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谷谷の氷打ち解けて、水はをりふし増さりたり。ちょうどその時
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をりふしの移り変はるこそ、ものごとにあはれなれ。季節
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わが知る人にてある人の、はやう見し女のことほめ言ひ出でなどするも、ほど経たることなれど、なほにくし。以前
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はやう御髪おとし給うてき。すでに
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いかなる船なるといふことを知らざるに、はやく、賊船なりけり。なんとまあ
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曇りたる空を、つくづくとながめ暮らしたるは、いみじうこそあはれなれ。しんみりと
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いとしもおぼえぬ人の、おし起こして、せめてもの言ふこそ、いみじうすさまじけれ。無理やり
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せめて恐ろしきもの。夜鳴る神。非常に
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さりとも、この北陸道にて、羽黒の讃岐阿闍梨見知らぬ者やあるべき。いくらなんでも
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し残したるをさて打ち置きたるは、おもしろく、生き延ぶるわざなり。そのまま
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さての人々は皆臆しがちに鼻白める多かり。そのほかの
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この殿は、おほかた歌のありさま知りたまはぬにこそ。まったく ない
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かまへてよくよく宮仕へ、御心に違ふな。注意して
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かまへて盗まむ。ぜひとも
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かまへて調ずまじきなり。決して
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夢もうつつも、「これはよきこと」と人申せど、させることなくてやむやう侍り。たいした
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「さはれ、このついでにも死なばや」とおぼす。どうにでもなれ
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才はきはめてめでたけれど、みめはいとしもなし。たいしたことはない
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おのれが身かずならずして権門の傍らに居る者は、深く喜ぶことあれども、大きに楽しむに能はず。取るに足りない
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男だに才がりぬる人は、いかにぞや、はなやかならずのみはべるめるよ。あまり感心しない
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さればよ。思し疑ふことこそありけれ。思ったとおりだ
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さればこそ。異物の皮なりけり。案の定
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歌など詠むは世の常なり。ありきたりだ
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めでたしなどは言ふも世の常なり。月並みな表現だ
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「これ、結ばばや」と言へば、実方の中将、寄りてつくろふに、ただならず。様子が普通ではない
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かくて閉ぢめてむと思ふものから、ただならずながめがちなり。心が平静ではない
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男夜な夜な通ふほどに、年月を重なるほどに、身もただならずなりぬ。妊娠する
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人の泣き騒ぐ音の聞こゆるに、いとゆゆしく、ものもおぼえず。呆然としている
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ものもおぼえぬ官人どもが申しやうかな。道理をわきまえない
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ひとやりならぬ道なれば、行き憂しとてとどまるべきにもあらで、何となく急ぎ立ちぬ。他のせいではなく、自分の心からする
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野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。翌日
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正月一日、言忌みもしあへず。最後まで しきれない
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