-
わたのはら こぎいでてみれば ひさかたのくもゐにまがふ おきつしらなみ
-
せをはやみ いはにせかるる たきがはのわれてもすゑに あはむとぞおもふ
-
あはぢしま かよふちどりの なくこゑにいくよねざめぬ すまのせきもり
-
あきかぜに たなびくくもの たえまよりもれいづるつきの かげのさやけさ
-
ながからむ こころもしらず くろかみのみだれてけさは ものをこそおもへ
-
ほととぎす なきつるかたを ながむればただありあけの つきぞのこれる
-
おもひわび さてもいのちは あるものをうきにたへぬは なみだなりけり
-
よのなかよ みちこそなけれ おもひいるやまのおくにも しかぞなくなる
-
ながらへば またこのごろや しのばれむうしとみしよぞ いまはこひしき
-
よもすがら ものおもふころは あけやらでねやのひまさへ つれなかりけり
-
なげけとて つきやはものを おもはするかこちがほなる わがなみだかな
-
むらさめの つゆもまだひぬ まきのはにきりたちのぼる あきのゆふぐれ
-
なにはえの あしのかりねの ひとよゆゑみをつくしてや こひわたるべき
-
たまのをよ たえなばたえね ながらへばしのぶることの よわりもぞする
-
みせばやな をじまのあまの そでだにもぬれにぞぬれし いろはかはらず
-
きりぎりす なくやしもよの さむしろにころもかたしき ひとりかもねむ
-
わがそでは しほひにみえぬ おきのいしのひとこそしらね かわくまもなし
-
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐあまのをぶねの つなでかなしも
-
みよしのの やまのあきかぜ さよふけてふるさとさむく ころもうつなり
-
おほけなく うきよのたみに おほふかなわがたつそまに すみぞめのそで
-
はなさそふ あらしのにはの ゆきならでふりゆくものは わがみなりけり
-
こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎにやくやもしほの みもこがれつつ
-
かぜそよぐ ならのをがはの ゆふぐれはみそぎぞなつの しるしなりける
-
ひともをし ひともうらめし あぢきなくよをおもふゆゑに ものおもふみは
-
ももしきや ふるきのきばの しのぶにもなほあまりある むかしなりけり
ログイン