急速ろ過のろ過水濁度上昇の対策を検討する場合、調査・検討すべき事項とその内容
(1)基本情報の調査
施設の形状、構造、能力、仕様、建設年度等の情報を整理する。原水、凝集沈澱の処理水及びろ過水について、水質(水温、濁度、pH等)、水量、使用薬品の種類や注入率等のデータを収集する。
(2)原因の究明
ろ過水の濁度が上昇する原因は、ろ過池の異常と凝集沈澱処理不良に大別できる。
ろ過池の異常は、①ろ過障害(砂層厚の減少、マッドボールの発生、負水頭ろ過等)、②ろ層以降の施設の異常(集水施設の劣化、濁度計の故障等)に起因する。
凝集沈澱処理不良は、①薬品注入の異常(薬品の品質不良、注入不足、誤注入、原水の濁度上昇等)、②凝集処理の異常(撹拌・混合の不足等)、③沈澱処理の異常(不適切な表面負荷率、短絡流発生等)に起因する。
これらを踏まえ、ろ過池の運転状況、薬品の注入状況、ジャーテストの実施方法等の調査、各施設の点検を実施し、ろ過水の濁度上昇の原因を特定する。
(3)対策の検討
ろ過池の異常への対策として、洗浄工程において、洗浄時間の見直し、サイフォン、弁栓類、表面洗浄管等の補修・更新等を行う。ろ層において、砂の補充、交換を行う。ろ過水濁度を0.1度以下に維持できない場合、洗浄のスロースタート・スローダウン、ろ過池二次側への紫外線処理の導入を実施する。ろ層以降では、集水施設の補修等を実施する。
凝集沈澱処理不良への対策として、撹拌混合速度や薬品注入量の調整、ジャーテストの実施方法の見直しを行う。施設の清掃、補修、更新を行い、機能回復を図る。こうした対策によっても、効果が不十分な場合、高塩基度PACや凝集補助剤等の導入、沈澱池における沈降装置の整備等を実施する。