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昔、男、陸奥の国に「すずろに」行きいたりにけり。あてもなく
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つた、かへでは茂りもの心細く「すずろなる」めを見ることと思ふに修行者あひたり。思いがけない
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大方は知りたりとも「すずろに」言い散らすはさばかりの才にあらぬにやと聞こえおのづから誤りもありぬべし。むやみに
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いかに殿ばら殊勝のことは御覧じとがめずや。「むげなり。」まったくひどい
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今様は「むげに」いやしくこそなりゆくめれ。むやみに
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「おほやけ」の宮仕へしければ常にはえまうでず。朝廷
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「おほやけ」に御文奉り給ふ。天皇
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いたやむごとなき「際」にはあらぬがすぐれて時めき給ふありけり。身分
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人を見るに少し心ある「きは」は皆このあらましにてぞ一期は過ぐめる。程度
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観音を頼み奉らんにその「験」なしといふことはあるまじきことなり。ご利益
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「験」なきものを思はずは一杯の濁れる酒を飲むべくあるらし効果
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かの鬼の虚言はこの「しるし」を示すなりけりと言ふ人も侍りし。前兆
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我を知らずしてして外を知るといふ「理」あるべからず。道理
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宮の泣きまどひ給ふこといと「ことわりなり」かし。当然だ
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天地「ことわり」給へ。道理を明らかにして
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久しくとどまりたる「例」なし。例
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世の「例」にもなりぬべき御もてなしなり。語り草
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寺にたうとき「わざ」すなる見せたてまつらむ。仏事
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ひとり、灯火のもとに文を広げて見ぬ世の人を友とするぞこよなう慰む「わざ」なる。こと
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小式部これより歌詠みの世に「おぼえ」出で来にけり。評判
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いとまばゆき人の御「おぼえ」なり。寵愛
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いっくにもあれしばし旅立ちたるこそ目さむる「心地」すれ。気持ち
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中納言たちまちに御「心地」もやみてめでたし。病気
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「うつつ」にも夢にも人にあはぬなりけり。現実
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「うつつ」の人の乗りたるとなむさらに見えぬ。なほ下りて見よ。正気
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十七日の「つとめて」立つ。早朝
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うち笑ふことがちにて暮れぬ。「つとめて」、客人帰りぬる後心のどかなり。翌朝
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三月の「つごもり」なれば京の花盛りはみな過ぎにけり。月末
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四季はなほ定まれる「ついで」あり。死後はついでを待たず。順序
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ことの「ついで」ありて人の奏しければ聞こしめしてけり。機会
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女、親なく、「頼り」なくなるままにもろともにいふかひなくてあらむやはとて、河内の国高安の郡に行き通ふ所出で来にけり。頼れるもの
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「たより」
の人に言ひつきて女は京に来にけり。縁故 -
これを習ふべし。学問に「便り」あらんためなり。便宜
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「便り」ごとに物も絶えず得させたり。機会
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