決して身分卑しからぬ三名であるが、例えば酒を持たせた従者が「野」からやって来るという表現がある。これは「野」(=「1」)とは、「2」(=「3」)に対する表現であり、皇位継承の争いから外れてしまった状態を暗示しているとも言われる。酒宴の場所も平安京から離れていることが確認できる。むしろそのような困難な状況であるからこそ、主従や上下関係を超えた仲の良さ、信頼感などが本文からは読み取れるのである。「4」は藤原俊成の歌中においで「5」として出てくる景勝地であり、酒宴を催し、一首興じるに相応しい土地として表現されている。3歌中の「たなばたつめ」は「棚機つ女」即ち「七夕の女性」ということで現代語訳の「6」となる。「7」が詠んだのに「8」は返歌をなかなかしなかったので、「9」が代わって詠んだのが4の歌である。
1 民間
2 朝
3 朝廷
4 交野
5歌枕
6 織姫
7 在原業平
8 惟喬親王
9 紀有常