ハロゲン化水素の酸の強さに関する記述として最も適切なものを1つ選び記号で答えよ。① HFは水素結合を形成するため、ハロゲン化水素の中で最も強い酸である。 ② HCl、HBr、HIの酸性の強さは、結合の強さが関与しており、HIが最も強い酸である。 ③ ハロゲン化水素の酸性は電気陰性度のみで決まり、フッ素を含むHFが最も強い酸である。 ④ HBrは水に溶けたとき、弱酸として振る舞うため電離度が低い。
②① HFは水素結合を形成することで分子同士が強く結びつき、H-F結合も非常に強固である。そのため、電離が起こりにくく、HFはハロゲン化水素の中で最も弱い酸である。水素結合の形成が酸性の強さを増強するのではなく、逆に電離を抑制する方向に働く。 ② ハロゲン化水素(HX)の酸の強さは、主にH-X結合の強さによって決まる。 ③ 酸性の強さはH-X結合の強さが主要な要因であり、電気陰性度だけでは決まらない。HFはフッ素の電気陰性度が高いため結合極性は強いが、結合エネルギーが非常に高く、電離しにくい。そのため、HFは酸性が弱く、HIのように結合が弱く電離しやすい分子の方が酸性が強くなる。 ④ HBrは強酸であり、水に溶けたときほぼ完全に電離する。HBr、HCl、HIはすべて水溶液中で完全に電離するため強酸に分類される。
フッ化水素酸に関する記述として適当でないものを1つ選び記号で答えよ。① フッ化水素酸は高い毒性を持ち、取り扱う際には十分な注意が必要である。 ② フッ化水素酸は水溶液中では電離しにくく、弱酸として振る舞う。 ③ フッ化水素酸は沸点が比較的高く、常温常圧で液体として存在する。 ④ フッ化水素酸は褐色のガラスビンに入れて保存する。
④① HFは非常に危険な物質で、低濃度であっても皮膚を通して体内に入り、カルシウムイオンと結合することで血液中のカルシウム濃度を著しく下げることがある(低カルシウム血症)。これが心臓停止などを引き起こす原因になる。 ② HFはハロゲン化水素の中で唯一の弱酸である。③ HFの沸点は約19.5℃で、ハロゲン化水素(HF, HCl, HBr, HI)の中では、HFの沸点が最も高いため、常温(25℃)常圧で液体として存在する。 ④ HFはガラスを溶かす性質があるため、プラスチック製の容器で保存しなければならない。
塩酸に関する記述のうち最も適切なものを1つ選び記号で答えよ。① 塩酸は水に溶けると弱酸として振る舞い、一部のみが電離する。 ② 塩酸は濃度が高いほど酸性が弱くなる。 ③ 塩酸はガラスを腐食する性質を持ち、プラスチック製の容器で保存される。 ④ 塩酸は亜鉛などの金属を溶かして水素ガスを発生させる。
④① 塩酸は強酸であり、水中でほぼ完全に電離する。 ② 塩酸の濃度が高いほど、溶液中のH⁺濃度(酸性度)は高くなる。したがって、濃度が高いほど酸性は強くなる。 ③ ガラスを腐食するのはフッ化水素酸(HF)であり、塩酸にはその性質はない。塩酸はガラス容器に安全に保存できる。 ④ 塩酸は強酸であり、亜鉛などの酸に反応する金属と反応して水素ガスを発生させる。Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂
臭化水素酸に関する記述として最も適切なものを1つ選び記号で答えよ。① 臭化水素酸はHClと比較して酸性が強い。 ② 臭化水素酸は水に溶けると弱酸として振る舞い、一部のみが電離する。 ③ 臭化水素酸は酸化作用を持つため、金属と反応して酸素ガスを発生させる。 ④ 臭化水素酸は空気中で安定であり、分解しにくい性質を持つ。
①① 酸の強さは HI>HBr>HCl>HF ② 臭化水素酸は強酸であり、水中でほぼ完全に電離する。 ③ 臭化水素酸は酸化作用ではなく、還元作用を示す場合がある。金属と反応する場合には、酸化反応により水素ガスが発生するが、酸素ガスは発生しない。 ④ 臭化水素酸は空気中では酸化されやすく、分解して臭素を生成する場合がある。特に光の影響を受けると分解が促進される。
ヨウ化水素酸に関する記述として最も適切なものを1つ選び記号で答えよ。① ヨウ化水素酸は水に溶けると一部のみ電離し、弱酸として振る舞う。 ② ヨウ化水素酸はハロゲン化水素酸の中で酸性が最も強い。 ③ ヨウ化水素酸は空気中で非常に安定し、光や熱でも分解しない。 ④ ヨウ化水素酸は酸化作用を示し、金属と反応して酸素ガスを発生させる。
②① ヨウ化水素酸は強酸であり、水中でほぼ完全に電離する。 ② 酸の強さは HI>HBr>HCl>HF ③ ヨウ化水素酸は空気中では酸化されやすく、光や熱の影響で分解してヨウ素や水素を生成する。 ④ ヨウ化水素酸は還元作用を示すことが多い。金属との反応では酸化反応により水素ガスが発生するが、酸素ガスは発生しない。
フッカ銀は沈殿するか。しない場合には しない 、する場合には沈殿の色を答えよ。
しない
塩化銀は沈殿するか。しない場合には しない 、する場合には沈殿の色を答えよ。
白色
臭化銀は沈殿するか。しない場合には しない 、する場合には沈殿の色を答えよ。
淡黄色
ヨウ化銀は沈殿するか。しない場合には しない 、する場合には沈殿の色を答えよ。
黄色
フッ化銀に関する記述として最も適切なものを1つ選び記号で答えよ。① フッ化銀は常温常圧で液体である。 ② フッ化銀は水に非常に溶けやすい。 ③ フッ化銀は強い還元剤として働く。 ④ フッカ銀は空気中で自然発火する危険がある。
②① AgF は固体である。 ② 銀ハロゲン化物の多くは水に不溶だが、AgF は水溶性が高い。 ③ AgF は酸化剤として働く。 ④ AgF は空気中で安定である。
塩化銀に関する記述として最も適切なものを1つ選び記号で答えよ。① 塩化銀は水に溶けやすく、透明な溶液を作る。 ② 塩化銀は常温では液体であり、固体としては存在しない。 ③ 塩化銀は水にほとんど溶けないが、アンモニア水には溶けやすい。 ④ 塩化銀は水に溶けると銀イオン(Ag⁺)と塩素イオン(Cl⁻)を生成するが、これらは沈殿として残る。
③① 塩化銀は水に非常に溶けにくく、わずかに溶けた量しか存在しない(水の溶解度:約1.9 × 10⁻⁵ mol/L)。透明な溶液にはならない。 ② 塩化銀は常温では白色の固体として存在する。液体になるには非常に高い温度(約455℃)が必要である。 ③ 塩化銀は水に対して難溶性だが、アンモニア水に溶解してジアンミン銀(I)錯体 [Ag(NH₃)₂⁺] を形成する。これが、アンモニア水で溶ける理由である。 ④ 塩化銀は水に溶けた場合、銀イオン(Ag⁺)と塩素イオン(Cl⁻)として存在するが、これが沈殿として残るわけではない。沈殿は、塩化銀の未溶解部分そのものである。
臭化銀に関する記述として最も適切なものを1つ選び記号で答えよ。① 臭化銀は光に対して安定で、感光性を示さない。 ② 臭化銀は水に難溶性であるが、濃硝酸には溶解する。 ③ 臭化銀は水に溶けやすく、銀イオン(Ag⁺)と臭化物イオン(Br⁻)を完全に解離する。 ④ 臭化銀は感光性を持ち、写真フィルムの材料として利用される。
④① 臭化銀は光に対して不安定であり、感光性を示す。光が当たるとAg⁺が還元されて金属銀(Ag)を生成する。 ② 臭化銀は水に難溶性だが、濃硝酸には溶解しない。ただし、アンモニア水には溶解して錯イオン [Ag(NH₃)₂⁺] を形成する。 ③ 臭化銀は水に非常に溶けにくく(難溶性)、銀イオンと臭化物イオンとして完全に解離することはない。 ④ 臭化銀は光に当たると分解し、銀の微粒子(Ag)を生成する感光性を持つ。この性質を利用して、写真フィルムや印画紙などの材料として使用される。
ヨウ化銀に関する記述として最も適切なものを1つ選び記号で答えよ。① ヨウ化銀は感光性を持つが、臭化銀や塩化銀に比べて感光性が低い。 ② ヨウ化銀は水に溶けやすく、工業的に銀イオン(Ag⁺)を得るために利用される。 ③ ヨウ化銀はアンモニア水には溶けず、錯イオンを形成しない。 ④ ヨウ化銀は融点が非常に低く、室温で液体として存在する。
①① ヨウ化銀は光に対して感光性を示すが、感光性は塩化銀や臭化銀に比べて低いため、写真フィルムとしての利用は限定的である。一方で、人工降雨のための雲生成剤(雲の核として作用)に使用されることがある。 ② ヨウ化銀は水に対して難溶性であり、銀イオンを得る方法としては不適切である。 ③ ヨウ化銀はアンモニア水にほとんど溶けないが、選択肢の表現は不完全である。これは、塩化銀や臭化銀と比較してアンモニア水との反応が起きにくいだけで、錯イオンを形成しないわけではないのである。 ④ ヨウ化銀は常温では固体であり、融点はおよそ550℃である。このため、常温で液体として存在することはない。