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三種類の毛細血管の説明
連続性毛細血管
筋組織の他に、結合組織や神経組織などたいていの組織で見られる毛細血管で、内皮細胞が連続的な薄層をなしており、血管壁に孔がない。
有窓性毛細血管
内分泌腺や腎臓に分布する毛細血管に多く、内皮細胞に小さな丸い窓がたくさんあいている。
洞様毛細血管(非連続性毛細血管)
肝臓や骨髄の毛細血管では管腔が広くなっており、壁には大小の孔があいている。
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髄鞘の形成過程と機能的意義
髄鞘はミエリンと呼ばれるリン脂質を成分とするさやで、中枢神経系では希突起膠細胞が、末梢神経系ではシュワン細胞が神経細胞の突起の周りに自分の細胞膜を何重にも巻いて作ったものである。髄鞘は神経線維の全長において一定の間隔で途切れており、この途切れ目をランヴィエの絞輪という。髄鞘は神経線維の絶縁物としての役割と共に、電気生理学的に重要な役割を持っている。つまり、有髄神経線維では電気的な興奮は軸索の表面を連続的に伝わるのではなく、絞輪から絞輪へと跳躍しながら伝わることで伝達速度が速くなっている。
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骨格筋の組織学的特徴
骨格筋細胞は多核で横紋の有る随意筋であり、私たちの意思で動かすことができる。そのため、遠心性神経終末であるシナプスと神経筋接合部を形成する運動終板と求心性神経終末である筋紡錘が認められる。また、心筋細胞と異なりT細管は3つ組の構造を形成している。骨格筋は姿勢の維持に関わるミトコンドリアやミオグロビンを多く含み瞬発力は無いが持久力のある赤筋と四肢などに分布する筋原線維を多く含み瞬発力はあるが疲れ易い白筋に大別される。骨格筋は表情筋のような皮筋や、食道の壁にみられる内臓筋に存在している。
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平滑筋の組織学的特徴
平滑筋細胞は単核で横紋のない不随意筋であり、私たちの意思で動かすことができない。平滑筋細胞は興奮伝達のためにカベオラという構造を持っている。また、平滑筋は筋線維同士の間に弾性線維が比較的多く含まれていることも特徴の一つである。平滑筋は一般に消化管などの中空性の器官の壁や血管中膜に存在する。
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リンパ節の構造
リンパ節はリンパ管の経過中にあり、一方から数本の輸入リンパ管が侵入し、他方の門と呼ばれるくぼんだ部分から輸出リンパ管が出ている。門の部分には、血管と神経も出入りしている。リンパ節の表面は、密生結合組織の被膜で覆われており、実質は大きく皮質(表層)と髄質(深層)に分けることができる。いずれもリンパ髄とリンパ洞からなり、皮質ではリンパ髄に多数のリンパ小節が認められる。皮質の深層のリンパ髄には背の高い特殊な内皮細胞をもった高内皮細静脈がみとめられる。そしてリンパ管には逆流を防ぐための弁が備わっている。輸入リンパ管からリンパ節内に入ったリンパ液は、被膜直下のリンパ洞である辺縁洞に注がれたのちに髄洞を通り、輸出リンパ管から出ていくが、この間にリンパ液内の細菌や異物が洞内のマクロファージに捕獲され食べこまれてしまう。リンパ節はリンパ液のろ過装置としての役割だけでなく、B細胞を産生、支持し、T細胞を蓄えておく役割もある。
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無形基質とは
結合組織の細胞や線維の間を満たしている水分に富んだ無構造の物質
無形基質は粘性のある流動体で、主な成分はグリコサミノグリカンである。無形基質が大量の水を吸着する性質を持つのは、グリコサミノグリカンがタンパク質と結合しプロテオグリカンという大きな複合体を作るからである。
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結合組織とは何か
体内に広く分布しており、他の組織や器官の中に入り込んでそれをつなぎ合わせたり、あいだを埋めたり、脈管や神経を導き栄養の補給などにも関与したり、細菌などの侵入に対する生体防御の場になったりするものが結合組織である。結合組織は線維芽細胞や脂肪細胞のような細胞要素と、膠原線維のような線維と無形基質からなる細胞間質によって構成されている。
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マクロファージの組織学的特徴
単球に由来するマクロファージは細胞や線維の間をはいまわりながら、老化した自己の細胞や死んだ細胞、さらに外から入った細菌や異物を食べることを生業にしている細胞である。マクロファージは形が一定ではなく、その核は一般に球形で、線維芽細胞よりやや小さくクロマチンが凝集している。墨汁などを使うと、マクロファージと線維芽細胞を容易に区別することができる。マクロファージの細胞質内にはライソゾームやファゴソーム、ファゴライソゾームが多数みられる。細胞内に取り込まれた物質は、ライソゾームに含まれる加水分解酵素によって可能な限り消化される。また細菌や異物を取り込んだマクロファージはその情報をリンパ球に伝える抗原提示能を示す。さらに炎症時にはサイトカインを分泌することが分かってきている。
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線維芽細胞の組織学的特徴
線維芽細胞は卵円形の細長い核を持った扁平ないし紡錘形の細胞で、両端や側面に細胞質突起をたくさん持っている。電子顕微鏡で観察すると、細胞質にかなりよく発達した粗面小胞体が認められる。線維芽細胞は、細胞間質の線維成分である膠原線維や弾性線維などの形成に関与し、こうした成分の素材となるプロコラーゲンやトロポエラスチンを粗面小胞体やゴルジ装置によって作り出している。
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基底膜を構成する分子
基底膜と結合組織線維成分を結びつける係留細線維はVII型コラーゲンでできている。また、線維網状層には主にI型コラーゲンでできた膠原線維が存在している。さらに、基底膜にはエラスチンやフィブリリンに代表される非コラーゲン性糖タンパクでできた弾性線維やIV型コラーゲン、グリコサミノグリカンとコアタンパクによるプロテオグリカン、これが負の電荷を持つことで引き寄せられる陽イオンにさらに引き寄せられる水分子が存在している。
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基底膜の機能
基底膜は、上皮を結合組織に結び付けるとともに物質透過に対するフィルターとして機能している。鍍銀染色かPAS反応を施すと透過電子顕微鏡で観察でき、その顕微鏡像から透明層、緻密層、線維網状層に分けられる。このとき、上皮細胞基底部のヘミデスモソームや係留細線維、その他のコラーゲンによってそれぞれの層と上皮細胞が密接に関わりを持つことで上皮細胞と結合組織の間に強い結び付きを作る他、養分や老廃物の授受を実現している。また、腺細胞と隣接する基底膜は分泌物の原料となる成分の受け渡しも担っている。
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動脈と静脈の差を血管の基本的な構造を考慮しながら説明しなさい。
動脈と静脈は共通して単層扁平上皮による内膜と平滑筋を含む中膜、血管の血管や神経線維を含むことがあり結合組織に移行する外膜により形成されている。比較的太い動脈は弾性型動脈と呼ばれ、中膜に弾性線維を多く含むことで強い圧力に耐え得る構造をしている。また、比較的太くはない動脈は筋型動脈と呼ばれ、中膜に弾性線維が少ない代わりに内膜や外膜との間にはそれぞれ内弾性板や外弾性板という構造を有している。このとき、外膜には細い動脈でなければ血管の血管が分布していることがあり、特に後者には神経線維が多い。一方、静脈では、平滑筋が中膜のみならず内膜や外膜に分布していることもあり、全体的に動脈よりも壁が薄く、平滑筋や弾性線維は少ない。これは静脈にかかる圧力が小さいことに起因する。逆に静脈にあって動脈に無い特徴は弁を持つことであり、血管内皮細胞によって形成され、血液の逆流を防いでいる。弁は重要で、長時間の立ち仕事の末、静脈の内腔が広がると弁が閉じきれなくなり、静脈瘤ができてしまうことがある。
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肥満細胞の組織学的特徴
肥満細胞は好塩基球から分化していると考えられている細胞である。内部に酸性のグリコサミノグリカンを含む顆粒を持つためにメタクロマジーを起こす。実際には、顆粒の中にヒスタミンやヘパリン、プロテアーゼなどが含まれている。このうちヒスタミンには毛細血管や細静脈の壁の透過性を高めるはたらきが、ヘパリンには血液の凝固を防ぐはたらきがある。そのため、肥満細胞の表面にIgEが結合していることに起因するヒスタミンの過剰放出は組織に浮腫や平滑筋の収縮を引き起こし、アレルギー反応となることがある。肥満細胞の顆粒は機械的な刺激や化学的な刺激で一気に放出され脱顆粒を起こす。特に炎症の際には重要な役割を演じ、先に述べたアレルギー反応と大きな関係がある。
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脂肪細胞の組織学的特徴
脂肪細胞は中性脂肪で形成される脂肪滴を非常に多く含む細胞である。そのため、これに押しつぶされるようにして核は扁平になり端へ押し付けられている。脂肪細胞は脂肪酸とグリセロールにより合成されるトリグリセリドの貯蔵に関与しており、必要に応じて再度分解することができる。また、レプチンというホルモンを分泌することが知られており、これは食欲の低下やエネルギー代謝の向上を促すことから、近年脚光を浴びている。
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赤血球の組織学的特徴
赤血球は核やミトコンドリアが無い代わりにヘモグロビンを総重量の30%ほど保有する、全身の酸素と二酸化炭素の運搬を担う細胞である。無核であることから変形が容易で毛細血管等の細い場所では砲丸状になることで全身を巡る。血液1μL中には男性でおよそ500万個もの赤血球が含まれるとされ、寿命は120日であり、老いた赤血球は脾臓で取り除かれる。このとき、ヘモグロビンはヘムとグロビンに分けられ、ヘムはさらに鉄とビリルビンに分解される。こうしてできた鉄は骨髄で再利用され、ビリルビンは胆汁へと変わる。
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心筋の組織学的特徴
心筋細胞は普通単核で横紋のある不随意筋であり、平滑筋と同じく私たちの意思で動かすことは出来ないが、情報伝達のための構造は平滑筋と異なり、心筋線維同士はZ板に平行なデスモソームで互いに繋がっていてギャップ結合を介して連絡しあっている。このデスモソームのある位置を介在板と呼び、興奮の伝達はその速度の速い特殊心筋が発生と主な伝達を担っていて、L系と呼ばれる筋小胞体と細胞膜の二つの組構造によるT細管がそれを介している。これは心臓の心筋層に分布している。
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長骨の成長はどのようにしてなされるか
長骨の長軸方向の成長は、ガラス軟骨の間質成長に依存する。その軟骨の中心は骨に置き変わっていく。二次骨化中心では、ガラス軟骨が海面骨に置換される。関節軟骨と骨端板は置換されない。置換の過程では、補充帯、増殖帯、肥大帯、血管浸入帯の4つの領域が見られ、骨化が進行していく。また、骨端板における軟骨形成と軟骨膜輪の形成は、インディアンヘッジホッグ(Ihh)により調節され、これにより軟骨細胞の増殖が促進され、肥大化は抑制される。
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軟骨内骨化のしくみ
最初にガラス軟骨の骨格鋳型の中央で軟骨細胞が肥大化し、X型コラーゲンと血管内皮細胞成長因子(VEGF)を合成し始める。その後、軟骨膜から血管が侵入し、中央の肥大化した軟骨細胞に到達する。中央部分のマトリックスは石灰化し、一次骨化中心ができる。骨軸あるいは骨幹の中央で軟骨膜内装の細胞が薄い骨膜輪を作る。骨膜輪は膜内骨化の過程を経て線維骨となるが、ここは将来の骨膜下部位に相当する。そして肥大化した軟骨細胞が占めていた空間に血管が侵入し、骨前駆細胞と造血細胞が血管周囲組織を介して到達する。前者はCbfa1とRunx2の影響を受けて骨芽細胞に分化して石灰化軟骨マトリックスに沿って並び、類骨を沈着し始める。その後、骨芽細胞は石灰化した骨基質に埋もれ、オステリクスの影響を受けて骨細胞へと分化する。ここまでが胎生3ヶ月までに起き、生後は同様の原理により骨端で二次骨化中心が発達し、骨は長軸方向へと成長していく。
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膜内骨化の仕組み
(膜内骨化では軟骨は出現しない)
最初に血管が豊富な結合組織に間葉細胞の集合が形成される。次に間葉細胞が骨芽細胞に分化し、一次骨組織が形成される。そして骨芽細胞が骨基質を分泌しながら骨細胞へと分化する。最後に骨組織が付加的に成長し、融合して成長する。
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#組織学