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困ず(こうず)の活用
サ変
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こうず(困ず)の意味
1.疲れる2.悩む・困る
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このごろ物の怪にあづかりて『こうじ』にけるや、ゐるままにすなはちねぶり声なる、いとにくし。
疲れ
例文は無いけど「悩む・困る」って意味もあるよ
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おぼゆ(覚ゆ)の活用
ヤ行下二段
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おぼゆ(覚ゆ)の意味
1.思われる2.思い出す・思い出される3.似る・似ている
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世の中にまた類ある事とも『おぼえ』ず
思われ
思われる
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うちある調度も昔『おぼえ』て、
思い出されて
思い出す・思い出される
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少し『おぼえ』たるところあれば、子なめりと見給ふ。
似(ている)
似る・似ている
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聞こゆの活用
ヤ行下二段
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聞こゆの意味
1.聞こえる2.噂される・評判になる3.分かる
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鶴は、いとこちたきさまなれど、鳴く声雲井まで『きこゆる』、いとめでたし
聞こえる
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都に『きこえ』たる白拍子の上手一人出で来たり。
評判になっ(ている)
噂される・評判になる
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『きこえ』ぬことども言いつつよろめきたる、いとかはゆし。
分から(ない)
分かる
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ゆかしの活用
シク活用
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ゆかしの意味
1.見たい・聞きたい・知りたい2.心ひかれる・慕わしい
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(天香久山は)年ごろ『ゆかしう』思ひわたりし所なりければ、
見たいと(=登りたく)
見たい・聞きたい・知りたい
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山路来て何やら『ゆかし』すみれ草
心ひかれる
心ひかれる・慕わしい
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なつかしの活用
シク活用
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なつかしの意味
1.親しみ深い・心ひかれる・好ましい
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(村上天皇は)『なつかしう』なまめきたる方は、延喜(えんぎ)にはまさり申させたまへり。
親しみ深く
親しみ深い・心ひかれる・好ましい(「なつく」が語源だから、昔懐かしいとは違う!)
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はづかし(恥づかし)の活用
シク活用
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はづかし(恥づかし)の意味
1.恥ずかしい・きまりが悪い2.(こちらが恥ずかしくなるほど相手が)立派だ
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『はづかしき』人の、歌の本末(もとすゑ)問ひたるに、ふとおぼえたる、我ながらうれし。
(こちらが恥ずかしくなるほど)立派な
例文は無いけど「恥ずかしい・きまりが悪い」っていう現代語と同じ意味もある
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こころにくしの活用
ク活用
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こころにくしの意味
1.奥ゆかしい・上品だ・心ひかれる
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(身分が高く教養がある人の住まいというものは、)うちある調度も昔覚えてやすらかなるこそ、『心にくし』と見ゆれ。
奥ゆかしい
奥ゆかしい・上品だ・心ひかれる(にくらしいと嫉妬心を抱くくらい、心ひかれるという意味。普通ににくらしいなら、「にくし」)
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おどろおどろしの活用
シク活用
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おどろおどろしの意味
1.大げさだ・仰々しい2.気味が悪い・恐ろしい
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夜いたくふけて、門(かど)をいたう『おどろおどろしう』たたけば、
大げさに
大げさだ・仰々しい
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いと『おどろおどろしく』かきたれ雨の降る夜、
気味悪く
気味が悪い・恐ろしい
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憂しの活用
ク活用
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憂しの意味
1.つらい・いやだ・情けない
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(新しい妻を得た男は全家財道具を運び出した。もとからの妻は言う。)今日よりは『うき』世の中をいかでわたらむ。
つらい
つらい・いやだ・情けない
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むつかしの活用
シク活用
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むつかしの意味
1.不快だ・煩わしい・うっとうしい2.気味が悪い・恐ろしい
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女君は、暑く『むつかし』とて、御髪(みぐし)すまして、
うっとうしい
不快だ・煩わしい・うっとうしい
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(光源氏は女(=夕顔)をある荒れ果てた院に連れていった。)奥の方(かた)は暗うもの『むつかし』と、女は思ひたれば、
気味が悪い
気味が悪い・恐ろしい
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すさまじの活用
シク活用
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すさまじの意味
1.興ざめだ・おもしろくない・しらけている2.殺風景だ・寒々としている・荒涼としている
現代語と同じ「すさまじい(ものすごい)」という意味で使われることもある
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『すさまじき』もの。昼ほゆる犬、春の網代(あじろ)。
興ざめな
興ざめだ・おもしろくない・しらけている
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冬の夜の月は、昔より『すさまじき』物の例(ためし)にひかれて侍りけるに、
殺風景な
殺風景だ・寒々としている・荒涼としている
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けしき(気色)の意味
1.様子2.顔色・機嫌3.意向・意中
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切(せち)に物思へる『気色』なり。
様子
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おほやけの御(み)『気色』悪しかりけり。
機嫌
顔色・機嫌
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わざとの御消息とはあらねど、御『気色』ありけるを、
意向
意向・意中
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こころざし(心ざし、志)の意味
1.意志・意向(現代語と同じ)2.愛情・好意3.お礼の贈り物
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「『心ざし』のまさらむにこそはあはめ」と思ふに、
愛情
愛情・好意
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(留守中、家の管理を頼んでいた隣の人は、荒れるにまかせていた。)いとはつらく見ゆれど、『志』はせむとす。
お礼の贈り物
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本意(ほい)の意味
1.本来の意志・かねてからの願い
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山籠りの『本意』深く、今年は出でじと思ひけれど、
かねてからの願い
本来の意志・かねてからの願い
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としごろ(年頃、年比、年来)の意味
1.数年(の間)・数年来・長年
日ごろは数日、月ごろは数ヶ月
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夜中ばかりに、皮の聖(ひじり)のもとにおはして「われ法師になり給へ。『年頃』の本意なり」とのたまひければ、
長年
数年(の間)・数年来・長年
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『年ごろ』おとづれざりける人の、桜の盛りに見に来たりければ、
長年
数年(の間)・数年来・長年
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つとめての意味
1.早朝・朝2.翌朝
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九日の『つとめて』、大湊(おおみなと)より(中略)漕ぎ出でけり。
早朝
早朝・朝
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平中(人の名前)、そのあひける『つとめて』、人おこせむと思ひけるに、
翌朝
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世・世の中の意味
1.世の中・世間2.(世の中の)人間関係・男女の仲・夫婦の仲3.(人の)一生・(ある)御代(みよ)
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心もゆかぬ『世』とはいひながら、まだいとかかる目は見ざりつれば、
夫婦の仲
(世の中の)人間関係・男女の仲・夫婦の仲
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夢よりもはかなき(亡き親王との)『世の中』を嘆きわびつつ明かし暮らすほどに、
男女の仲
(世の中の)人間関係・男女の仲・夫婦の仲
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あらまほしの活用
シク活用
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あらまほしの意味
1.理想的だ・望ましい
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人はかたち、ありさまの、優れたらんこそ、『あらまほしかる』べけれ。
望ましい
理想的だ・望ましい
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らうらうじ(労労じ)の活用
シク活用
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らうらうじ(労労じ)の意味
1.巧みだ・もの慣れている・気がきいている・配慮が行き届いている2.上品だ・(気高く)美しい
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(歌を)いとをかしげに『らうらうじく』書きたまへり。
巧みに
巧みだ・もの慣れている・気がきいている・配慮が行き届いている
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夜深くうちいでたる(時鳥(ほととぎす)の)声の、『らうらうじう』愛敬(あいぎやう)づきたる、いみじう心あくがれ、せむかたなし。
上品で
上品だ・(気高く)美しい
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うるせしの活用
ク活用
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うるせしの意味
1.賢い・優れている2.巧みだ・優れている
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この童(わらは)も心得てけり。『うるせき』やつぞかし。
賢い
賢い・優れている
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宮の御琴の音(ね)は、いと『うるせく』なりにけりな。
巧みに
巧みだ・優れている
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はかばかしの活用
シク活用
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はかばかしの意味
1.しっかりしている・きちんとしている2.はっきりしている
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とりたてて、『はかばかしき』後見しなければ、
しっかりとした
しっかりしている・きちんとしている
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「とく参りたまへ」など、『はかばかしう』も、のたまはせやらず、
はっきりと
はっきりしている
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