継続的に持つこと;信用失墜行為の一つ
多職種連携
多職種のスタッフがそれぞれの専門的な知識や技能をもとに,お互いの立場を尊重しながら1つのチームとして質の高い支援を提供すること
主治医の指示
公認心理師が主治医の指示に反する行動をとった場合,資格取り消しの処分を受ける可能性がある
主治医の指示に従うことは?
主治医に意見を言わないことではない;最終的な決定を下すのは主治医であるが,より的確な決定がなされるためには心理の専門家に相応しい見立てや意見が求められている
秘密保持義務
クライエントが心理専門職に対して打ち明けた事柄を外部に漏らさないこと
;心理専門職は他の専門職と連携することが必要であるが故に,クライエントの情報を適切に取り扱うことが重要となる
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