91 なくやしもよの
きりぎりす なくやしもよの さむしろに ころもかたしき ひとりかもねむ
92 しほひにみえぬ
わがそでは しほひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし
93 つねにもがもな
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのをぶねの つなでかなしも
94 やまのあきかぜ
みよしのの やまのあきかぜ さよふけて ふるさとさむく ころもうつなり
95 うきよのたみに
おほけなく うきよのたみに おほふかな わがたつそまに すみぞめのそで
96 あらしのにはの
はなさそふ あらしのにはの ゆきならで ふりゆくものは わがみなりけり
97 まつほのうらの
こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに やくやもしほの みもこがれつつ
98 ならのをがはの
かぜそよぐ ならのをがはの ゆふぐれは みそぎぞなつの しるしなりける
99 ひともうらめし
ひともをし ひともうらめし あぢきなく よをおもふゆゑに ものおもふみは
100 ふるきのきばの
ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なほあまりある むかしなりけり