豪雨により河川で高濁度が発生した際の対策を検討するにあたり、調査・検討すべき事項とその内容
1 高濁度原水対策に関する調査・検討内容
豪雨により原水が高濁度になった際の対策を講じるため、以下のことについて調査・検討を行う。
(1)基本情報の調査
施設の形式、構造、能力等の諸元、河川の流量、水質、雨量の測定点を調査する。また、過去に発生した豪雨の降水量、濁度上昇の経過、フロックの状態、取水量、薬品注入率等の情報を把握する。
(2)評価・分析
雨量と原水濁度の関係を分析し、今後の高濁度原水を推定する。凝集処理の撹拌混合能力、薬品注入可能量、沈澱処理の表面負荷率、排泥可能量、排水処理のスラッジ貯留可能量等が、高濁度原水に対応できるか評価する。さらに、配水量と配水池容量から取水停止可能時間を把握する。
(3)対応策の検討(事前対応と事後対応)
①事前対応
平常時における事前対応として、混和池やフロック形成池の撹拌強度の変更、薬品注入位置の変更等を実施する。さらに強化策が必要な場合、原水調整池、スラッジ緊急貯留槽、二段凝集設備の整備、高塩基度PACの使用等を実施する。
②事後対応
非常時における事後対応は、原水濁度が上昇する前と、上昇した後に分けて対応策を検討する。
上昇前は、配水池水位の確保、ろ過池の事前洗浄、沈澱池の事前排泥、排水処理の先行運転等を行う。水源水質の監視を強化し、適宜、薬品注入量の増加を行い、急激な濁度上昇を整える。
上昇後は、浄水処理の強化とピークカットを行う。浄水処理の強化については、原水濁度やpH等を頻繁に確認し、濁度上昇に追従できるよう速やかに薬品注入量を増加する。濁度監視を強化し、適切に沈澱池の排泥、ろ過池の洗浄を実施する。ピークカットについては、取水量を減少させた後、薬品注入可能量を超過する前に取水停止を行う。