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思ほえず、ふるさとにいと【はしたなく】てありければ、心地惑ひにけり。不釣り合いな
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え【はしたなう】もさし放ちきこえず。無愛想に
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ある夜、野分【はしたなう】吹いて、紅葉みな拭き散らし、落葉すこぶる狼籍なり。はげしく
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【はしたなき】もの。こと人を呼ぶに、われぞとさし出でたる。きまりが悪い
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人の上いふを腹立つ人こそ、いと【わりなけれ】。道理に合わない
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苦しげなるもの。…【わりなく】もの疑ひする男に、いみじう思はれたる女。並々ではなく
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女君は、【わりなう】苦しと思ひ臥したまへり。耐えがたく
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いみじう酔ひて、【わりなく】夜更けて泊まりたりとも、さらに湯漬けをだに食はせじ。しかたなく
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今日は【ずちなし】。右の大臣に任せ申す。どうしようもない
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伊成進み寄りて、弘光が手を取りて前ざまへ強く引きたるに、うつ伏しに転びぬ。【あへなき】ことかぎりなし。あっけない
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中宮も御物の怪に悩ませ給ひて、常は【あつしう】おはしますを、院もいとど晴れ間なく思し嘆く。病状が重く
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紅葉も【まだし】。花もみな失せにたり。枯れたる薄ばかりぞみえつるまだ時期が早い
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供なる男どもも、いみじう笑ひつつ、「ここ【まだし】」と差しあへり。不十分だ
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ほかにて酒などまゐり、酔ひて、夜いたく更けて、【ゆくりもなく】ものし給へり。突然
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花は盛りに月は【くまなき】をのみ見るものかは。暗い所のない
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いと【くまなき】御心のさがにて、推し量り給ふにやはべらむ。行き届かないところがない
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