おん 2025年06月14日 カード714 いいね0

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単語カード

  • 生涯発達
    人間が生まれてから死ぬまでの心身の変化
  • 発達観
    人間がなぜ,どのように発達していくのかといった捉え方
  • 連続的発達観
    横軸に年齢をとり,縦軸に発達の指標値(体重や記憶力,語彙力など)をとって発達の指標をグラフ化すると,発達は滑らかな曲線で描かれる連続的な変化と考え,量的な側面に注目
  • 段階的発達観
    発達は急激な時期と安定した時期とが交互に訪れるような段階的な変化をたどるものと考える
    ;量的な変化だけでなく質的な変化がある
  • 発達区分
    胎児期,乳児期,幼児期,学童期,青年期,成人期,老年期という発達心理学で用いられる一般的な発達の区分
  • 細胞期
    受精後2週目(妊娠4週目)まで
    ;受精卵が子宮に着床するまでの時期
  • 胎芽期
    受精後8週目(妊娠10週目)まで
  • 胎児期
    誕生まで
  • 新生児期
    生後28日未満まで
  • 乳児期
    新生児期含め1歳半まで
  • 幼児期
    1歳半から小学校に入学するまで
  • 第一次反抗期(イヤイヤ期)
    2歳ごろから自我が芽生え,自己主張が激しくなる
  • 学童期(児童期)
    小学校に通っている時期
  • 青年期
    性ホルモンの分泌が上昇し,第二次性徴が始まる頃(12歳頃)から,学校生活を終えることまで
  • 思春期
    青年期最初の時期,性的成熟の時期
  • 成人期
    20~65歳頃まで
  • 老年期
    仕事や子育てから退いて以降の時期;65歳以上
  • 保育所保育指針
    保育に関する「ねらい及び内容」が記載されている
  • 『<子供>の誕生』
    アリエスの著書
    ;中世までは子ども期という概念が存在しておらず,自分の身の回りのことができるようになって以降は,大人と同じ服を着て,労働,遊戯に参加していた
  • ルソー
    子どもは子どもとして人間であることを主張・子ども観の確立
  • ペスタロッチ
    ルソーの子ども観に影響を受けた
  • フレーベル
    ルソーの子ども観に影響を受けた;幼稚園を初めて作った
  • 子ども観
    ・子どもは大人とは違う独自の存在
    ・子どもらしさが大切
    ・生まれた時は無垢であるが,大人によって悪い影響を受けることがあるため,よい教育(環境)を与えて育てていくべき
  • 社会的環境
    ヒトは社会的な生き物(社会脳仮説;ヒトの脳が大きくなった背景には集団生活がある)であり,物理的環境だけではなく,社会的環境から多くの影響を受ける
  • 社会的相互作用
    さまざまな他者とのやりとり
  • ヴィゴツキー
    高次精神機能・精神間機能・精神内機能・内言・外言・発達の最近接領域
  • 高次精神機能
    意図的な注意,論理的記憶,概念形成および言語を用いた思考
  • 精神間機能
    人と人の間
  • 精神内機能
    子ども内部
  • 高次精神機能の発達例
    意思の発達;はじめ遊びの中で自分の行動をルールに従わせる能力を発達させ,その後,子ども自身の内部機能として,意志を持って意図的に行動を調整する能力を発達させる
  • 内言
    思考のツール
  • 外言
    他者とのコミュニケーションのツール
  • 発達の最近接領域
    子どもだけで問題解決ができる現実の発達レベルと,大人や仲間との共同,もしくは,教示,誘導質問,解決のヒントを与えられることでできるようになる潜在的な発達レベルとの間の領域
    …自分の力で問題解決できる今日の発達水準と,大人や年上の子ども,友達など他者の助けを借りることで問題解決できる明日の発達水準という2つの水準のずれの範囲のこと
  • 足場かけ/足場づくり
    (scaffolding)
    ヴィゴツキーの発達の最近接領域の考え方をもとにブルーナーが提唱した概念
    ;子ども一人の力では解決できないが大人の援助があれば解決できる領域(発達の最近接領域)に対して,適切な支援を行うこと
    ;より良い足場かけが子どもの学習を促進する
  • ブロンフェンブレンナー
    従来の発達心理学が人間の生きている環境,文脈から外れた発達の研究をしていると批判し,発達しつつある人間を,生活環境の中に入り込み,再構成を図るよう成長しつつあるダイナミックな存在ととらえ,発達研究モデルの中に文脈を組み込もうとした
    ;個人の発達を取り巻く環境との相互作用の重要性を指摘し、生態学的モデルを提唱した(でもいいかも)
  • 生態学的システム理論
    発達のプロセスを絶えず変化する家庭ー社会ー歴史的文脈の中でとらえ,子どもを取り巻く環境が,変化する5つの要素から構成されるシステムであるとする理論
  • エコロジカルシステム
    それぞれが次々に組み込まれていくような,同じ中心を持つ入れ子構造を持っている
  • マイクロシステム
    子どもが実際に関わる具体的な行動場面
  • メゾシステム
    子どもが実際に参加する行動場面の相互作用
  • エクソシステム
    子どもが直接参加していなくても,マイクロシステムやメゾシステムに直接影響を与えるもの
  • マクロシステム
    マイクロシステム,メゾシステム,エクソシステムの構造や内容に一貫性をもたらす信念体系やイデオロギーのこと
  • クロノシステム
    人生の周期的な出来事
  • 実験的研究
    原因と考えられる変数を操作するもの
  • 独立変数
    研究者が操作する変数
  • 従属変数
    結果と考えられ,研究者が測定する変数
  • 剰余変数(交絡変数)
    独立変数以外に従属変数に影響を与えると考えられる変数
  • カウンターバランス
    両条件に交絡変数の偏りがないようにすること
  • 無作為化
    無作為(ランダム)に参加者を条件に割り振る
  • 観察的研究(相関的研究)
    研究者が原因と思われる変数の操作を行わないため,厳密には因果関係はわからない
  • 予測変数
    原因であると推定される変数
  • 基準変数
    結果であると推定される変数
  • 共変数
    予測変数以外で基準変数に影響を与えると考えらえる変数
  • 実験法
    実験室研究・質問紙実験
  • 実験室研究
    大学や研究機関などの実験室に参加者に来てもらい,参加してもらう実験
  • 質問紙実験
    複数の条件の質問紙(アンケート)を多数の人に配布して実験を行う方法
  • 場面想定法
    参加者が特定の場面にいることを想定させて,そういった場面でどのような行動を取るのかを尋ねる質問紙実験
  • 観察法
    観察対象の行動や反応を観察・記録する方法
  • 自然的観察法
    観察対象に人為的な統制や操作を加えず,自然な状態での観察を行う
  • 実験的観察法
    実験的な状況を設定して,観察・記録を行って行動の特徴を明らかにする
  • 調査法
    人の行動,考え方,態度,意識等に関するデータを,回答者の自己報告によって収集する方法
  • 検査法
    心理検査を用いて,個人の知能や性格など心理学的特性や状態を測定する方法
  • 面接法
    調査者(面接者)と対象(非面接者)が直接顔を合わせ,会話を通して必要な情報をやり取りする方法
  • 構造化面接
    あらかじめ決められた内容と順番で質問を行う
  • 非構造化面接
    アドリブで質問を行う
  • 半構造化面接
    構造化面接と非構造化面接の中間
  • インタビュー
    情報収集の目的で行われる調査面接
  • カウンセリング
    非面接者が心理的問題を解決するために相談や治療を求めて精神科医や臨床心理士などの専門家に面接を受けにくる臨床面接
  • 遊戯療法
    子どもが対象のカウンセリングの場合,面接者とのコミュニケーションを促進するために遊びを活用した方法
  • 横断的研究
    ある一時的で,さまざまな年齢層の人々を対象とし,年齢による違いを見る方法
  • 縦断的研究
    同一の対象者を長時間にわたってくり返し調査する方法
  • コホート研究
    何らかの経験(原爆爆破など),人口統計学的な特性(特定の年に生まれたなど)を共有する人々の集団(コホート)を長期間にわたって反復調査する場合
  • 脱落効果
    再調査に応じてくれる人とそうでない人でサンプルの偏りが生じる可能性
  • 再検査効果
    同じ人に再度調査を依頼する場合,同じ検査を複数回受けることになり,参加者はテストなどの内容を学習してしまうという問題
  • 選好注視法
    ファンツが開発した方法
    ;ヒトの乳児は興味あるものを注視するという特性を利用し,注視を指標とした
  • 学習
    経験による比較的永続的な行動の変化
  • 成熟
    時間の経過とともに遺伝的なものが発現すること
  • 遺伝要因
    人間発達を規定する遺伝的な要因
  • 環境要因
    人間発達を規定する環境的な要因
  • 環境優位説
    人間発達を規定する要因として,育ち(Nurture)を強調すること
    ;発達的形質は全て環境的要因による学習活動によって成り立つ
  • 成熟優位説
    人間発達を規定する要因として,生まれ(Nature)を強調すること
    ;発達的形質は生まれつき内在する遺伝的なものが自律的に発現することによって成り立つ
  • タブラ・ラサ
    心は文字を全く欠いた白紙で,もともとどんな観念も持たないとするならば,どのように心が観念を装備するかというと「経験から」だ
  • ロック
    タブラ・ラサを提唱,経験説
  • 連合主義
    「経験」の連続により観念,すなわち心が形成されていく
  • 行動主義
    経験によって行動が変容しうるということを実験的検討により理論化
  • ワトソン
    行動主義の創始者
  • 恐怖条件づけ
    アルバート坊や実験;行動は基本的な反射と条件づけによって獲得,経験こそが人の行動を形成する
  • 社会的学習理論
    バンデューラによって提唱;直接経験しなくとも観察でさえ一つの経験として機能し,学習される
  • 模倣
    モデリング
  • 野生児
    人間的な環境で育たなかった子ども
  • レディネス
    教育や学習が効果的に可能になるための発達的基礎
  • ゲゼル
    双生児法を用いた階段のぼりの実験によって成熟の優位性を主張
    ;個体発達の基本的形式や系列を経験によって組み換えることはできないので,環境による影響が個体内の成熟を超越することはないと成熟の優位性を強調
  • 双生児法
    一卵性双生児であればきょうだい同士は遺伝的に同一であるため,環境的な条件差を設けた時に発達に差が生じれば,それは設けた条件差に由来すると考える方法
  • ダーウィン
    進化論の祖
  • ゴールトン
    優生学の祖
  • 遺伝環境相互作用
    遺伝要因と環境要因の間で行われるやり取り現象のすべてを包括する一般的概念
  • 遺伝環境交互作用
    遺伝単独でも環境単独でも個人差の要因を説明しえない,遺伝と環境両者で説明するための統計学的概念
  • ジェンセン
    環境閾値説を提唱
  • 環境閾値説
    遺伝的素質が発現するために必要な環境条件の豊富さは特性によって異なる;
    それに必要な環境条件の豊富さは「環境閾値」と呼ばれ,環境閾値に達したときにその素質が発現する
    ;発達は,特性によって環境条件の働き方が異なり,遺伝的な特性が発現するかどうかは,環境条件が特性ごとに決まっている閾値を超えるかどうかによるという考え方
  • 環境閾値
    素因が発現するのに必要な環境的刺激の豊富さのレベル
  • シュテルン
    輻輳説を提唱
  • ルクセンブルガー
    輻輳説を図式化
  • 輻輳説
    発達には,遺伝的要因と環境的要因が加算的に作用し,両者が輻輳して一つの形質に結実するものであるとする理論
  • 双生児研究
    一卵性双生児と二卵性双生児の類似性を比較することで,遺伝と環境の寄与率を算出する
  • 行動遺伝学
    遺伝的関係のある人々あるいは遺伝的関係はないが環境を共有する人々の,心理的・行動的形質が類似する遺伝的影響を統計学的な方法によって明らかにする学問
  • タークハイマー
    行動遺伝学の三原則を提唱
    ;遺伝の影響の普遍性,共有環境の希少性,非共有環境の優越性
  • プロミン
    遺伝,共有環境,非共有環境の相対的寄与率が発達に伴って変化するという生涯発達モデルを打ち出した
  • 遺伝・環境間相関
    ある遺伝的傾向が高い人はある特定の環境にさらされやすい
  • エピジェネティクス
    DNAの塩基配列によらず,遺伝子発現が制御されたり伝達されたりするシステム
    ;同じ遺伝情報を持っていても,環境的要因が異なると,遺伝子の働き方に違いが生じる
  • 性同一性
    自分自身のジェンダーについて感覚として深く経験したアイデンティティのこと
  • 性役割
    その性別に社会的に期待されている役割のこと
  • 性的指向
    同じまたは異なる性別・ジェンダー間において恋愛や性愛,または性的魅力を感じるパターン
  • 初期経験
    生後初期の環境から受ける影響
  • ローレンツ
    刷り込み現象を報告
  • 刷り込み(インプリンティング)
    ハイイロガンのヒナが孵化後最初に見たものを母親とみなして後を追う現象
  • 敏感期
    特定の時期だけに有効な発達があり,その時期を逃すと発達が困難になるような時期
  • 臨界期
    特定の神経回路や行動に対する経験の影響が根本的なものであり,かつ不可逆な場合
  • 就巣性
    感覚機能や運動機能が未発達のため巣にとどまる特徴
  • 離巣性
    感覚機能や運動機能を十分に発達させており,すぐに巣を離れて活動するという特徴
  • ポルトマン
    就巣性と離巣性という考え方を哺乳類に適用
    ;出生児数と妊娠期間とも関連
  • 二次的就巣性
    ヒトは本来離巣性であるが,進化の途上で就巣性の特徴を持った
  • 生理的早産
    脳の巨大化と直立二足歩行による産道の狭小化により,未熟な状態で出生せざるを得なくなったため,早産が通常化していること
  • 子宮外胎児期
    生後1年間のこと
    ;ヒトの新生児が他の離巣性の哺乳類と同程度に発達するためには1年間必要
  • 母性はく奪
    幼少期に特定の母親的存在からの世話や養育が十分に施されず,それによって,子どもの心身発達に深刻な遅滞や歪曲が生じ,その影響が後々まで長期的に続くと想定されるもの
  • 幼児図式
    世話を必要とする種の親にかわいいと感じさせて世話行動を引き出させる,幼児に共通する身体的特徴
  • エントレインメント
    人の声に反応してリズミカルに体を動かしたり,応答性を示したりする活動
  • 知能
    流動性知能と結晶性知能に分けられる
  • 流動性知能
    新たな状況への適応に必要な知覚や情報処理
  • 結晶性知能
    過去の経験によって獲得した知識や技術
  • シャイエ
    20代から80代の人を7年おきに調査するシアトル縦断研究を行った
  • バルテス
    発達は獲得と喪失のダイナミックな相互作用によるもの
  • 相互作用を捉える三つの側面
    生物学的側面(遺伝的に規定された機能)+文化的側面(医療や技術など文化を必要とする程度+心理的,社会的,物質的,文化的介入の効果)
  • レジリエンス
    心理的な傷つきや落ち込みから立ち直る回復力や柔軟性
  • サクセスフルエイジング
    獲得を最大化し,喪失を最小化するようなよりよい加齢の仕方
  • 可塑性
    変化に柔軟に対応していく力
  • フロイト
    リビドーの向かう対象,満たされ方が発達段階によって変化していくとして,心理性的発達理論を提唱
  • リビドー
    性的な心的エネルギー,欲求
  • 固着
    各段階でリビドーが適切に発散されないことで生じる,満たされなかった欲求に対する強い執着
  • 口唇期
    0~1歳半;性的満足をもたらすのは母親の乳房
  • 口唇性格
    口唇期に固着が生じると,他者への依存を強く求めるパーソナリティ傾向が生じる
  • 肛門期
    1歳半~3歳;性的満足をもたらすのは排泄
  • 肛門性格
    排泄による快感が得られないと,排泄を我慢しなければならないため,頑固・倹約・几帳面といったパソナリティ傾向が生じる
  • エディプス期(男根期)
    3歳~6歳;対象は異性の親,リビドーが開花する時期,エディプスコンプレックスという葛藤が生じる
  • 男根期の固着
    性役割の混乱
  • 潜伏期
    6~12歳:リビドーは生産され続けるも,表面には現れず,性的なこと以外に利用
  • 性器期
    12歳以降:性的対象を見出し,成人と同様の性生活に移行
  • エリクソン
    フロイトの心理性的発達論を受け,青年期以降の発達も重視した心理社会的発達段階論を提唱
  • ライフサイクル
    一個人の一生
  • 心理社会的危機
    生涯にわたり繰り返し乗り越えていく葛藤のこと
  • 乳児期
    基本的信頼vs基本的不信=希望
  • 幼児期(前期)
    自律性vs恥,疑惑=意志
  • 遊戯期(幼児期後期)
    自主性vs罪悪感=目的
  • 学童期
    勤勉性vs劣等感=有能感
  • 青年期
    アイデンティティ達成vsアイデンティティ拡散=忠誠
  • 前成人期
    親密性vs孤独=愛
  • 成人期(中年期)
    生殖(ジェネラティビティ)vs停滞=世話
  • 老年期
    統合vs絶望=英知
  • ハヴィガースト
    エリクソンの心理社会的発達段階論を受けて,発達課題の概念を取り入れた
    ;ライフステージやその前後に生じる発達課題を達成することで,社会における健康で満足のいく成長がもたらされる
  • 発達課題
    ライフステージやその前後に生じる課題(6つの段階につき6~10個)
    ;幼児期・早期児童期(0~6歳)
    中期児童期(6~12歳)
    青年期(12~18歳)
    早期成人期(18~30歳)
    中年期(30~60歳)
    老年期(60歳~)
  • ライフステージ
    人生の一定の時期
  • 敏感期
    薬剤やウイルスなどの催奇系因子の影響を受けやすい時期(胎芽期)
  • 周産期
    出産前後の時期(妊娠22週0日から出産後7日未満の期間)
  • 流産
    周産期以前に胎児が亡くなった場合
  • 死産
    周産期以降に胎児が亡くなった場合
  • 先天性疾患
    出産児の3~5%に見られ,生まれつき形態,身体機能,精神機能に異常を示すもの
  • ダウン症候群
    通常は2本ある21本目の染色体が3本ある染色体異常による疾患
  • 先天性代謝異常
    遺伝子異常によってアミノ酸の代謝を行う酵素の機能低下が生じることに起因
  • 体内感染症
    先天性疾患の一つ;妊娠中の母体への感染が胎児に及ぶことによって成立
  • 原始反射
    胎児期から新生児期にかけて観察される反射のうち,生後数週間から数ヶ月で消失するか,随意反応などに置き換わっていくもの
    ;原始反射の消失は,随意運動や意図的な行動が可能になることを示す
  • 驚愕反応
    大きな音に対して腕を曲げて掴もうとする
  • モロー反射
    乳児の頭を少し落とすと腕を伸ばしながら手をきつく握りしめる
  • 非対称性緊張性頸反射
    あおむけの姿勢の際に,頭部が向けられた側の手足が伸び,反対側の手足が曲がる
  • ルーティング反射
    口唇部周辺にふれるとそちらに向けて口を開ける
  • 吸啜反応
    口唇部に触れたものを吸う
  • バビンスキー反射
    足の裏のかかとからつま先に向けて擦ると,親指がそり返り,他の指が扇状に開く
  • 把握反射
    手のひらに刺激を与えられると,指を閉じて握ろうとする
  • 歩行反射
    立った姿勢をさせた状態で足の裏を平らな床に触れさせると,一方の足を一歩前に踏み出すような反応を見せ,さらに体を前に押し出すと足を交互に動かしていく
  • ジェネラルムーブメント
    全身性のなめらかで複雑な動き
  • 概日リズム(サーカディアンリズム)
    睡眠ー覚醒リズムが約24時間周期にしたがっているということ
  • レム睡眠
    急速眼球運動を頻繁に示し,心拍や呼吸も不規則
  • ノンレム睡眠
    急速眼球運動はなく,心拍や呼吸も規則的
  • ウルトラジアンリズム
    40~90分の周期をもつ動睡眠と静睡眠のサイクル
  • 多相性睡眠
    新生児において,睡眠時間が1日のうち約7割を占め,睡眠と覚醒の時間帯が分散していること
  • 生態学的自己
    (エコロジカルセルフ)
    胎児期初期からの触覚や運動経験を通じて,物理的環境の知覚によって成立する
  • 胎盤
    胎児の生命維持や成長に寄与しており,胎児と母体をつなぐへその緒を通じて,酸素や栄養素,老廃物など様々な物質を運ぶ働きを担う
  • DOHad仮説
    胎児期や生後初期の環境が,成長後の疾病リスクに長期的に影響を及ぼす
  • サリドマイド
    つわりを緩和する薬;服用した母親から身体の形成不全を抱えた奇形児が出生した
  • テラトゲン
    サリドマイドのような催奇形成をもつ物質
  • 胎児性アルコール症候群
    母親の慣習的な飲酒によるもの;顔面を中心とする奇形,脳の異常,知的能力障害などを呈する先天性疾患の一つ
  • 喫煙
    喫煙により母体に取り込まれるニコチンや一酸化炭素が,血流の悪化や血中の酸素欠乏を引き起こし,母体から胎児への栄養供給を阻害する
  • 低出生体重
    体重2500g未満での出生
  • 産褥期精神障害
    マタニティブルー,産後うつ,産褥期精神病の総称
  • マタニティブルー
    産後およそ2~10日ごろに発症する一過性の精神障害(20%の母親)
  • 産後うつ
    産後およそ数週間~数ヶ月以内に発症し,大半が半年以内に改善。精神症状と身体症状が見られる(10~15%の母親)
  • 産褥期精神病
    産後およそ1~4週の間に,幻覚,妄想,興奮,錯乱状態などの症状が見られる(0.1~0.2%の母親)
  • 産褥期精神障害の原因
    ・母親の出産に伴う大きな環境変化
    ・ホルモンバランスの急激な変化(女性ホルモンの低下により,神経伝達物質が不活性化=意欲や思考が低下する)
  • 産後うつが養育行動に及ぼす影響
    対幼児発話,語りかけの頻度,母子の健康に関わる行動(授乳,寝かしつけ)の減少
  • 産後うつが子どもの発達に及ぼす影響
    運動,認知,コミュニケーションの遅れ,学業成績の低さ,情動的共感の低さ
  • カンガルーケア
    出産後に母親の胸元で乳児と皮膚を触れ合わせること
  • オキシトシン
    皮膚接触を伴う母子相互作用によって放出されるホルモン
    :母体のストレスが低下する,愛着や養育行動に良い影響を及ぼす
  • 選好注視法
    乳児の自発的な注視反応を利用した実験方法の一つ
  • ファンツ
    選好注視法を開発
  • 選好注視法の利点
    生まれたばかりの乳児にも適用可能
  • 選好注視法の問題点
    二つの刺激間の注視時間の偏りが見られない場合,必ずしも乳児はそれを見分けられていないというわけではない
  • 馴化ー脱馴化法
    乳児が,見慣れた事象よりも,新奇の対象の方を長く注視するという性質を利用して弁別能力を調べる方法
  • 期待背反法
    特定の事象に引き続いてある事象が起きることが予想される時に,予想に反する新規で不自然な事象が生じると注視時間が増加することを利用
  • 対象の永続性
    目の前に存在するものが視覚的に見えなくなったとしてもそこに存在し続けること
  • 感覚モダリティ間知覚
    異なる感覚モダリティ(例えば聴覚と視覚)の情報を合わせてただ一つのものを表象すること
  • 感覚モダリティ間転移
    ある感覚モダリティ由来の情報が他の感覚モダリティの情報も伝えること
  • ギブソン
    直接知覚,アフォーダンス
  • 直接知覚
    環境の事物は知覚者の周囲を満たす光の構造から直接知覚できる
  • アフォーダンス
    情報は環境に依存し,人や動物はそこから意味や価値を見出す
  • 奥行き知覚
    空間内の対象などの3次元的な広がりを知覚すること
  • 視覚的断崖の実験
    エレノア・ギブソンとウォーク;生後6ヶ月までに奥行き知覚が可能
  • 両眼視差
    左右の網膜像の差異
  • きめの勾配
    一様な格子模様なら遠いほどきめが細かく見える
  • 愛着(アタッチメント)
    特定の他者との近接を求め,またそれを維持しようとする傾向,あるいはその結果確立される情緒的な絆
  • ボウルビィ
    愛着(アタッチメント)理論を提唱
  • ハーロウ
    アカゲザルの実験;針金製の母親と布製の母親を比較
    __ミルクが針金製の母親にだけついていても布製の母親にくっつく・針金製の母親とだけ過ごした子ザルはよりストレスを感じていた
    __栄養摂取経験の有無ではなく,くっつくことにより身体的安心を得て,自分の気持ちを落ち着かせてもらった
  • アタッチメントの働き
    基本的信頼感の獲得・安全基地の役割・将来の人間関係の基礎(社会的能力の基盤)
  • 基本的信頼感
    危機やネガティブな感情を養育者によって解決してもらうことで,他者への信頼感を得ていく
  • 安全基地
    養育者への信頼感をもとにして養育者を拠点とすること
    ;トラブルが起きた時には安全基地にもどりネガティブな感情を宥めてもらう
  • 探索行動
    安全基地をよりどころとして,好奇心のままに外の世界を探索すること
  • 自律性
    信頼できる養育者に手助けされる中で,自分で感情を制御できるようになる
  • 愛着の発達段階
    第一段階(出生~生後3ヶ月),第二段階(生後3~6ヶ月),第三段階(生後6ヶ月~2,3歳),第四段階(3歳前後~)
  • 第一段階
    無差別な愛着行動(不安や恐れを感じている時に,父母でなくとも対応さえしてもらえれば,落ち着くことができる)
  • 第二段階
    誰に対しても友好的に振る舞うが,身近な養育者に特別な反応を示す
  • 第三段階
    特定の他者を愛着対象として選択,それ以外の人と明確に区別
  • 第四段階
    他者の背後にある目標や計画を推測し,自分自身の行動を調節
  • 注視行動
    周囲の人物の動きを目で追う
  • 信号行動
    空腹を知らせるために泣く,あるいは目の前の人物に対して喃語を発して注意を引く
  • 人見知り
    見知らぬ他者に抱っこされた際に泣く,初めて会った人に警戒心を抱く
  • 接近行動
    発達に伴ってできるようになったいろいろな行動を効果的に組み合わせて愛着対象への接近行動を行うこと
  • ワーキング・モデル(内的作業モデル)
    愛着関係の中で,子どもがさまざまな状況のもとで養育者にくっつき,安心感を得る体験を繰り返し,それを経験則として結実させたもの
  • コンボイ・モデル
    乳幼児期の愛着関係を中核としつつ,子どもがより広い社会領域に入るにつれて,他の重要な関係を取り込んでいくと想定したモデル
  • ストレンジ・シチュエーション法
    1歳児を対象に,子どもと養育者との分離時や再会の様子を観察し,アタッチメントの質を分類する方法
  • エインズワース
    ストレンジ・シチュエーション法を実施
  • 回避型(Aタイプ)
    養育者から分離しても苦痛や混乱を示さない上,再会時にも養育者を無視し避けようとする
    ;養育者を安全基地として探索行動をすることがほとんどない
  • 安定型(Bタイプ)
    養育者との分離場面で苦痛や混乱を示すが,再会時には養育者に積極的に身体接触を求めて,容易に落ち着きを取り戻す
    ;養育者を安全基地とした探索行動を行うことができる
  • アンビバレント型(Cタイプ)
    養育者との分離場面で苦痛や混乱を示し,再会時には養育者に身体接触を求めていく一方で,養育者を叩くなど激しい怒りを示し,容易に落ち着かない
    ;養育者を安全基地として探索行動を行うことがあまりできない
  • 無秩序・無方向型(Dタイプ)
    個々の行動がばらばらでまとまりがない;行動の方向性が定まっていない
  • 不安定型
    BタイプとCタイプ
  • 情動調律
    スターンが提唱した,他者との相互作用においてその人の情動状態を表した行動をそのまま模倣することなく,共有された情動状態がどのような性質のものであるかを表す行動
    ;乳児が手足をバタバタ=母親が「わーい!嬉しいね」
    (乳児の感情表現に対して,母親が言語で応答すること)
  • マインド・マインデッドネス
    養育者が子どもに対して心を見出す傾向
  • ホスピタリズム
    劣悪な施設的環境で育った子どもたちの,気力・覚醒状態の低さ,社会的反応性および感情の欠落といった特徴
  • スピッツ
    ホスピタリズムを提唱
  • 母性はく奪
    乳幼児期に特定の母親的存在から十分な養育や世話を施されていないこと。また,それによって,子どもの心身発達に深刻な遅滞や歪曲が生じ,その影響が後々まで続くと想定されるもの
  • 3歳児神話
    子どもが3歳になるまでは母親が養育に専念すべきであり,それが妨げられると子どものその後の発達が歪むという信念
  • アロペアレンティング
    親以外の人物による養育
  • 情動(emotion)
    喜び・悲しみ・恐怖・怒りなど急激な感情のたかぶり,それと同時に生じる心拍数など生理的変化も含んだ過程
  • 気分(mood)
    比較的対象が不明確で,情動よりも持続時間が長く,比較的穏やかな基底的感情
  • 好み(preference)
    快ー不快を示す穏やかな主観的反応
  • 主観的感情体験
    自覚的に経験する感情
  • 生理的興奮
    自律神経系の興奮や脳内ホルモン分泌
  • 感情表出行動
    表情,姿勢,身体の動き,発声,声の調子等,感情が行動面に現れてきたもの
  • 一次的感情(基本的感情)
    喜び,驚き,悲しみ,嫌悪,怒り,恐れ
  • 二次的感情(自己意識的感情)
    恥,罪悪感,誇り
  • ブリッジズ
    生まれたばかりの乳児の感情はきわめて単純かつ未分化なものであり,それが発達とともにさまざまな感情に分化していくと説明
  • 未分化な状態
    さまざまな感情が混じり合ったような状態のこと
  • 興奮状態
    生まれたばかりの乳児において中心となる感情
  • 新生児微笑
    生後間もない時期において,レム睡眠中に外的刺激と関係なく生じる微笑み行動
    ;生まれつき持っている反射の一種
  • 感情に関する議論
    ・研究者間で一致していること
    =感情が未分化な状態から分化した状態へ変遷するという点・生後6ヶ月ごろまでに一次的な感情が表出されるようになるという点
    ・研究者間で意見が分かれていること
    =生まれたばかりの乳児が持つ感情,どの時期に感情が分化するか
  • 自己意識
    自己についての認識
  • ルージュテスト
    ルイスとブルックス=ガンの鏡像認知による自己意識についての実験
  • 鏡像認知
    鏡に写っているのが自分だと理解できるか
  • ルイスとブルックス=ガンの
    ルージュテスト
    ルージュテスト通過=2歳前後
    1歳以下__鏡の中の自己像に微笑みかける
    生後18ヶ月以降__鏡を見て自分についた染料に触れる
  • 自己概念
    自身の学業や人間関係,身体能力や外見
  • 二次的感情
    自己意識を元にした感情(照れ,羨望など)であるため,ルージュテストを通過した子どもほど示しやすい
  • 第一次反抗期
    2歳ごろからの自己意識の発達にともなって,子どもが強烈な自己主張をし始める時期
  • 自己制御
    自分の行動や感情,心身状態を自ら主体的に統制・調節すること
  • 自己主張
    自己の欲求や意思を他者の前で表現・実現すること
  • 自己抑制
    自己の欲求や意思,行動を状況に応じて抑制すること
  • 自己主張と自己抑制どっちが大事?
    伝統的には自己抑制が重んじられてきたが,自己の行動を抑制するだけでなく,状況に応じて,自己の欲求や意志を表現することによって,子どもは自らの目的を達成する必要があるため,両者を備えて,状況に応じて使い分けることが望ましい
  • 自己主張の発達
    3~4歳ごろ;自己抑制よりも早く,急激に発達した後はそれほど変化しない
  • 自己抑制の発達
    3~6歳頃:徐々に発達
  • 説明的しつけ
    「好き嫌いがあると大きくなれない」などと,説明を通じて子どもの行動を促そうとするもの
    ;自己主張や自己抑制の高い子どもの養育者に多い関わり
    ;子どもの中に規範や規則が内面化しやすい
  • 感情制御/情動制御
    自己制御の中でも,特に感情を制御する能力のこと
  • 幼児期の感情制御
    自分の欲求を制御する能力(衝動性の制御)
  • マシュマロテスト
    自分の欲求を制御する能力を測定;目の前の報酬を得るか,満足を遅延させて多くの報酬を得るかを選ぶ(幼児期から学童期初期にかけて発達)
  • 実行機能
    目標のために行動,思考,感情を制御する能力のこと
    ;抑制機能,切り替え,更新が含まれる
  • 抑制機能
    その状況で出やすい行動を抑制する能力
  • 切り替え
    行動を柔軟に切り替える能力
  • 更新
    保持している情報を更新する能力
  • 自己制御の発達が注目される理由
    幼児期における実行能力や自己制御がその後の学力や社会性の発達を促す
  • 保育における実践
    音楽を通じた訓練,運動を通じた訓練,ヨガを用いた訓練,ひとりごとやふり遊びを用いた保育プログラム
  • 自律性
    養育者など他者や外部によって行われていた自己の心身の状態の統制を自己が行なっていくこと
  • トイレットトレーニング
    自分の排泄物を,自分自身が排泄したいタイミングで排泄する必要があり,自分自身における統制が必要=自律性が育まれる
  • 恥,疑惑
    自律性の学習に失敗
    ;トイレットトレーニングでうまくいかない時に養育者が叱ったり援助しなかったりすると,子どもは恥を感じ,自分自身に疑いを向けるようになる
  • 自主性
    何らかの計画をたて,それに取り組み,目的を達成すること
  • 罪悪感
    自主性の高まりにより,好奇心のままに社会的規則に反するような行動をしてしまった場合に感じる
  • 自尊心
    肯定的な自己評価や自己観であり,自分自身を基本的に価値あるものとする感覚
  • 有能さ(コンピタンス)
    自分の周囲の環境に対して交渉し,変化を生じさせる能力
  • シェマ
    ものごとを認識する枠組み
  • 均衡状態
    シェマの当てはめが問題なくできる状態
  • 同化
    事物をシェマに合うように変えること
  • 調節
    シェマ自体を変化させることで新たな状況に適応すること
  • 均衡化
    同化と調節によって均衡状態を保つ働き
  • 操作
    行為が内在化されたもの
  • ピアジェの認知発達理論
    ヒトの認知発達は,均衡化のために生じる変化と環境への適応過程であるという考え方をもとに,
    知的能力の発達を体系的に考えたもの
  • 表象
    頭の中で動かしたり変化させたりといった操作ができる対象のこと(イメージ)
  • 延滞模倣
    象徴機能の存在を示すもの
    ;観察した他者の行動を、時間をおいてから再現すること
    ;メルツォフは,14ヶ月児で遅延模倣が可能であることを示した
  • 感覚運動期
    表象機能が未発達のため,知覚と行動の間にイメージやことば(認知)が介在せず,行動レベルでの外界への適応が行われる時期
  • 感覚運動期の年齢
    誕生~2歳
  • 感覚運動期の特徴
    循環反応・対象の永続性の獲得
  • 循環反応
    外界を確認するかのように,同じ行動を繰り返すこと
  • 対象の永続性(モノの永続性)
    モノはたとえ視界から消えても存在し続けること
  • 第一次循環反応
    指しゃぶり,自分の体に向けての動作
  • 第二次循環反応
    がらがら,偶発的な動作の繰り返し
  • 第三次循環反応
    同じ行為でもやり方を変えて観察(実験的)
  • 前操作期
    表象機能の発達によって,イメージ,言葉,記号によって外界を表象し,それらを心的に操作することが可能になる時期
  • 前操作期の年齢
    2歳~6,7歳
  • 前操作期の特徴
    表象機能の成立・知覚依存性・自己中心性
  • 表象機能の成立
    ある事物を別の事物で表す
  • 知覚依存性
    保存概念が未確立で,外界の知覚的に目立つ属性に影響されやすい
  • 自己中心性
    他者の視点からものごとをとらえることが難しい
    ;外界の事物をイメージ(表象)し考える(心的操作をする)際に,一度ある捉え方をすると,それを変えて多面的に考えることが難しい
  • 三つ山課題
    ピアジェが行った自己中心性を評価するための実験
    ;高さや色,形の異なる三つの山の模型があり,異なる位置に置かれた人形からの見え方を尋ねられる
  • 他者視点取得
    他者の視点に立った時にどうなるか正しく想像できる
  • 前概念的思考段階
    2~4歳頃;表象を用いて事物を捉えられるようになる
  • 直感的思考段階
    4~6,7歳頃;概念化が進んで物事を関連づけたりして理性的に考えることができるようになるが,視覚情報に左右されて論理的判断ができない
  • 具体的操作期
    具体的な事物の支えを得て,適切な心的操作が行えるようになる時期
  • 具体的操作期の年齢
    6,7歳~11,12歳
  • 具体的操作期の特徴
    保存概念の獲得・脱中心化
  • 保存の概念
    見かけ上の形や配列が変化しても,モノの数量は変わらないことを理解すること
  • 保存の概念を獲得した
    子どもの理由づけ
    同一性(増えても減ってもないから)・相補性(高くなった分,細くなったから)・可逆性(戻せばもとに戻るから)
  • 脱中心化
    自己の視点から離れて,他者の視点で物事を考えることができるようになる
  • 系列化
    ある次元に沿って順番をつける
  • 包含
    集合間の階層関係を理解する
  • 推移率
    簡単な論理操作
  • 形式的操作期
    具体物を離れて,抽象的なレベルで心的操作を行うことができるようになる時期
  • 形式的操作期の年齢
    11,12歳以降
  • 形式的操作期の特徴
    論理的思考(命題の組み合わせ・比例概念)
  • 対象の永続性の6段階
    ピアジェが提唱
    ;特別な反応なし__追跡のエラー__一部が隠されても見つけられる__A-not-Bエラー
    __見えないところでのものの置き換え×__どこに隠されても見つけられる
  • A-not-Bエラー
    目の前で対象が場所Aから別の場所Bに移動されたとしても,以前に見つけたことのある場所Aを探す
  • ピアジェの方法の問題点
    ・手を使ってものを探す探索課題
    ・注意が単に持続しないだけかも
    ・隠された対象を探さないことが,必ずしも永続性の段階がないということではない
  • バウアー
    心拍数の増減をもとに,対象の永続性の理解を研究
  • ベイラージョン
    馴化ー脱馴化法と期待背反法を用いて対象の永続性の理解を研究
  • 対象の永続性の年齢
    一般に3ヶ月半~5ヶ月半
  • 知覚の恒常性
    見る方向や距離などが異なっても大きさや形,色,明るさなどを一定のものとしてとらえること
  • 同一性の理解
    あるものが以前にあったものと同じものか違うものかがわかること
  • 持続性の原則
    ものが連続的に存在し,まとまりを持ったものであり続けるとともに,その個別の性質を保持する
    ;この原則に従えば,いかなるものも出来事の流れにおいて,自発的にあるいは原因なしに変化することはない(=中核的知識)
  • スペルキ
    ものの動き方に関する研究・生物と無生物が別の動き方をすることの理解についての研究を期待背反法を用いて実施
  • フェノメニズム
    見かけに影響されて実質を間違って認識してしまう現象
  • 知的リアリズム
    実質について知っていることに影響されて,見かけを間違って描写する現象
  • 視覚的リアリズム
    自己視点から見える通りに描くこと;8~9歳以降
  • フェノメニズムや知的リアリズムが生じる理由
    自分が一度持ったとらえ方(見かけ/実質)を状況に応じて変えることができないという自己中心性
  • アニミズム
    無生物に対して,生命あるいはその属性(意識や意図など)を付与して認知する傾向
  • 相貌的知覚
    自他未分化な知覚の特徴:主観的で感情的な言い方をする傾向(ウェルナー)
  • 実念論
    物理世界の見方を心理的なものに適用し,頭に浮かんだものを客観的に存在するかのように扱う傾向
  • 人工論
    もののでき方や出来事の発生について,幼児は自然発生的な説明ではなく,人間や神のような明確な作り手を置いて説明しようとすること
  • 領域一般性
    ピアジェのように,外界を理解するための一般的な認知的枠組みを想定する
  • 領域固有性
    認知の発達的変化は,知識の領域ごとにそれぞれのタイミングで生じる
  • 素朴理論
    体制化された知識のまとまり・成長,発達していく過程で,身の回りの観察を通して,自然に獲得する知識体系
  • 素朴物理学
    物理現象に関する素朴理論
  • 素朴心理学
    人間の行動を説明したり予測したりすることに関係・幼児期までに獲得
  • 素朴生物学
    生物に関する知識体系
  • 前言語期
    言葉を発するまでの生後1年間
  • 誕生から生後2ヶ月
    反射の叫喚と自律的な音(泣き,ゲップ,せき,くしゃみ)
  • 生後2ヶ月~4ヶ月
    クーイングと笑い声
  • クーイング
    機嫌が良い時を中心に,「あー」「くー」のように聞こえる柔らかな声を発すること
  • 生後4ヶ月~6ヶ月
    音の遊び(クーイングと喃語の移行期)
  • 過渡的喃語
    「あーあーあーあー」のような比較的長い発声。クーイングと標準喃語の中間型。
  • 生後6ヶ月以降
    喃語
  • 標準喃語(反復喃語)
    「ががが」「ななな」のように,子音と母音の構造からなる音を反復発声すること
  • 非反復喃語
    「ばまー」「ががめー」のような子音と母音の構造からなる音を複数繋げて発声すること
  • 生後10ヶ月以降
    会話様喃語・ジャーゴン
  • ジャーゴン
    非反復喃語にイントネーションが加わってきて,乳児があたかも言葉を話しているかのような錯覚に陥るような発話
  • イントネーションベイビー
    長い期間,発話し続ける子
  • ワードベイビー
    あまり発話せずに有意味語の発話にシフトしていく子
  • 有意味語
    意味を伴う語
  • 初語
    1歳前後
  • 原語
    個人特有の発声が特有の意味と結びついたもの
  • プラトー
    1週間以上も新しい語が出現しない時期
  • 社会語
    社会的やりとり・人に関する語・育児語
  • 普通名詞
    モノの名前
  • 述語
    動詞や形容詞
  • 一語文
    1歳頃~
  • 過剰拡張
    語をより大きなカテゴリに帰属させること
  • 過剰縮小
    語をきわめてせまいカテゴリに帰属させる傾向
  • 語彙爆発
    (ボキャブラリースパート)
    1歳半~2歳頃に,それまでの時期よりも新しい語が頻繁に表出すること
  • 命名の洞察
    「世の中のあらゆるものに名前がある」と気づく
  • 二語文
    1歳半~(感情爆発開始ごろ)
    ;「わんわん 来た」「パパ あっち」のように,語と語を連結して発話
  • 電報体発話
    二語文が電報を打つ際の言い回しに似ている
  • 多語文
    2歳すぎ~
    ;三語以上の語を連結して発話
  • ひとりごと
    他者への働きかけを意図しない発話
  • 自己中心的発話
    ひとりごとは,幼児が自己中心的に思考する傾向であるとするピアジェによるとらえ方
  • 社会的発話
    自己中心的発話から他者へのコミュニケーションを意図した発話に変化すること
  • ヴィゴツキーのひとりごと
    のとらえ方
    「内言から外言へ」と至る言語と思考の発達プロセス
    ;言語活動の発達において,まずは外言のために語彙や文法が発達し,その後内言としての役割が新たに追加されるが,内言は十分に発達しておらず,不完全な内言がひとりごととして表出する
  • 内言
    思考のための言語活動(思考のツール)
  • 外言
    他者とのコミュニケーションのツール
  • ギャバガイ問題
    知らない言語の土地において,うさぎを指差し「ギャバガイ」と現地の人が発言した時,「ギャバガイ」が何を指すのか特定できるか
  • 事物全体性制約
    与えられた名前はその対象の全体に対する名前である
  • 事物カテゴリ性制約
    与えられた名前は固有名詞ではなく,それが属するカテゴリーに対する名前である
  • 相互排他性制約
    ものの名前は一つである
  • 指示的伝達能力
    指示対象に関する聞き手の知識を考慮する能力
  • ブロック積みゲーム
    ついたての向こうにいる別の子どもに図形の特徴を伝えると,幼稚園児では回数を重ねても誤答が減らないが小学生では誤答が減る
  • 一次的ことば
    具体的な事柄について,状況の文脈に頼りながら,親しい人との一対一の直接的な会話の形で使用する言語活動(話しことば)
  • 二次的ことば
    ことばの文脈だけに頼って,直接交渉のない不特定多数の人たちや抽象化された聞き手一般に向けて一方向的伝達として行われる言語活動(話しことば+書きことば)
  • 統語的ブーストラッピング
    統語的情報から語の意味を推定し理解していくこと
  • 社会性
    集団を作って生活しようとする,人間の根本的な性質・傾向のこと
  • 社会的認知能力
    個体が自身を取り巻く社会的な環境から情報を取得するための認知能力
  • ファンツ
    生後まもなくから人の顔を他の刺激よりも好んで長く注視する
  • バイオロジカルモーション
    生物らしい動き
  • 新生児模倣
    生後すぐから観察される目の前の人の行動を模倣しているように見える応答行動
  • 新生児微笑
    生後間もない時期において,レム睡眠中に外的刺激と関係なく生じる微笑み行動
  • 社会的微笑
    外的な刺激に誘発され他者へと向けられた微笑み
  • ステルスフェイス実験
    養育者が無表情=乳児が養育者から視線を外す,無表情になる,泣き出す
  • 人見知り
    生後8ヶ月ごろになると,見知らぬ人に対して微笑むのではなく,顔をこわばらせ,背を向ける
  • スピッツ
    社会的微笑=3ヶ月微笑,人見知り=8ヶ月不安
  • 感情伝染
    他者の感情状態に巻き込まれて同様の感情を示す傾向
  • 二項関係
    「自己ー他者」「自己ー対象」の関係
  • 三項関係
    「自己ー他者ー対象」の関係;対象について共有することを介して他者と意思を通い合わせる
  • 共同注意
    他者の視線を追い,他者と同じ対象に注意を向けることで,他者と注意を共有する能力
  • 応答的共同注意
    他者の指差しや視線の移動に応じて,同じ対象物に注意を向ける
  • 始発的共同注意
    自らの行動によって,他者の注意を引きつけ,他者を自分の注視対象へと巻き込む
  • 視線追従
    生後9ヶ月ごろから,乳児が他者の見ている方向に自ら注意を向けること
  • 指さし
    人差し指で対象を指し示すことで,他者の注意をその対象に向けさせる身振り
  • 「欲求」の指さし
    乳児が自分の欲求を他者に伝えるための行動
  • 「叙述」の指さし
    乳児が他者の注意を自分の興味や関心のある対象に向けさせて共有しようとする行動
  • 9ヶ月の奇跡(9ヶ月革命)
    生後9ヶ月ごろは,他者の意図や目標といった心的状態に注意を向けながら,他者との関係を築くことで,社会的認知能力が飛躍的に向上する
  • 社会的参照
    経験したことのない事物や状況に遭遇した際に,他者の表情や行動などを手がかりとして,その対象の意味を判断し,自分の行動を調節すること
  • 象徴機能
    事物や出来事を別の事物に置き換えて,それが目の前に存在しない時にも認識する働きのこと
  • ふり
    目の前に存在しないものを頭に思い浮かべ,置き換えて表現すること
  • ごっこ遊び
    ある状況を設定して,その人物になりきってそれにふさわしい動作を思い描いて遊ぶこと
  • 心の理論
    他者の心の状態を類推し,理解する能力
  • プレマック
    心の理論を提唱
  • 誤信念課題
    他者が誤った信念を持つことを理解できるかどうか評価する課題
  • サリー・アン課題
    誤信念課題の一つ;位置移動問題(他者の誤信念)
  • バロン=コーエン
    サリー・アン課題を考案
  • スマーティー課題
    誤信念課題の一つ;内容変化課題(他者の誤信念+自分の誤信念)
    パーナーらが考案
  • 他者の誤信念・自分の誤信念が正しく理解できるのは何際?
    4~5歳頃
  • 自閉症児と心の理論
    自閉スペクトラム症児は,心の理論に困難を持つ
    成績が極めて低い
  • 日本の子どもの心の理論通過が遅れるのはなぜ?
    日本の子ども誤った信念の通過は欧米の子どもより1~2年遅れる
    ;言語的な質問が苦手
    日本語と英語の構文の違い(主語を省略するから,主語+心的状態が結びつかない)
  • 乳児における誤信念理解
    生後15ヶ月の乳児;登場人物の誤信念を理解しているような反応(心の理論の萌芽)
  • 道徳性
    認知的側面(善悪の判断;ピアジェ,コールバーグ),行動的側面(善悪の基準に合わせて行動;バンデューラ),感情的側面(罪悪感,後悔;フロイト)
  • ピアジェ
    道徳の認知的側面を重視(学齢期までが対象)
  • 結果論的判断
    結果の良し悪しで善悪を判断(4,5歳児)
  • 動機論的判断
    動機の良し悪しで善悪を判断(9,10歳児)
  • コールバーグ
    道徳の認知的側面を重視(青年期・成人期までが対象)
  • モラルジレンマ
    病気の妻のために,やむなく高価な薬を盗むことを認めるか認めないかというジレンマ状況
  • 道徳判断の発達段階
    前慣習的段階,慣習的段階,脱慣習的段階
  • 前慣習的段階
    権威による罰を避け,個人的な損得から判断を行う
  • 慣習的段階
    他者から承認されるかどうかを気にし始め,社会的な慣習に従い,義務を果たそうとするようになる
  • 脱慣習的段階
    道徳的価値の基準が自律化し,経験を超越した道徳原理に基づく善悪判断を行うようになる
  • ギリガン
    コールバーグに反論;公正,正義の原理よりも配慮や思いやりの側面を重視
  • ホイジンガ
    ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)
  • 遊びの定義
    自発性(自分で選択),自己完結性(内発的動機づけ,遊び=目的),自己報酬性(遊び=喜びの感情),自己活動性(自分の行動が影響する遊び)
  • ビューラー
    心的機能によって,機能的遊び,虚構遊び,受容遊び,構成遊びに遊びを分類
  • 機能的遊び
    感覚や運動の機能それ自体を喜ぶ遊び
  • 虚構遊び
    現実を離れた想像による遊びやごっこ遊び
  • 受容遊び
    絵本を見る・音楽を聴くなど
  • 構成遊び
    積み木などで何かを作る・絵を描くなど
  • ピアジェ
    認知の発達段階によって,機能的遊び,象徴的遊び,ルール遊びに分類
  • 機能的遊び
    誕生から2歳頃の感覚運動期に見られる,感覚や運動の機能を働かせること自体を楽しむ遊び
  • 象徴的遊び
    2~7歳頃の前操作期に見られる,見立てや想像を伴う遊び
    ;目の前にないものを頭の中でイメージする表象能力の発達
  • ルール遊び
    7~11歳頃の具体的操作期に見られる,複数の仲間との間で多様なやりとりが見られる遊び
  • ごっこ遊び
    身近な人物やヒーローになりきってストーリーを展開させる
  • パーテン
    他者との関わり方によって遊びを分類
  • 遊びに専念していない行動
    自分の体を動かす・座って周囲を見渡すなどしている状態。その時々で興味を持ったことを観察している。
  • ひとり遊び
    話ができる距離に子どもがいてもその子とは違う遊びに1人で没頭している状態
  • 傍観者的行動
    ある特定の子どもの集団の遊びをじっと観察している状態
  • 平行遊び
    近くにいる他の子どもと同じ遊びをしているが,その子どもとのやりとりは見られず,自分の遊びに没頭している状態
  • 連合遊び
    他の子どもとかかわり合いながら遊んでいる状態,物の貸し借りや会話は見られるが,はっきりとした役割分担はない
  • 協同遊び
    他の子どもとかかわり合いながら遊んでいる状態,役割分担やルールの共有が見られる
  • 遊戯期
    エリクソンの心理社会的発達段階における幼児期後期
  • 自主性
    自分の行動は自分で責任を持つ
  • 罪悪感
    規範から外れた行動をしてしまうことによって感じる
  • 仲間関係
    同年齢,あるいは比較的年齢の近い同士の関係
  • ソシオメトリック指名法
    集団内の子ども一人一人にある基準(好きなお友達3人,好きでないお友達3人)にしたがって仲間を指名させる方法
    ;社会的スキルや社会的適応と関連
  • 仲間関係の機能
    ?他者理解・共感の力?自己統制能力?社会的カテゴリーの理解?社会的規則の理解?コミュニケーション能力
  • 他者理解・共感の力
    3歳児は他者の気持ちを想像し理解することが難しい(心の理論)
    =意図する行動にずれが生じ,いざこざ・けんかになる
    =その解決を経験することで他者理解・共感の力が育まれる
  • 自己統制能力
    自己抑制の力が未発達
    =自己主張・自己抑制をバランスよく発揮するのが難しい
    =いざこざ・けんかとその解決を経験することで,自己抑制能力が育まれる
  • 社会的カテゴリーの理解
    性別(男女の社会的カテゴリーと性役割)・パーソナリティー(一人一人のパーソナリティが異なることを体験)・社会的地位(リーダーシップをとる人と従う人の立場の違いを体験)
  • 社会的規則の理解
    決まり(集団の中で良いとされること,許されないこと,約束事など)を共有
    =仲間同士で考えて作り上げ,維持する
  • コミュニケーション能力
    伝える力と聞く力の両方が必要=コミュニケーション能力
  • 社会的情報処理理論
    仲間関係の問題を引き起こす攻撃行動のメカニズム;外から情報を受け取って内容を認識するという一連の情報処理の6ステップ(クリックとダッジ)
  • 社会的情報処理理論の6ステップ
     ?手がかりの符号化?手がかりの解釈?目標の明確化?反応を思い起こす?反応の決定?反応の実行
    ;どこかのステップで情報処理がうまくいかない・偏って処理=攻撃行動が生じる
  • エプスタイン
    仲間の選択に関わる3要因として,近接性,同年齢,類似性を挙げた
  • 近接性
    家が近いなど物理的に近接していること;乳幼児期で重要;その時々で変化しやすい
  • 同年齢
    学童期前半の仲間選択;学校=同じ集団に属していることが重要
  • 類似性
    学童期後期の仲間選択:仲間は固定的で安定
  • ギャンググループ
    学童期中期から後期に見られ,外面的に似た行動をとり,きわめて閉鎖性の高いグループのこと
  • ギャンググループの特徴
    ・集団内の規範を守ることで集団に所属し続けられる
    ・仲間から受け入れられるために自己抑制を働かせることで社会的スキルを身につけられる
    __暴力的な行動などにつながる可能性
  • チャムグループ
    学童期後期から青年期前期にかけて見られ,内面的に同じであることを求めるが,それを強く求めるあまり異質な他者を排除する傾向があるグループ
  • チャムシップ
    青年期初期の同性の仲間との親密な関係性;サリヴァンが提唱
    ;孤独感や自尊感情に影響
  • 関係性攻撃
    仲間関係を操作することによって相手に危害を加える攻撃(悪口,仲間はずれなど)
  • ピアグループ
    青年期中期ごろから見られ,外面的にも内面的にも違いを受け入れた自立した個人として互いに認め合っているグループ
  • 仲間集団の発達
    同一性を重視する段階から個別性を受け入れ尊重する段階へ
  • 社会化
    個人が所属する集団において,その集団に適合した行動様式を身につける過程
  • 国際障害分類(ICIDH)
    「機能障害」「能力障害」「社会的不利」の3水準から障害を捉えるモデル
  • 国際生活機能分類(ICF)
    3つの生活機能(「心身機能・身体構造」「活動」「参加」)と二つの背景因子(「環境因子」「個人因子」)の相互作用によって障害を捉えるモデル
  • 発達障害
    発達早期から見られ,その後も継続する認知・言語・社会性・運動機能の発達の遅れまたは偏り,そしてそれにより生活上の困難が続くこと
  • 自閉スペクトラム症(ASD)
    対人コミュニケーションの困難さ,こだわりと反復・常同行動を特徴として持つ発達障害の一つ
  • 対人コミュニケーション
    興味・関心を他者と共有しようとすることの少なさ,身振り・ジェスチャーの少なさ,同年代の子に興味を示さない,ごっこ遊びを他者と一緒にすることがない
  • こだわりと反復・常同行動
    常同的・反復的な身体の動き・モノの使用・会話,同一性への固執,感覚刺激に対する敏感さ(鈍感さ)
  • エコラリア
    会話の文脈から離れた特定のフレーズの繰り返し
  • かつてのASD
    自閉性障害(自閉症),アスペルガー障害(知的障害のないASDのタイプ),広汎性発達障害
  • サヴァン症候群
    自閉スペクトラム症や脳性まひなどの原因により,全般的な知的障害があるにも関わらず,音楽,美術,計算,カレンダー記憶などで並外れた驚異的な能力を示す
  • 注意欠如・多動症(ADHD)
    不注意と多動性・衝動性を特徴として持つ発達障害の一つ
  • 不注意
    学業や仕事中に不注意な間違いをする,学業や仕事の業務をやり遂げることができない,必要なものをすぐになくしてしまう
  • 多動性・衝動性
    席につくことが必要な場面で頻繁に席を離れる,喋りすぎる,自分の順番を待つことが難しい
  • 混合型
    不注意と多動性・衝動性のどちらも見られる場合
  • 不注意優勢型
    不注意のみ見られる場合
  • 多動・衝動優勢型
    多動性・衝動性のみ見られる場合
  • 限局性学習障害(SLD)
    全般的な知的能力に遅れは見られないにも関わらず,文字の読み,書き,算数などに困難が見られる発達障害の一つ
  • 識字障害
    文字を読むことに困難
  • 書字表出障害
    文字を書くことに困難
  • 算数障害
    計算・数学的推論に困難
  • ASDと関連する心理学理論
    心の理論説(心の理論・共同注意)&実行機能説&中枢性統合説
  • 実行機能
    目的のために行動,思考,感情を制御する能力
  • 抑制機能
    行動を抑制する能力
  • 切り替え
    行動を切り替える能力
  • 更新
    保持している情報を更新する能力
  • 中枢性統合
    部分よりも全体や文脈を優先する傾向
  • 知的障害(知的能力障害)
    知的発達において全般的な遅れがある&日常の適応能力に困難がある&それらが発達期(幼少期~青年期)に生じている
    ;DSM-5より「精神遅滞」から名称変更
  • 染色体異常
    染色体の数や構造に異常が起こる疾患
  • 遺伝子疾患
    遺伝子が原因となり発症する疾患
  • ダウン症候群(21トリソミー)
    2つ存在している21番染色体が3つ存在する(トリソミー)ことにより主に起こる
  • 脆弱X症候群
    X染色体上の遺伝子の異常により起こる
  • レット症候群
    X染色体上の遺伝子の異常が見られる(主に女性)
    ;ASDの症状+知的障害
  • フェニルケトン尿症
    遺伝子の異常により約8万人に1人の割合で発症する先天性代謝異常,生存のために食物から摂取する必要のある必須アミノ酸のフェニルアラニンが分解できなくなる
  • 個人間差
    対象の子どもが平均的な発達の度合いと比べてどの程度発達が進んでいるか・遅れているか
  • 個人内差
    対象の子どもの様々な能力の間の得意・不得意の差
  • アセスメント
    面接,観察,心理検査などを用いて,その人の全体像を理解するための作業
  • 定型発達
    発達障害のない典型的な発達
  • 非定型発達
    発達障害があるなど典型的な発達とは異なる発達
  • 知能指数(IQ)
    平均的な発達をしている人と比べて,対象となる子どもの能力や発達レベルがどの程度にあるかを知る指標
    ;知能検査で用いられる
  • 発達指数(DQ)
    平均的な発達をしている人と比べて,対象となる子どもの能力や発達レベルがどの程度にあるかを知る指標
    ;発達検査で用いられる
  • 精神年齢
    検査から導き出した子どもの現在の発達レベルに相当する年齢;知能検査で用いられる
  • 発達年齢
    検査から導き出した子どもの現在の発達レベルに相当する年齢;発達検査で用いられる
  • 比率IQ
    平均的な発達をしている人のIQを100としたときに,その人がどの程度の発達レベルにあるのか
  • 偏差IQ
    同年代の人の検査スコアの中で対象となる人の検査スコアはどの程度のところに位置しているのかということから求めるもの
  • ウェクスラー式知能検査
    ウェクスラーが開発した知能検査
  • WPPSI-?
    幼児用;2歳6ヶ月~7歳3ヶ月
  • WISC-?
    児童用;5歳0ヶ月~16歳11ヶ月
  • WAIS-?
    成人用;16歳~89歳
  • 田中ビネー式知能検査
    ビネーが開発した知能検査
  • KABC-?
    2歳6ヶ月~18歳11ヶ月対象;教育能力の支援を目的に作成
  • 新型K版発達検査2001
    0歳~成人が対象の発達検査
  • 遠城寺式乳幼児分析的発達検査法
    0歳~4歳7ヶ月対象の発達検査
  • デンバー発達判定法
    0~6歳対象の発達検査
  • 質問紙検査
    利点:客観的な統計的処理が可能,集団実施が可能,専門家の熟練に左右されない
    課題:無意識的側面が測れない,回答にバイアスが生じる可能性,言語能力に依存
  • スクリーニング検査
    詳細な検査を実施する必要があるかどうかを判断するために,大まかな傾向を把握すること
  • 特別支援教育
    個々の子どものニーズに応じた適切な指導や必要な支援を行うこと
    ・環境調整(構造化・TEACCHプログラム)
    ・視覚支援
    ・ソーシャルスキルトレーニング
  • 環境設定
    子どものいる環境設定を工夫し構造化することで,子どもがより生活しやすい状況を作る
  • 構造化
    空間や時間,手続きなどを整理してわかりやすく提示すること
  • TEACCHプログラム
    自閉スペクトラム症の人を対象として,構造化という考え方が支援の中心にあるもの
  • 視覚支援
    視覚的に明示してわかりやすくすること
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)
    ASDやADHDの子を対象として,社会的なルールや特定の場面での対処法をロールプレイなどで学ぶ
  • 神経多様症
    ジンガーという自閉症がある人が考案;障害と捉えるのではなく,定型発達からの何らかの相違として捉える
  • 病因論
    クレペリンが考案した精神症状の原因に着目し,分類した理論
  • 外因性
    外部環境から加えられた身体要因によって生じた症状
  • 内因性
    外部環境ではなく,遺伝的な身体要因によって生じた症状
  • 心因性
    身体要因ではなく,心理的要因によって生じた症状
  • 習癖異常
    繰り返し体の一部を触る行動
  • 指吸い(指しゃぶり)
    親指や手全体を吸う
  • 爪かみ
    手の爪をかむこと(3・4歳頃~)
  • 性器いじり
    習慣的に性器を触ること
  • 抜毛症
    子ども自身が知らない間に,もしくは意識していてもやめられないで,髪や眉毛などの体毛を繰り返し抜くこと
  • 皮膚むしり症
    かゆみなどはないにも関わらず,くりかえし皮膚を引っかいたりはがしたりすること
  • 異食症
    土や石ころなどの栄養のない食べ物ではないモノを食べること
  • 摂食障害
    食行動の異常とボディ・イメージの障害を有する病態
  • 神経性やせ症
    体重や体型が過度に自己評価に影響している拒食
    ;有意に低い体重,肥満恐怖,ボディ・イメージの障害を症状として持つ
  • 神経性過食症
    体重や体型が過度に自己評価に影響しており,嘔吐や下痢などの乱用,拒食などの代償行動が可食に続いて見られ,くり返される状態
    ;むちゃ食いエピソード,代償行動,体型や体重の影響を過度に受ける自己評価を症状として持つ
  • 遺尿症
    ベッドまたは衣服の中に排尿すること
  • 夜尿症
    夜間に見られるもの
  • 昼間遺尿症
    昼間活動している間に見られるもの
  • 遺糞症
    一度排泄が自立した後,ベッドまたは衣服へ大便を出すこと
  • 吃音
    年齢や言語発達相応の流暢な発音が難しいこと(「どもる」状態)
  • チック
    本人の意思とは関係なく,小刻みの連続した身体的動作が突発的に繰り返し起きる状態(運動性チック)or発声がくりかえし起きる状態(音声チック)
  • トゥレット症
    慢性チック症の中でも,運動性チックと音声チックが一年以上続く場合
  • 睡眠時驚愕症(夜驚)
    寝ている時に恐怖の叫び声をあげるもので,その際に落ち着かせようとしても反応が悪く,覚醒させるのが難しい
  • 睡眠時遊行症
    寝ている間にベッドから起き上がり歩き回るもので,その間,その人は虚な表情で視線を動かさず,話しかけても反応しないため,覚醒させるのが難しい
  • 悪夢障害
    嫌な怖い,長い夢を反復してみることであり,覚醒は悪くなく,すぐに起きることができる
  • てんかん
    慢性の脳の疾患で,大脳の神経細胞が過剰に興奮するために,発作が2回以上反復して起こるもの
  • 抑うつ
    悲しみ・空虚感・絶望などの抑うつ気分,興味・喜びの減退,不眠・睡眠・食欲不振・対純減少・頭痛や腹痛などの身体症状,疲労感・集中力の減退が現れる状態
  • 重篤気分調整症
    子どもにおけるうつ病;大人とは異なり,激しいかんしゃく発作が持続するもの
  • 分離不安症
    愛着を持っている人物からの分離についての恐怖や不安が発達的に不適当な時期(幼児期以降)に過剰に現れる状態
  • 選択制緘黙(場面緘黙)
    コミュニケーションの問題はなく,家庭などでは話すことができるのに,学校や幼稚園など特定の場所で話さない,あるいは話そうと思っても話せない現象
  • 反抗挑発症
    周囲に対して挑戦的で,反抗的な行動を当然のごとく行なってしまうもの
  • 素行症
    万引きや過度の暴力などを繰り返すもの
  • 心因性難聴
    聴覚の低下が見られる変換症の一つ
  • 変換症
    自分の意思とは無関係に,機能的には問題ないにも関わらず,強い葛藤や心理的問題が身体的症状に置き換えられるもの
  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
    生命を脅かすほどの恐怖と無力感を経験したり目撃したりすることで,さまざまな身体的・精神的症状が現れること
  • 再体験症状
    心的外傷体験が自らの意思とは無関係に想起され,夢に見たり,現実に起きているかのように行動したりしてしまうこと
  • 回避症状
    心的外傷体験に関係する思考や感情,場所や人物を回避し,心的外傷から目を背けること
  • 認知・気分の否定的変化
    外傷となった出来事の重要な局面を思い出せない一時的健忘,罪悪感などの感情の持続,興味や関心などの喪失,配偶者・恋人・家族などとの関係疎遠
  • 過覚醒症状
    緊張のために睡眠困難となったり,警戒心が強くなって強い不安を抱いたりする。また,怒りを爆発させたり,集中が困難になったりする。
  • 起立性調節障害
    朝なかなか起きられない,食欲不振,全身倦怠感,頭痛,立っていると気分が悪くなる,立ちくらみといった症状
  • 過敏性腸症候群
    腹痛と下痢の両方,もしくはどちらかが主症状
  • 不登校
    何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景(病気や経済的理由以外)により,児童生徒が登校しない,あるいはしたくともできない状況にあること
  • 解離症
    意識・記憶・自己同一性など通常は統合されている機能が破綻し,個人の連続性が失われること
  • 解離性健忘
    心的外傷体験の後,重要な個人情報を突然思い出せなくなってしまうこと
  • 解離性とん走
    突然日常生活から離れて放浪し,新しい自我同一性を身につけてしまうこと
  • 解離性同一症
    1人の人間に少なくとも二つ以上の分離した自我状態が存在し,それらが異なるときに出現し,記憶・感情・行動などを支配すること
  • 離人感・現実感消失症
    自分が自分の身体から抜け出て,離れたところから自分を眺めているように感じる体験(離人感),あるいは夢の中にいるような感情の体験
  • 統合失調症
    思考・感情・行動の大きな混乱を特徴とする精神障害
    陽性症状;妄想・幻覚・顕著な思考過程・奇抜な行動
    陰性症状;意欲喪失・感情の平板化・無論理的思考
    解体症状;まとまりのない思考と行動
  • 児童虐待
    親あるいは代理の保護者の行為によって,18歳未満の児童の心身が危機にさらされること
  • 身体的虐待
    外傷,暴行を加えること
  • 性的虐待
    子どもにわいせつな行為をすること,もしくはさせること
  • ネグレクト
    衣食住の世話や情緒的なかかわりをひどく怠ること
  • 心理的虐待
    極端な心理的外傷を与える言動を行うこと,家庭内暴力やきょうだいへの暴力を目撃させることを含む
  • 世代間連鎖
    児童の頃虐待を受けると,自分が親になった時に自分の子どもに虐待をしてしまう可能性
  • 愛着障害
    虐待や養育者の剥奪,度重なる交代の幼少期の不遇な養育体験(マルトリートメント)に由来する,愛着行動の欠如を呈する障害
  • 反応性アタッチメント症
    養育者である大人に対する陽性の感情に欠け,情動の制御が悪く,養育者から得られる快適な支援を求めない,あるいは反応しない
  • 脱抑制型対人交流症
    ほとんど初対面の大人に対して警戒感なく過度に馴れ馴れしい態度をとる
  • 学童期(児童期)
    小学校に通う時期(6~12歳)
  • 具体的操作期
    ピアジェの認知的発達段階で学童期が大半を占める
    ;具体物に限り,論理的思考が可能になる時期
  • 自己中心性
    自分の視点から離れて他者の視点に立つことが難しいこと
  • 保存の概念
    対象の見かけが変わっても対象の性質は変化しないという概念
  • 脱中心化
    複数の視点で物事を捉えられるようになること
  • 動機づけ
    やる気を生み出して行動を生じさせること
  • 内発的動機づけ
    それ自体を満たすことを目的とされた欲求によって行動が誘発されるもの
  • 外発的動機づけ
    他の欲求を満たすための手段として行動が誘発されるもの
  • アンダーマイニング効果
    内発的動機づけが高い個人に外的報酬を与えると,内発的動機づけが低下する
  • 短期記憶
    情報を一時的に保持する
  • 長期記憶
    情報を半永久的に保持する
  • ワーキングメモリ
    情報の保持と処理を同時に行うシステム
  • メタ認知
    認知(記憶,思考など)についての認知
  • メタ認知的活動
    自分の認知状態に気づき(モニタリング),目標を設定・修正する(コントロール)こと
  • メタ認知的知識
    日常経験や人から教えられることで気づき習得していく,自分自身の認知についての知識,人間の認知の一般的傾向についての知識,方略や課題についての知識
  • 社会的かかわり
    学童期には,子どもの生活の中心が家庭から学校へと移り,学校での学びが本格化するだけでなく,対人関係における仲間(友達)の比率が高まり,社会的かかわりが発展する
  • ギャングエイジ
    小学校中学年から高学年
    ;この頃の同年代や同姓での仲間集団をギャンググループという
  • 社会的視点取得
    他者の思考・感情・視点を理解すること
    ;セルマンによって発達段階が示されている
  • 水準0(3~7歳)
    未分化・自己中心的な視点
  • 水準1(4~9歳)
    主観的・分化した視点
  • 水準2(6~12歳)
    自己内省的・互恵的な視点
  • 水準3(9~15歳)
    三人称的・相互作用的視点
  • 水準4(12歳~)
    社会的・深い視点
  • 自己意識の高まり
    ・長所や欠点の認識
    セルマンの段階の水準2~3に相当する(他者の視点に立ったり,客観的に思考したりできる)学童期以降に見られる
  • 関係性攻撃
    気に入らない子を無視する,仲間はずれにする,悪いうわさ話などを流すなどといった行為
    ;仲間関係を操作することで相手を傷つける攻撃
  • 二次の心の理論
    「Aさんは『Bさんが・・・と思っている』と思っている」といった入れ子になった心の状態を理解できること
    ;他者から見た自分を理解できるようになり,他者との社会的比較を通して自己評価や自尊心が低くなっていく
  • 小1プロブレム
    小学校に入学したばかりの小学1年生が,集団行動が取れない,授業中座っていられない,先生の話を聞かないなどの状態が数ヶ月継続すること
  • 幼保小連携(幼小接続)
    小1プロブレムの原因の一つが幼児教育と初等教育カリキュラムの非連続性であることから求められていること
    ;幼児期の教育と学童期の教育が円滑に接続し,体系的な教育を組織的に行うこと
  • 発達の連続性
    幼保小連携(幼小接続)の目的
  • 就学への支援
    幼保小連携(幼小接続)で行うこと
  • 9歳の壁
    小学校3~4年生において,頭の中で具体的に考えにくい学習(割り算,小数,分数など)が増えることで,学習に苦労し,つまづく場面が目立つようになること
  • 思春期(puberty)
    学童期後期(10~11歳頃)~青年期中期(17~18歳)
    ;第二次性徴などの身体的成熟とそれに伴う心理的変化を強調する場合に用いる
  • 青年期(adolescence)
    子どもから大人への移行期
  • 第一次性徴
    出生において存在している身体構造上の相違
  • 第二次性徴
    性ホルモンの分泌が活性化することから起きる相違
  • 発達加速現象
    世代が新しくなるにつれて,身体的発達が促進される現象
  • 仮説演繹的思考
    事実と矛盾するような仮説であっても,その仮説から推論的に推論して結論を導き出すことができること
  • 第二次反抗期
    青年期前期(12~15歳頃)に親や年長者(教師など)に対して葛藤を起こしやすい時期
  • 第二次反抗期の原因
    子どもの自律性の発達に伴って生じる
  • 心理的離乳
    親からの精神的な離乳(自立)のことで,ホリングワースが提唱
    ;青年期前期ごろに生じる親からの心理的自立の試み,あるいは情緒的自律性の獲得のこと
    ;青年は,依存と自立の葛藤の中で,家族から離れ,1人の自立した人間になろうとする
  • 心理的離乳によって・・・?
    親への反抗や葛藤を通じて,親との最適な心理的距離を見出し,親とは異なる独自の価値観,信念などを確立していく
  • 心理的離乳の3段階
    第一次心理的離乳(思春期~青年期中期)(=親からの脱却,依存性の払拭に重点)
    第二次心理的離(青年期中期~後期(=離乳後に育つべき自立性に重点)
    第三次心理的離乳(前成人期~老熟期)(=両親から与えられ内在化されたものを超越して,本来の自分らしい生き方を確立する課題に向き合う)
  • 親からの自立
    スタインバーグとシルバーバーグが提唱した自立性の3側面(情緒的自立性,行動的自立性,価値的自立性)
  • 情緒的自立性
    親への脱理想化,親を普通の人とみなす,親への非依存,個別化
  • 行動的自立性
    自立した自己決定・意思決定とそれに従った行動
  • 価値的自立性
    道徳的推論・行動,個人的信念,政治・宗教に関する行動の発達
  • 現代の親子関係
    反抗期の消失,平穏化
  • パラサイト・シングル
    学卒後もなお,親と同居し,基礎的生活条件を親に依存している未婚者
  • ピアグループ
    思春期後半の頃から見られる仲間集団
    ;異質性を認め合い,違いを乗り越えることで,自立した個人としてお互いを尊重し合う
  • アイデンティティ
    自分自身の内部で斉一性と連続性の両方を感じられることと,他者がその斉一性と連続性を認めてくれることの,両方の感覚
    ;両者が合致することによって生じる自信がアイデンティティの感覚
  • 斉一性
    私は他の誰とも違う私で,1人しか存在しない
  • 連続性
    過去・現在・未来と私は私であり続ける
  • アイデンティティ達成
    自分がどのような生き方・役割・価値観で生きていくのかを選びとり,人生がある方向に進んでいく状態
  • アイデンティティ拡散
    人生を選び取ることができず途方に暮れている状態
  • モラトリアム
    アイデンティティを形成するために,しばらくアイデンティティを未定にしておき,青年にさまざまな試みをさせるために心理・社会的責任を猶予しておく期間
    ;日本の中では異なる意味で用いられるようになった
  • エリクソンのモラトリアム
    真剣で深刻な自己探求を特徴とする青年
  • モラトリアム人間
    主体的な選択・決定を先延ばしにし,幼児的な万能感を持ち,禁欲から解放されて快楽本位を楽しむ遊び感覚に支配された青年
  • 第3のモラトリアム
    何にでも参加し,まじめで資格思考が強く,既存の友人とのつながりを重視する青年
  • アイデンティティ・ステイタス
    マーシャがエリクソンのアイデンティティ理論を発展させ,青年期におけるアイデンティティ形成に着目した理論
    ;職業,宗教,政治の3領域(宗教と政治の2領域はイデオロギーとして統括される)における「危機」と「積極的関与」の2つの基準の有無によって,アイデンティティ達成型,モラトリアム型,早期完了型,アイデンティティ拡散型の4つのステイタスに分類
  • 危機
    複数の可能性から迷いながら選択するアイデンティティ探求の過程
  • 積極的関与
    人生形成にとって重要な領域(信念・価値観・職業意義など)について自分なりに積極的に関与しているか
  • アイデンティティ達成型
    危機:経験した・積極的関与:している
  • モラトリアム型
    危機:その最中・積極的関与:しようとしている
  • 早期完了型
    危機:経験していない・積極的関与:している
  • アイデンティティ拡散型
    危機経験していない(経験した)・積極的関与:していない
  • 前成人期
    20代後半~30代の時期
  • 親密性 対 孤独
    青年期までに培われたアイデンティティを土台に,自分以外の他者やパートナーと深く永い親密な関係を築いていくこと・親密な人間関係を持つことができないと孤独や孤立に陥る
  • ライフスタイル
    仕事における働き方や,結婚して家庭を持つなどの自分なりの生活
  • ワーク・ライフ・バランス
    仕事と生活の調和
  • 燃え尽き症候群(バーンアウト)
    ある事物や関心に対して献身的に努力した人が,期待した結果を得られなかった時に激しい徒労感や欲求不満を抱えること;心因性のうつ病の一種
  • 少子化
    出生率の低下に伴って総人口に占める子どもの数が少なくなること
  • 核家族化
    夫婦と未婚の子どもという家族構成
  • 育児不安
    子の現状や将来あるいは育児のやり方や結果に対する漠然とした恐れ
  • ソーシャルサポート
    物質的な援助ではなく,親族や地域,友人・知人などといった人間関係によってもたらされる援助のこと
  • 子育て支援
    「子ども・子育て支援新制度」=すべての子どもがすこやかに成長できる社会の実現を目指す
  • 成人期
    40代~60代の時期
  • 生殖性(ジェネラティビティ) 対 停滞
    新しい存在・もの,概念などを生み出し,次の世代に引き継いでいくが,後の世代をも考えてつないでいくという意識を持てないと利己的な状態・停滞となる
  • ジェネラティビティ
    次世代を担っていく子どもや社会を生み育てること,次世代に残すものを作り上げること,社会に役立つ活動に積極的に取り組むこと
  • レヴィンソン
    人生の四季・過渡期の中でも40~45歳の人生半ばの過渡期が最も重要な過渡期であるとし,40歳頃を「中年の危機」とした
  • レヴィンソンの人生の四季
    男性に対する面接調査によって,児童期と青年期を春,成人前期を夏,成人中期を秋,老年期を冬というように人生を四季に例えた
  • 人生の四季で重要なこと
    個人のその時期の基本的な生活パターンである生活構造は,安定した時期と変化することが求められる過渡期が交互に現れ,過渡期をうまくのりきれるかによって,次の生活構造が安定したものになるかが決まる
  • 中年の危機
    心理的・身体的・社会的に危機を感じやすい
  • 中年期になすべき課題
    ?人生を振り返り再評価
    ?不満が残る部分を修正し新しい可能性を試してみる
    ?人生の後半に向けて生じてきた問題を見つめる
  • 中年期の葛藤
    「若さと老い」「男性性と女性性」「破壊と想像」「愛着と分離」
  • ユング
    中年期以降を「人生の午後」と位置づけた
  • 人生の午後
    自分とそれを取り巻く世界が決定的に変化することが起きる時期
    ;午後=できていたことができなくなったり,これまであったものがなくなっていったりする
    衰退・喪失の時期
  • 自己の有限性の自覚
    身体・仕事・家庭などにおける大きな変化の中核にあるもの
  • アイデンティティの再体制化
    変化や揺らぎを否定したり逃げたりせずに主体的にとらえ,これからの生き方を主体的に模索する過程
  • 鳥の巣症候群
    子どもが成長して親の手から離れるようになる時期に,特に専業主婦であった母親が体験する心身の不適応状態
  • 老年期
    65歳以上の時期
  • 統合 対 絶望,嫌悪
    自分の人生を振り返り,人生を意味づけ,これまで未解決だった問題を処理して,統合していく
    ;人生全体を統括し,あるがままに受け入れる
    __統合性を持つことができないと,人生に大きな悔いを残し,衰えるままに死を迎えるという絶望に陥る
  • 英知(Wisdom)
    死そのものに向き合う中で生そのものに関する聡明かつ超然とした関心
  • 四つの喪失
    心身の健康(身体機能の低下),経済的基盤(退職・年金生活),社会的つながり(身近な人との決別),生きる目的(既に失われている)
  • 喪失体験に立ち向かう
    (挑戦期としての老年期)
    健康への関心が高くなる,資産を守り運用する,新しいつながりを持てる,本当にやりたかったことができる
  • サクセスフルエイジング
    幸福な老い;さまざまな喪失を体験しながらも,それにうまく適応しながら年齢を重ねていく過程
  • バルテスの選択的最適化モデル
    老年期に経験するさまざまな喪失に対して,「選択」,「最適化」,「補償」の3つの方略をとる
  • 選択
    これまで掲げていた目標の設定が難しくなった時に,目標を切り替えたり,目標の水準を下げたりすること
  • 最適化
    加齢のために縮小された限られた資源を効率よく分配する工夫
  • 補償
    外部からの支援を得て喪失を補うこと
  • ターミナルケア
    余命わずかとなった人へ行う治療や看護
  • 緩和ケア
    終末期の患者だけでなく,すべての病期にある患者の苦痛に対応していこうという概念
    ;問題を早期発見,的確な評価と処置により,苦痛を予防したり和らげたりすることで生活の質(QOL)を改善
  • QOL(Quality of life)
    人々の生活を物質的な面から量的にのみ捉えるのではなく,精神的な豊さや満足度も含めて,質的に捉える考え方,生活の質,生命の質
  • 死の受容
    キューブラー=ロスが死にゆく人々の心理を分析し,死の受容を5段階からなるプロセス(否認,怒り,取り引き,抑うつ,受容)に分けた
  • 否認
    自分が死ぬということはないはずだと否認する段階
  • 怒り
    なぜ自分がこんな目に遭うのか,なぜ死ななければならないのか,これは理不尽だ,という怒りの段階
  • 取り引き
    死なずに済むように取引を試みる段階
  • 抑うつ
    取引が叶わないと自覚し,運命に対する自分の無力さを感じて失望し,ひどい抑うつに襲われる段階
  • 受容
    死を受容する最終段階
    ;周囲の対象への執着もなくなり,安らかに死を受け入れる
  • 取り引きの内容
    もし病気が治ったら悪いところはすべて改めるのでどうか治してほしい,数ヶ月生かしてくれればどんなことでもする,など
  • 抑うつの2段階
    反応性抑うつ状態=病状が悪化することに伴うさまざまな喪失への抑うつ
    準備性抑うつ状態=現世との別れを覚悟し死を迎える準備をするための抑うつ
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