2017 年にアメリカは副作用として呼吸抑制などの危険性があるとして、コデイン類を含む医療用医薬品について 12歳 未満の小児への使用を禁忌とすることを発表しました。一方、日本での呼吸抑制のリスクは、欧米と比較して遺伝学的に低いと推定されています。この違いを概説してください。
コデイン系薬剤の呼吸抑制の副作用は、CYP2D6 による代謝産物であるモルヒネによると考えられている。CYP2D6については遺伝子多型が存在し、遺伝的にこの代謝酵素の代謝能が過剰な人では、コデインの活性代謝産物であるモルヒネの血中濃度が上昇し、副作用の呼吸抑制が発現しやすくなるおそれがある。欧米人では3.6~6.5%の割合で存在するが、日本人では 0.5%程度と割合が低い。