田单乃収城中得千餘牛 為絲繪衣 画以五彩竜文 束兵刃於其角 而灌脂束葦於尾 焼其端 鑿城数十穴 夜縱牛 壮士五千人随其後 牛尾熱 怒而奔燕軍 燕軍夜大驚 牛尾炬火 光明炫燿 燕軍視之皆竜文 所触尽死傷 五千人因銜枚擊之 而城中鼓操従之 老弱皆擊銅器為声 声動天地 燕軍大駭敗走
田単はそこで城中で取り集めて千余頭の牛を手に入れ、赤色の得の着物を体り、五色の竜の模様を描き、牛の角に武器の刃物をくくりつけ、油を注いでその葦を牛のしっぽにしばりつけ、その葦の端に火を付け、城壁に数十の穴をあけ、夜中にそこから牛を追い出し、壮士五千人が牛の後ろにつづいた。牛はしっぽが熱くなり、怒って燕軍に向かって突進した。燕軍は夜中のことで大いに驚いた。牛のしっぽのたいまつは、明るく光りかがやいた。燕軍がそれをよく見ると、すべて竜の模様であって、牛が触れた者は全部死んだり傷ついたりした。五千人はこの機会に枕を口にくわえて声を出さないで敵を攻撃した。そして城中からは太鼓を鳴らし大声をあげてそのあとから付いて出、老いた者や幼い者はみな銅の器具を鳴らして音を立て、その音は天地を震動させた。燕軍は大いに驚いて、負けて逃げた。