土地の所有者が土地所有権に基づいて建物収去土地明渡し請求をする場合、だれを相手方とすべきか。
土地所有権に基づく物上請求権を行使して建物収去・土地明渡しを請求するには、現実に建物を所有することによってその土地を占拠し、土地所有権を侵害している者を相手方とすべきである。したがって、未登記建物の所有者が未登記のままこれを第三者に譲渡した場合には、これにより確定的に所有権を失うことになるから、その後、その意思に基づかずに譲渡人名義に所有権取得の登記がされても、右譲受人は、土地所有者による建物収去・土地明渡の請求につき、建物の所有権の喪失により土地を占拠していないことを主張することができる。また、建物の所有名義人が実際には建物を所有したことがなく、単に自己名義の所有権取得の登記を有するに過ぎない場合も、土地所有者に対し、建物収去・土地明渡の義務を負わないものというべきである。