行政活動を行うには、そのための根拠となる規範を必要とするが、どのような行政活動においてそれが必要となるのかが問題となる。この点については、国民の自由や財産を侵害するような行政活動を行うときには、法律の根拠を必要とするが、それ以外の行政活動、例えば補助金の交付や生活保護などの給付行政を行うには、根拠となる法律の規定を要しないとするのが伝統的な考え方であり、行政実務もこの考え方に従っているといわれている。これを()という。
侵害留保説
この考え方によれば、租税の賦課や建築物の除却命令、土地の収用等の行為を行うには法律の根拠を必要とする。なぜなら国民の自由ないし財産を侵害する行政活動だからである。しかし、災害見舞金の交付、住宅の耐震化や太陽光発電の普及のための補助金給付は、国民の権利自由に対する侵害を伴わないので、法律や条例の根拠なく行うことができるのである。