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脊髄の動脈の分布の特徴と障害について説明しなさい。脊髄内に侵入する動脈は終動脈であり、分布動脈が吻合枝を持たない。よって、その血行が遮断されると分布領域は血液供給を絶たれて、虚血のために梗塞が起こる。これによっておこる障害が、前脊髄動脈症候群である。これは、前脊髄動脈の循環障害により、脊髄の前索・側索にある上行性・下行性神経路が侵され、障害部以下の運動麻痺、温痛覚の知覚麻痺が起こる。一方、後索は障害されないため、深部感覚・触覚は侵されない。
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反射の説明とその例を1つ図と文章で説明しなさい。反射とは、中枢神経内の情報処理の過程で、大脳皮質を経由せず不随意に行われる反応のことである。すなわち、反射とは知覚・判断・意志などの精神活動を介さない反応のことをいう。その例として。伸長反射がある。これは、骨格筋が受動的に引き伸ばされると、その筋は直ちに収縮して、元の長さに復するような反射である。これにより、筋の長さを一定に保っている。筋の伸長は筋の受容器である筋紡錘で受容され、興奮は求心性線維によって脊髄に送られ、その筋を支配する運動ニューロンに直接連絡する。感覚ニューロンの中枢性突起と運動ニューロンとは1個のシナプスで連絡されるので、単シナプス反射といわれる。
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精細触覚の伝導路について説明しなさい。精細触覚の伝導路は、後索-内側毛帯路である。1次ニューロンは脊髄神経節の神経細胞で、末梢から後根を経て脊髄に入り、後索(薄束・楔状束)を上行して延髄に達し、後索核で2次ニューロンに交代する。この際、下肢からの線維は薄束を、上肢からの線維は楔状束を上行する。二次ニューロンは延髄の後索核から反対側に交叉し、内側毛帯を作り、延髄・橋の背側部、中脳被蓋の腹外側部を上行し、視床の後外側腹側核に達し、三次ニューロンに接続する。三次ニューロンは視床から起こり、内包の後脚を通って大脳皮質(感覚野)に至る。
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自律神経の節前神経節について説明せよ節前神経節は、視床下部から投射された神経線維が、節前神経とシナプスを形成している箇所である。節前神経節は胸髄と腰髄の側角にあり、視床下部からの入力を受けた節前神経の軸索は前根を通り、節後神経節で節後神経とシナプスを形成する。
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外側皮質脊髄路の投射路と機能を説明せよ外側皮質脊髄路は随意運動にあずかる伝導路で、大脳皮質から起こり、脊髄を下降して前角の運動神経性神経細胞に接続する。この神経路は、一次運動野→内包後脚→大脳脚→錐体→錐体交叉→脊髄側索→前角→二次ニューロンである。外側皮質脊髄路の線維は脊髄を下降しつつ、脊髄灰白質に入り、前角の運動ニューロンに接続する。
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屈曲反射について説明せよ屈曲反射は四肢に痛みを起こす刺激が加わると、反射的に関節を屈曲して体幹に向かって近づけ、刺激から逃れようとする反射である。この反射は感覚ニューロンと運動ニューロンは介在ニューロンによって多くのシナプスを経て連絡されるので、多シナプス反射である。
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Penfieldの地図の特徴Penfieldの地図は、運動野での支配域に対する体部位的局在を示している。この図から帰納的に重要な微妙な運動を行う部位(手・指・顔面・舌・喉頭など)を支配する中枢は広い面積を占めることが分かる。
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大脳基底核の核について説明せよ。またその機能的意義について疾患を例にとりながら説明しなさい。大脳基底核の核は、尾状核、レンズ核、前障に分けられ、レンズ核はさらに淡蒼球と被殻に分けられる。また、尾状核と被殻をあわせて線条体という。大脳基底核は、とくに大脳皮質の補足運動野と前頭前皮質に作用し、外界の状況に応じた適切な行動を選択したり、個々の場面にふさわしい動作の習慣を形成したりする時に働く。
(疾患)ハンチントン病:線条体の小型神経細胞が変性・消失する。はじめは間接経路が侵されて不随意運動が起こるが、のちには直接経路と間接経路がともに変性し、筋が強直して無動になる。 -
大脳辺縁系について解剖学的にどのような特徴を示すか、進化の過程を考慮しつつ説明せよ。大脳辺縁系は原皮質にあたり、両生類以降に見られる。大脳辺縁系は現在の状況を過去の経験と照らし合わせ、状況に応じて個体の生存と種族の維持を目的とした生命活動を起こす。このような行動は本能行動と呼ばれ、大脳辺縁系はこれを支配している。大脳辺縁系は、ヒトの新皮質の著しい成長に伴い、大脳半球の下面と内側面の下部に押しやられている。
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黒質の特徴黒質は多量のメラニンを含む神経細胞から出来ているので黒く見える。多量のドーパミンを含む。黒質からの線維は大脳基底核の線条体に投射され、覚醒に関わる。この部位が障害されると、ドーパミン伝達障害となり、パーキンソン病や統合失調症になる。
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脳の動脈の特徴脳の動脈は終動脈で、太い血管から細い血管が多数出ており、枝分かれした血管はそれぞれの脳の部位を栄養する。これにより、局所的な血流調節が可能となる。しかし、一つの血管の血流が妨げられた場合、その血管が担当していた部分には他からの血流がないため、梗塞が起きやすいというデメリットがある。
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脳脊髄液の経路側脳室脈絡叢→室間孔(モンロー孔)→第三脳室脈絡叢→中脳水道(シルビウス水道)→第四脳室→正中孔(マジャンディー孔)→外側口(ルシュカ孔)→→クモ膜下腔→クモ膜顆粒→静脈洞→内頸静脈
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外側皮質脊髄路の伝導路一次運動野→内包後脚→大脳脚→錐体→錐体交叉→脊髄側索→脊髄灰白質→前角→二次ニューロン
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前皮質脊髄路の伝導路一次運動野→内包後脚→大脳脚→錐体→脊髄前索→前皮質脊髄路→灰白交連(交叉)→前角→二次ニューロン
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皮質核路の伝導路一次運動野→内包→大脳脚→脳神経運動核→二次ニューロン→頭頸部の筋
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網様体脊髄路の橋網様体脊髄路の伝導路網様体(橋)→前索→前角→二次ニューロン(非交叉性)
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網様体脊髄路の延髄網様体脊髄路の伝導路網様体(延髄)→側索→前角→二次ニューロン(交叉性と非交叉性)
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視蓋延髄路と視蓋脊髄路の伝導路中脳上丘→中脳被蓋(交叉)→内側縦束→網様体→前角(頚髄上部)、側角(胸髄上部)
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前庭脊髄路のうち、外側前庭脊髄路の伝導路前庭神経外側核(橋)→延髄網様体(同側)→脊髄前索(外層近く)→前角→二次ニューロン
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前庭脊髄路のうち、内側前庭脊髄路の伝導路前庭神経内側核(延髄)→内側縦束(両側)→脊髄前索(内側)→前角→二次ニューロン
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赤核脊髄路の伝導路赤核→交叉(中脳)→橋・延髄→脊髄後索→介在ニューロン→運動ニューロン
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脊髄網様体路の伝導路末梢感覚終末→脊髄神経節→後角→側索→延髄網様体→二次ニューロン→髄板内核
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視覚の伝導路網膜→視神経乳頭→視交叉→視索→外側膝状帯→二次ニューロン→マイヤーのループ→内包後脚→視放線→視覚野(後頭葉)
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聴覚の伝導路ラセン器→ラセン神経節→蝸牛神経(内耳神経)→橋→蝸牛神経核→二次ニューロン→交叉(台形体)→外側毛帯→下丘(中脳)→内側膝状帯(視床)→三次ニューロン→内包後脚→聴覚野(側頭葉)
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味覚の伝導路顔面神経、舌咽神経→孤束(延髄)→孤束核→交叉→内側毛帯→後内側腹側核(視床)→内包後脚→味覚野(大脳皮質)
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嗅覚野の伝導路嗅細胞→嗅神経→篩骨篩板→嗅球→嗅索→外側嗅条→一時嗅覚中枢
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後脊髄小脳路の伝導路非意識型深部感覚(下半身)
末梢感覚終末→脊髄神経節→薄束→胸髄核(クラーク核)→二次ニューロン→後脊髄小脳路(同側の側索の後外側部)→下小脳脚→小脳(非交叉性) -
前脊髄小脳路の伝導路非意識型深部感覚(下半身)
末梢感覚終末→前角の背外側部→二次ニューロン→前白交連(交叉)→前脊髄小脳路(側索の表層)→上小脳脚→小脳 -
副楔状束路の伝導路非意識型深部感覚(上半身)
末梢感覚終末→脊髄神経節→楔状束→副楔状束核(延髄)→二次ニューロン→下小脳脚→小脳(非交叉性) -
精細触覚と意識型深部感覚の伝導路末梢感覚終末→脊髄神経節→後根→後索(脊髄延髄路)→延髄の後索核→二次ニューロン→毛帯交叉(延髄で交叉)→内側毛帯→後外側腹側核(視床)→三次ニューロン→内包後脚→体性感覚野(大脳皮質)
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皮膚感覚の温痛覚の伝導路外側脊髄視床路
末梢感覚終末→脊髄神経節→後根→後角(後角尖)→二次ニューロン→前白交連(交叉)→外側脊髄視床路(側索)→脊髄毛帯(脳幹)→後外側腹側核(視床)→三次ニューロン→内包後脚→体性感覚野(大脳皮質) -
皮膚感覚の粗大触圧覚の伝導路前脊髄視床路
末梢感覚終末→脊髄神経節→後根→後角尖(後外側束)→後角→二次ニューロン→前白交連(交叉)→前脊髄視床路(前索)→脊髄毛帯(脳幹)→後外側腹側核(視床)→三次ニューロン→内包後脚→体性感覚野(大脳皮質) -
三叉神経脊髄路顔面の皮膚感覚
顔面→三叉神経線維→三叉神経主感覚核(精細触圧覚)(橋) or 三叉神経脊髄路核(温痛覚と粗大触圧覚)(延髄)→二次ニューロン→三叉神経毛帯→後内側腹側核(視床)→三次ニューロン→内包後脚→体性感覚野(大脳皮質)
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