高分子化合物
分子量が10000程度以上の分子からなる物質。有機化合物であるものを、有機高分子。無機化合物であるものを、無機高分子という。
天然高分子化合物
自然界に存在する高分子化合物。糖類、タンパク質、脂質、核酸、ビタミン
合成高分子化合物
石油などから人工的につくられる高分子化合物。合成繊維、合成樹脂、合成ゴム
単量体(モノマー)
1種類または数種類の小さな分子
重合体(ポリマー)
10²~10³個以上、単量体が共有結合でつながってできる大きな分子。高分子化合物を構成
重合度
重合体の中で繰り返し繋がっている単量体の個数のこと
重合
多数の単量体が次々と結合して重合体ができる反応
共重合
単量体が2種類以上であるときの重合
付加重合
二重結合や三重結合をもつ単量体が付加反応で結合する反応
縮合重合
分子内に2個以上の官能基をもつ単量体が縮合重合で次々と結合する反応
付加縮合
付加反応と縮合反応の両方が起こる重合
開環重合
環状構造をもつ単量体の環が開いて結合する反応
結晶構造
高分子化合物の個体は結晶構造(分子が規則正しく並ぶ構造)と非結晶構造(分子が不規則に並ぶ構造)の部分からなる。結晶構造の割合が多いと硬く高密度で不透明、非結晶構造の割合が多いとやわらかく低密度で透明になる
高分子化合物の分子量
高分子化合物に含まれる重合体の分子量の平均値である平均分子量(各分子の分子量の総和/全体分子の数)を用いるる
軟化点
やわらかくなりはじめる温度。加熱時に明確な融点を示さず、ある程度の温度以上で徐々にやわらかくなる
糖類(炭水化物)
天然有機化合物のうち、ホルミル基ーCHOまたはカルボニル基ーCO-と二つ以上のヒドロキシ基ーOHをもつ化合物の総称。最小単位はを単糖、2つの単糖がつながった糖を二糖、多数つながったものを多糖という。脱水縮合で繋がる→加水分解すると単糖に戻る
グルコース(ブドウ糖)C₆H₁₂O₆ 単糖
白色粉末の結晶・溶・甘味あり 多くの動植物のエネルギー源、甘味料、菓子・医薬品、有機化合物の合成原料 光合成:6CO₂+6H₂O₋(光合成)→C₆H₁₂O₆(グルコース)+6O₂ 工:(C₆H₁₀O₅)ⁿ+nH₂O₋(加水分解)→nC₆H₁₂O₆ アルドース、フラノース形
グルコース(ブドウ糖)C₆H₁₂O₆ 単糖 構造
①③はいす形、O原子1個とC原子5個が単結合で環状に繋がった構造。①α₋グルコース(環状構造)②グルコース(鎖状構造)③β₋グルコース(環状構造)をもつ。結晶中は①。水溶液中は①②③が平衡状態。環状構造にホルミル基がある→グルコース水溶液には還元性→フェーリング反応、銀鏡反応。
ヘミアセタール構造
>C(ーOH)ーOーの構造。この部分で環が開く
フルクトース(果糖)C₆H₁₂O₆ 単糖
白色粉末の結晶・溶・最も強い甘味 蜂蜜や果実に存在 ケト―ス、フラノース形、ピラノース形
フルクトース(果糖)C₆H₁₂O₆ 単糖 構造
①O原子1個とC原子5個、③O原子1個とC原子4個が環状に繋がっている①環状構造(六員環)②鎖状構造 ③環状構造(五員環)結晶中は①、水中は①②③が平衡状態 鎖状構造にホルミル基はないが、酸化されやすい部分がある→還元性を示す
ガラクトース C₆H₁₂O₆ 単糖
弱い甘味 ラクトースの構成成分、寒天に含まれる多糖のガラクタンを加水分解して生成。 鎖状構造にホルミル基がある→還元性を示す
アルコール発酵
C₆H₁₂O₆₋(酵素、発酵)→2C₂H₅OH(エタノール)+2CO₂ グルコースやフルクトースを酵母が作る酵素でエタノールとCO₂に分解、酒類やパン
マルトース(麦芽糖)C₁₂H₂₂O₁₂ 二糖
程よい甘味 水あめ、飴の主成分 デンプンにアミラーゼ(酵素)を作用させて加水分解
マルトース(麦芽糖)C₁₂H₂₂O₁₂ 二糖 構造
α₋グルコース分子のC1原子と別のグルコース分子のC4原子がヒドロキシ基₋OHどうしの脱水縮合した構造 水溶液は還元性を示す
マルトース(麦芽糖)C₁₂H₂₂O₁₂ 二糖 加水分解
希硫酸などの希酸(H⁺が触媒)を加えて加熱、マルターゼ(酵素)を加える→グリコシド結合の部分が加水分解されてグルコース2分子ができる
グリコシド結合
単糖のヘミアセタール構造のC原子に結合したーOHと別の分子のーOHとの間の脱水縮合によりできるC-O-Cの構造
スクロース(ショ糖)C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖
無色の結晶・よく溶・甘味あり サトウキビやテンサイから精製 角砂糖やグラニュー糖
スクロース(ショ糖)C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖 構造
α₋グルコース分子のC1原子とβ₋フルクトース分子のC2原子がグリコシド結合でつながった構造をもつ。ヘミアセタール構造がなく、開環できない→還元性を示さない
スクロース(ショ糖)C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖 加水分解
スクロースに希酸を加えて加熱、インベルターゼ(またスクラーゼ、酵素)を加える→加水分解されて、グルコース1分子とフルクトース1分子
転化糖
転化できるグルコースとフルクトースの等量混合物。転化水は還元性を示す。C₁₂H₂₂O₁₁(スクロース)⁺H₂O―(H⁺またはインベルターゼ、転化)→C₆H₁₂O₆(グルコース)+C₆H₁₂O₆(フルクトース) グルコースやフルクトース水溶液は還元性を示す→転化糖の水溶液も還元性を示す。
セロビオース C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖
セルロースにセルラーゼという酵素を作用させて加水分解して得られる。甘味はほとんどもたない
セロビオース C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖 構造
β₋グルコース分子のC1原子と別のグルコース分子のC4原子がグリコシド結合した構造。ヘミアセタール構造をもつ→還元性を示す
セロビオース C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖 加水分解
セロビオースに希酸を加えて加熱したり、セロビアーゼという酵素を作用させると加水分解が起こり、グルコース2分子ができる
ラクトース(乳糖) C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖
白色粉末状の結晶。水によく溶ける。弱い甘味をもつ。哺乳類の乳汁中に含まれる。
ラクトース(乳糖) C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖 構造
β₋ガラクトースとグルコースがグリコシド結合で結合した構造。ヘミアセタール構造をもつ→還元性を示す
ラクトース(乳糖) C₁₂H₂₂O₁₁ 二糖 加水分解
希酸またはラクターゼという酵素で加水分解をすると、ガラクトースとグルコースができる
還元糖(水溶液が還元性を示す糖類)
グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース、マルトース(麦芽糖)、セロビオース、ラクトース(乳糖)
多糖の性質
分子量は10⁴~10⁷程度と非常に大きい。無定形で水に溶けにくいものが多いが、溶けてコロイド溶液になるものもある。甘味はもたず、還元性は示さない
デンプン (C₆H₁₀O₅)ⁿ
植物がグルコースを貯蔵する形の一つ。種子・塊根・地下茎などにデンプン粒として存在。アミロース(熱水に溶けやすい成分)とアミロペクチン(熱水にも溶けにくい成分)の二つがある。うるち米はアミロースが20~25%含まれるのに対して、もち米はほぼアミロペクチン
アミロースの構造
10²~10³個程度のα₋グルコースがC1原子とC4原子間の脱水縮合で直鎖状に重合した構造をもつ。約6分子で1回転するらせん構造。水素結合で固定。分子量は10⁴~10⁵。ヨウ素デンプン反応:濃青色
アミロペクチンの構造
10⁴~10⁵個程度のα₋グルコースがC1原子とC4原子に加えて、C1とC6原子の間で重合した枝分かれ構造をもつ。約6分子で1回転するらせん構造。水素結合で固定。分子量は10⁶~10⁷。ヨウ素デンプン反応:赤紫色
デンプンの性質1
(C₆H₁₀O₅)ⁿ(デンプン)+nH₂O-(希酸(H⁺が触媒)、加水分解)→nC₆H₁₂O₆(グルコース)
デンプンの性質2
(C₆H₁₀O₅)ⁿ(デンプン)-(アミラーゼ)、加水分解)→C₁₂H₂₂O₁₁(マルトース)₋(マルターゼ、加水分解)→C₆H₁₂O₆(グルコース)
デキストリン
デンプンの加水分解を途中で停止させると得られる、デンプンよりも分子量がやや小さい多糖。水に溶けやすい。糊、水溶性フィルム(オブラート)、酒造原料
ヨウ素デンプン反応
デンプン分子のらせん構造にヨウ素カリウム溶液のI₂やI₃⁻などが取り込まれ、青~青紫色に呈色する。呈色はらせん構造の長さによって異なる。
グリコーゲン(C₆H₁₀O₅)ⁿ 動物デンプン
動物の肝臓や筋肉中に存在する。 C₆H₁₂O₆(固)+6O₂(気)→6CO₂(気)+6H₂O(液)
グリコーゲン(C₆H₁₀O₅)ⁿ 構造
多数のα₋グルコースが重合した構造。アミロペクチンよりも多く枝分かれ構造があり、分子は球状。水に溶け、還元性は示さない。ヨウ素デンプン反応:赤褐色
セルロース(C₆H₁₀O₅)ⁿ
植物の細胞壁の主成分である多糖。植物の質量の30~50%を占める。衣料品や紙の線維
セルロース(C₆H₁₀O₅)ⁿ 構造
多数のβ‐グルコースがC1原子とC4原子の間の脱水縮合で重合した構造。単純な直鎖状構造、分子量は10⁵~10⁷
セルロース(C₆H₁₀O₅)ⁿ 性質
長い直鎖状の分子同士が水素結合で強く結びついている→繊維。熱水や有機溶媒に溶けにくく、還元性やヨウ素デンプン反応を示さない。(C₆H₁₀O₅)ⁿ(セルロース)+nH₂O₋(希酸(H⁺が触媒)、加水分解)→n(C₆H₁₂O₆)(グルコース)またセルラーゼを作用させると、加水分解してセロビオースになる
ニトロセルロース
セルロースに濃硫酸と濃硝酸(混酸)を加えて反応させた硝酸エステル。硝酸との反応の進み具合によって、ジニトロセルロースやトリニトロセルロースなどが得られる。
トリニトロセルロース
[C₆H₇O₂(OH)₃]ⁿ(セルロース)+3nHONO₂(硝酸)→[C₆H₇O₂(ONO₂)₃]ⁿ(トリニトロセルロース)+3nH₂O
アセテート 半合成繊維
セルロースと無水酢酸を酢酸と硫酸の存在下で反応させた酢酸エステル。トリアセチルセルロースは溶けにくいが、加水分解したジアセチルセルロースは溶け、アセトンに溶かして細孔から押し出すとアセテートという繊維になる。
トリアセチルセルロース
[C₆H₇O₂(OH)₃]ⁿ(セルロース)+3n(CH₃CO)₂O(無水酢酸)-(アセチル化)→[C₆H₇O₂(OCOCH₃)₃]ⁿ(トリアセチルセルロース)+3nCH₃COOH
銅アンモニアレーヨン(キュプラ)
シュバイツァー試薬(水酸化銅(Ⅱ)に濃アンモニア水を加えてできる、テトラアンミン銅(Ⅱ)イオンを含む濃アンモニア水)にセルロースを溶かして、希酸中で細孔から押し出して再びセルロースに戻したもの
ビスコース
セルロースを水酸化ナトリウム水溶液及び二硫化炭素CS₂と反応させ、薄い水酸化ナトリウム水溶液に溶かしたもの
ビスコースレーヨンとロハン
ビスコースを希硫酸中で細孔から押し出して再びセルロースに戻した繊維とスリットから押し出して膜状にしたもの。
再生繊維
短いセルロースを化学反応により長い繊維に再生したもの
アミノ酸
分子内にアミノ基₋NH₂とカルボキシ基₋COOHがある化合物。高分子化合物はタンパク質
α₋アミノ酸
₋NH₂と‐COOHが同じC原子に結合しているアミノ酸。タンパク質に含まれる主要なアミノ酸はこれ。20種類ある。このうち体内で合成されなかったり、合成しにくいものを必須アミノ酸
α₋アミノ酸 鏡像異性体
グリシンを除く主要なα₋アミノ酸は鏡像異性体をもつ。L型とD型に区別され、自然に存在するのはほぼL型
双性イオン
正と負の両方の電荷をもち、全体として電荷が0のイオン。アミノ酸は双性イオン。水に溶けやすく、有機溶媒には溶けにくい。結晶では双性イオン同士が互いに引きあう(イオン結晶に近い)
両性電解質
水溶液中で双性イオン、陽イオン、陰イオンが電気平衡の状態で存在する
等電位
分子の全体の電荷が0になるpHの値。電気泳動が起こらない。
アミノ酸の検出1 ニンヒドリン反応
アミノ酸の水溶液にニンヒドリン水溶液を加えて温めると、₋NH₂がニンヒドリンと反応して赤紫~青紫色に呈色する反応
アミノ酸の検出2
アミノ酸は‐COOHをもつので、アルコールと反応してエステルになる。また、アミノ酸は‐NH₂をもつのでカルボン酸無水物と反応してアミドになる
ペプチド
アミノ酸分子間で、₋COOHと‐NH₂の間で脱水縮合が起こり、アミド結合₋CO₋NH₋でアミノ酸がつながったもの。ペプチドに含まれるアミド結合はペプチド結合という。2つのアミノ酸はジペプチド、3つはトリペプチド。多数はポリペプチド。
単純タンパク質
α₋アミノ酸のみからなるタンパク質。アルブミン(卵白や血清、水や食塩水溶け)グロブリン(卵白や血清、食塩水溶け)グルテニン(小麦)ケラチン(角、爪、毛)コラーゲン(皮膚、骨、腱)フィブロイン(絹糸やクモ糸)
複合タンパク質
α₋アミノ酸に加えて、糖・リン酸・核酸・色素などを含むタンパク質。ムチン(唾液や関節液、粘液中)ヘモグロビン、カゼイン(牛乳)
球状タンパク質
ポリペプチドの立体構造が球状のもの。多くが外側に親水基がある→水に溶けやすく、細胞内や体液中に存在。アルブミンやグロブリン
繊維状タンパク質
ポリペプチドの立体構造が繊維状のもの。水に溶けにくく、筋肉や組織に含まれる。ケラチン・コラーゲン・フィブロイン
タンパク質 水溶液
水溶性タンパク質が水に分散すると、親水コロイドになる。多量の電解質を加えると塩析が起こる
タンパク質 加水分解
希酸を加えて加熱したり、タンパク質分解酵素(プロテアーゼなど)を作用させたりすると、加水分解されて構成成分のα₋アミノ酸などが生じる
タンパク質 変性
熱・酸・塩基・重金属イオン(Cu²⁺・Hg²⁺・Pb²⁺など)・有機溶媒などを加えると起こる。
タンパク質の検出 ビウレット反応
薄い水酸化ナトリウム水溶液を加えて混ぜた後、薄い硫酸銅(Ⅱ)CuSO₄水溶液を少量加えると、赤紫色に呈色する。3分子以上のアミノ酸からなるペプチドがCu²⁺と錯イオンをつくることで起こる。
タンパク質の検出 キサントプロテイン反応
濃硝酸HNO₃を加えて加熱すると黄色になり、さらに、冷却後アンモニア水を加えて塩基性にすると橙黄色になる反応。タンパク質中のチロシンなどに含まれるベンゼン環がニトロ化されることで起こる。
タンパク質の反応 硫黄Sの検出
水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し、酢酸鉛(Ⅱ)(CH₃COO)₂Pb水溶液を加えると黒色沈殿が生じる。タンパク質中のシステインなどに含まれる硫黄原子SからできたS²⁻とPb²⁺が反応して硫化鉛(Ⅱ)PbSができることで起こる
タンパク質の反応 窒素Nの検出
固体の水酸化ナトリウムを加えて加熱すると、気体が生じる。水で湿らせた赤色リトマス紙を近づけると青くなる。タンパク質が分解されてNH₃が生じることで起こる
基質特異性
酵素は特定の基質とのみ結合する
反応特異性
酵素は特定の反応のみ触媒となる
アミラーゼ(加水分解酵素)
唾液 デンプン→マルトース 還元性を示さない
セルラーゼ
セルロース→セロビオース 還元性を示さない
マルターゼ(加水分解酵素)
腸液、唾液 マルトース→グルコース+α₋グルコース 還元性を示す
インベルターゼ(スクラーゼ)
酵母 スクロース→α₋グルコース+β₋フルクトース 還元性を示さない
セロビアーゼ
セロビオース→β₋グルコース+グルコース 還元性を示す
ラクターゼ
ラクトース→β₋ガラクトース+グルコース 還元性を示す
アルドース
鎖状構造がアルデヒドである単糖
ケト―ス
鎖状構造がケトンである単糖
ピラノース形
糖の分子中の六員環構造
フラノース形
糖の分子中の五員環構造
加水分解酵素 タンパク質→ポリペプチド
ペプシン(胃液)、トリプシン(すい液)
加水分解酵素 ポリペプチド→アミノ酸
ペプチダーゼ(すい液、腸液)
加水分解酵素 油脂→脂肪酸+モノグリセリド
リパーゼ(すい液、胃液)
加水分解酵素 尿素→CO₂+2NH₃
ウレアーゼ(胃粘液、赤血球)
加水分解酵素 DNA→ヌクレオチド
デオキシリボヌクレアーゼ(いろいろな細胞内)
酸化還元酵素 酸化反応を起こす
オキシダーゼ(いろいろな細胞内)
酸化還元酵素 2H₂O₂→2H₂O+O₂
カタラーゼ(肝臓、赤血球)
脱離酵素 カルボン酸からCO₂を分離
デカルボキシラーゼ(いろいろな細胞内)
合成酵素 遺伝子のDNAどうしをつなぐ
DNAリガーゼ(いろいろな細胞内)
#化学 #有機化学