Casey 2024年11月13日 カード33 いいね1

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単語カード

  • 有効核電荷の定義とスレーター則を説明せよ。
    有効核電荷:注⽬する電⼦が感じる中⼼原⼦核の電荷の⼤きさのこと。
    スレーター則:有効核電荷の⼤きさを⾒積もる半経験的な近似⼿法。軌道ごとに定義された
    遮蔽の⼤きさを⽤いて遮蔽定数を求め、有効核電荷の値を求める。
  • 周期表における有効核電荷の変化の傾向と元素の特性(共有結合半径、イオン化エネ
    ルギー)との相関性について説明せよ。
    共有結合半径は、 同周期では周期表の右に⾏くにつれて⼩さくなり、同族では下に⾏くにつ
    れて⼤きくなる。これは、周期表の右側にいくほど有効核電荷が⼤きくなり電⼦が中⼼に引
    きつけられるため、下側に⾏くほど最外殻が中⼼から遠くなるためと考えられる。
    イオン化エネルギーは、ほとんどの場合、同周期では周期表の右に⾏くにつれて⼤きくなり、
    同族では下に⾏くにつれて⼩さくなる。これは、周期表の右側にいくほど有効核電荷が⼤き
    くなり電⼦が中⼼に引きつけられ、電⼦が⾶び出しにくくなるため、下側に⾏くほど最外殻
    が中⼼から遠くなり、電⼦が⾶び出しやすくなるためと考えられる。
  • 以下の(a)、(b)でイオン化エネルギーの⼤きな原⼦はそれぞれどちらか、その理由を付
    けて説明せよ。(a) N と O (b) Mg と Al
    (a) N の⽅がイオン化エネルギーが⼤きい
    理由:有効核電荷は O の⽅が⼤きいが、O 原⼦は 2px 軌道に 2 つの電⼦が⼊っており、こ
    れの反発の効果が有効核電荷の影響よりも⼤きく、電⼦が⾶び出しやすくなるため。
    (b) Mg の⽅がイオン化エネルギーが⼤きい
    理由:3s 軌道より 3p 軌道の⽅が結合が緩く、電⼦の束縛が緩くなっており、電⼦が⾶び出
    しやすくなるため。
  • 1 族における分極率の傾向を述べ、その傾向を⽣み出すメカニズムについて説明せよ。
    分極率は周期が⼤きいほど⼤きくなる。これは、周期が⼤きくなるほど最外殻電⼦が中⼼か
    ら遠くなり、外場の影響を受けやすくなるためと考えられる。
  • VSEPR モデルを結合電⼦対、⾮共有電⼦対を介して説明し、SO32-を取り上げ、VSEPR
    モデルにより分⼦形を説明せよ。
    VSEPR モデルは分⼦の形を決めるモデルであ
    り、電⼦密度の⾼い結合電⼦対および⾮共有電
    ⼦対をできるだけ遠くに配置するモデルであ
    る。SO32-のルイス構造は右のようになってお
    り、4 ⽅向に電⼦対を伸ばすため、電⼦対は正
    四⾯体形に広がる。従って、分⼦は三⾓錐形になる。
  • 酸素分⼦ O2 の磁性が、VB 法の枠組みでは説明できないことを説明せよ。
    VB 法を⽤いて酸素の結合を考える場合、 sp2 軌道の結合と pz 軌道の結合の 2 重結合となる。
    しかしこの時、それぞれの結合で電⼦スピン対を形成するため、 磁性が⽣じないことになる。
  • Li2 から F2 までの等核⼆原⼦分⼦の分⼦軌道エネルギーを図⽰して、軌道エネルギーの
    分⼦依存性について、その理由とともに説明せよ。
    全体として軌道エネルギーは周期表の右に⾏くにつれて低くなる。これは有効核電荷が増
    加することにより各軌道の電⼦が安定に存在できるためである。
    また、1πu が 2σg と逆転しているのは、軌道の安定化は内側の軌道の⽅が影響を強く受け、
    これにより 1s 軌道と 2σg 軌道の相互作⽤が⼩さくなることで 2σg 軌道は安定化されていく
    のに対し、 1πu 軌道は対称性が異なるために軌道相互作⽤がなく、 クーロン相互作⽤による
    安定化しか受けないため。
  • XH2 分⼦のウォルシュ図において、1σg、1σu、1πu の各分⼦軌道エネルギーの結合⾓依
    存性(180°→90°)を図⽰するとともに、その理由を説明せよ。
    1σg 軌道は折れることにより結合性軌道の重なりが⼤きくなるため
    安定化される。1σu 軌道は折れることにより判決合成軌道が近づく
    ことになるため不安定化される。1πu 軌道は、折れる⽅向と垂直な
    ものは無関係であるため変化はなく、折れる⽅向と平⾏なものは重
    なりが⼤きくなるため安定化される。
  • フッ化⽔素 HF とヨウ化⽔素 HI では、どちらがブレンステッド酸として酸強度が強い
    と考えられるか、その理由とともに説明せよ。
    HI の⽅が強い
    理由:I-の⽅が F-よりも電⼦の存在領域が広く、⽔素との結合距離が⻑いため、解離しやす
    いから。
  • アクア鉄イオンの[Fe(OH2)6]3+と[Fe(OH2)6]2+では、どちらがブレンステッド酸として
    酸強度が強いと考えられるか、その理由とともに説明せよ。
    [Fe(OH2)6]3+の⽅が強い。
    理由:アクア酸(などオキソ酸)は中⼼イオンの電荷(=酸化数)が⼤きい⽅が、⽔素原⼦周り
    の電⼦密度が下がり⽔素イオンが解離しやすくなり、酸強度が強いため。
  • 反応 BF! + NH"Cl → BF!NH! + HCl において、ルイス塩基として働いている部分はどれ
    かを、理由とともに説明せよ。
    ルイス塩基として働く部分:NH4Cl の N-H 結合
    理由:N-H 結合を切り離し、それにより⽣じる⾮共有電⼦対を BF3 に供与しているため。
  • HSAB 則において、 HOMO と LUMO のエネルギー準位と硬い酸・塩基、 軟らかい酸・
    塩基との関係性を説明せよ。
    硬い酸:LUMO が⾼く HOMO が低い
    硬い塩基:LUMO が低い
    軟らかい酸:LUMO が低い
    軟らかい塩基: HOMO が⾼い
  • イオン化傾向と標準酸化還元電位に関する相関性について説明せよ。
    イオン化傾向の⾼い原⼦は標準酸化還元電位が低くなる傾向がある。 これは、イオン化傾向
    は電⼦の失いやすさの定性的な指標であるのに対し、標準酸化還元電位は電⼦の失いやす
    さの定量的な指標であるためにこのような関係があると考えられる。
  • エリンガム図について説明を⾏い、その有⽤性が顕著となる例を述べよ。
    ⾦属酸化物の温度に対する標準⽣成ギブズエネルギーをプロットした図のこと。炭素の反
    応のギブズエネルギーと⽐較することで、どのような温度 ・圧⼒の条件で⾦属の還元が⾃発
    的に⽣じるかを⾒積もることができる。
  • 原子構造 において 、 原子の 大きさ と 重さ を 決めているもの をそれぞれ 説明 せよ。
    大きさ:電子の軌道 重さ:原子核(陽子と中性子)の質量
  • 同位体を 活用した 例を一つ 取り 上げ、同位体の 特性をどのよ うに活用 しているのかについ
    て説明 せよ。
    C-H 結合を C-D 結合に変えることによって反応の律速段階を解析するという有機反応
    解析。これは重い元素の方が持っているエネルギーが低く安定であるため、炭素との結
    合が切れにくいという特性を用いたものである。また、同位体の科学的な性質はほぼ変
    わらないが物理的な性質が異なるという性質を活用している。
    NMR 分光法:安定同位体であることで NMR でとらえることができるうえ、存在比と
    質量数の違いから炭素数の見積もりができる。
  • 核反応 によって 形成される 核種 で安定となるものを 明示し、 その理由を説明せよ 。
    Fe や Ni 核結合によって放出されるエネルギーを核結合エネルギーというが、これが
    大きいほど核結合によって形成された核種は安定だといえる。 Fe や Ni は核結合エネル
    ギーが大きく安定であるといえる。また Fe より重い元素はエネルギーを消費する反応
    により作られる。
  • Cr と Cu の 基底状態の 電子配置を 示し、 それらの 共通 した 特徴を 説明 せよ。
    Cr:[Ar] (3d)5 (4s)1 Cu:[Ar] (3d)10 (4s)1
    4s 軌道の電子を一つ 3d 軌道に移すことによって 3d 軌道を半分もしくは完全に満たし
    安定化している
  • 有効 核電荷の定義とスレーター則を説明せよ。
    有効核電荷:着目する電子が感じる中心原子核の電荷
    スレーター則:真の核電荷から遮蔽定数を引いたものが有効核電荷であり、 それを見積
    もる経験則のこと。 遮蔽定数は着目する電子以外の電子がどれほど核電荷を遮蔽するか
    を表した数値であり、電子の属する軌道によってその値は異なる
  • 周期表 に おける有効核電荷 の傾向 を 示し、 その 理由を 説明せよ 。
    原子番号が増加するほど有効核電荷は大きくなっている。 これは同周期では最外殻電子
    が増えても遮蔽が増えた分の原子核の電荷を上回ることがないためである。
  • 有効核電荷 の 変化 傾向と元素 の特性 (共有 結合半径、イオン化エネルギー)との相関性に
    ついて説明せよ。
    有効核電荷が増大するほど共有結合半径は小さくなる、有効核電荷が増大するほどイオ
    ン化エネルギーは大きくなる
  • 分極率の 定義を 説明し、 2族 元素 における 分極率 の傾向 とその傾向を生み出す 理由 につい
    て説明せよ。
    分極率:電場の中に置かれた原子の変形のしやすさの指標
    2 族元素において周期表で下に行くほど分極率は大きくなる。これは主量子数が大きく
    なるほど電子が原子核から離れ、外電場による電子の位置の変調が容易に起こるためで
    ある。
  • 形式 電荷 と酸化数 が 、化学 結合 の“ 共有結合性” と“イオン結合性”と それぞれどのよう
    な対応 関係 にあるのか を説明せよ。
    形式電荷は電子対が完全に等しく共有されるという共有結合を前提とし、その時に各原
    子が持つ電荷のことである。一方酸化数は電気陰性度の大きい原子が結合を作る二個の
    電子を全部取った時に各原子が持つ酸化数を示したもので、イオン結合性を誇張したも
    のである。
  • 原子価 結合(VB)理論 と分子 軌道(MO)理論 の概略 をそれぞれ 説明 し、 両者の 差異を 説明 せ
    よ。
    VB 法は別々の分子断片の波動関数を重ね合わせて結合電子対の波動関数を作るものだ
    が、MO 法はそれぞれの波動関数の積で表したものである。VB 法での軌道は一つの原
    子の軌道であるが、MO 法での軌道は分子全体の軌道である。
  • 酸素分子 O2 の磁性が、VB 法 の枠組みでは説明できないことを証明せよ。
    VB 法で酸素分子の結合を考えると、σ結合が一つ、π結合が一つ、ローンペアが 4 つ
    となりすべての電子スピンが対をなしており、磁性がないことになってしまう。
  • Li2 から F2 までの等核二原子分子 群 において、 不対電子 を 有する 分子 を2つ 示し 、それら
    の電子配置を分子軌道エネルギー として 図示せよ 。
    B2、O2
  • ウォルッシュ図 を用いることによって、 どのような 分子 の情報が抽出 される か について説
    明せよ 。
    結合角に依存する分子軌道の占有のされ方を示した図であり、分子の形を予測できる。
  • 分子構造の どのような特徴に 着目すれば、 ブレンステッド 酸として酸強度が強いと考えら
    れるか について 説明せよ 。
    プロトン供与の起こりやすさ、共役塩基の安定性(負電荷が非局在化している)
  • エタノール と 酢酸 では、どちらがブレンステッド酸として酸強度が強いと考えられるか、
    その 理由とともに 説明せよ 。
    エタノールは脱プロトン化した際電子が O 原子上にしか存在できないが、酢酸は脱プ
    ロトン化したときに共鳴構造体を作ることができ、 負電荷が空間的により広く分布でき
    るため安定になる。したがって共役塩基の安定性から酢酸の方が強い酸といえる
  • ルイス 酸としての 強さ は、BF3 < BCl3 < BBr3 の順で あるが、その メカニズムに ついて 説明
    せよ 。
    ハロゲンの p 軌道とホウ素の空の p 軌道はπ結合を作っている。そのためほかの化学種
    と反応するときにこのπ軌道を切らなければならない。したがって、 π結合の強い BF3
    は酸性度が下がり、この効果の薄い BBr3は酸性度があまり下がらない。
  • HSAB 則において、HOMO と LUMO のエネルギー準位 と硬い酸・塩基、軟らかい酸・塩
    基との関係性を説明せよ。
    硬い酸塩基相互作用はイオン結合性が高いため、HOMO-LUMO 間のエネルギー差が
    大きい。一方柔らかい酸塩基相互作用は共有結合性が高いため、 HOMO-LUMO 間のエ
    ネルギー差が小さい。したがって LUMO のエネルギー準位が高い酸が硬い酸で、低い
    酸は柔らかい酸である。また HOMO のエネルギー準位が低い塩基が硬い塩基で、高い
    塩基が柔らかい塩基である。
  • イオン化傾向と標準酸化還元電位に関する相関性について説明せよ。
    イオン化傾向が高くなるほど標準酸化還元電位は負に大きくなる。
  • イオン固体の バンド ギャ ッ プはイオン間距離 の逆数 と相関 性を 有するが、 その 相関 性 のメ
    カニズム を “マーデリング ポテンシャル ” を介して 説明せよ 。
    イオン固体では結晶構造中にイオンが存在しているためその影響を考慮しなければな
    らない。マーデリングポテンシャルはイオン半径の逆数に比例するが、その寄与が最も
    大きいため、バンドギャップもイオン半径の逆数に比例する。
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