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夕されば 門田の稲葉 おとづれて蘆のまろ屋に 秋風ぞ吹く
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音に聞く たかしの浜の あだ波はかけじゃ袖の ぬれもこそすれ
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高砂の 尾上の桜 咲きにけり外山の霞 立たずもあらなむ
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憂かりける 人を初瀬の 山おろしよはげしかれとは 祈らぬものを
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契りおきし させもが露を 命にてあはれ今年の 秋もいぬめり
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わたの原 漕ぎ出でてみれば 久方の雲居にまがふ 沖つ白波
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瀬を早み 岩にせかるる 滝川のわれても末に 逢はむとぞ思ふ
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淡路島 かよふ千鳥の なく声にいく夜ねざめぬ 須磨の関守
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秋風に たなびく雲の 絶え間よりもれ出づる月の 影のさやけさ
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長からむ 心もしらず 黒髪の乱れて今朝は 物をこそおもへ
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