死者を被告とする訴えに対し相続人が応訴した場合、事者をどのように確定するか
【原則】
死者が当事者であり、当事者の一方が実在しない訴えとし
て却下される(・表示説)
【例外】
①原告が訴訟代理人を選任したり訴状を提出したにとどまる時点で相手方が死亡し、かつ、相続人が訴状を受領して死者の名で応訴している場合のように手続の当初から相続人固有の手続保障があったと評価できる場合には、124条1項1号類推適用により相続人は訴訟を承継しうる=当然に相続人が当事者
・①訴訟係属後の死亡であれば相続人に当然承継されるのに(1241①)、死亡が訴訟係属前であったことにより訴えが不適法却下されるのは不均衡である
②訴訟成立の準備過程に入っていた場合、潜在的訴訟係属があり、当然承継を類推する基礎がある
③当初から相続人固有の手続保障がなされている以上、皆然承継をめても相続人に不都合はなく、訴訟経済にも資する
② (潜在的訴訟係属が生じる以前にすでに相続人が死亡していたとしても、)相続人が訴状を受領して死者の名で応訴している場合のように手続の初から相続人固有の手続保障があったと評価できる場合には、当事者を死者から相続人に変更(任意的当事者変更)し、旧訴の訴訟資料を相続人との関係で当然に流用することが認められる
=任意的当事者変更により相続人が事者になる
・相続人が当初から手続に関与し、新旧当事者を実質的に同視できる場合には、任意的当事者変更にあたり訴訟資料を流用しても、その者の手続保障に反せず、訴訟経済にも資する
※②の場合、124条1項1号の類推適用はできない(類推
の基礎がない)ことに注意