母、物語など求めて見せ給ふに、げにおのづから慰みゆく。
自然に
立て籠めたる所の戸、すなはちただ開きに開きぬ。
すぐに
用有りて行きたりとも、そのこと果てなば、とく帰るべし。
早く
いつしか梅咲かなむ。
早く
この法師のみにもあらう、世間の人、なべてこのことあり。
総じて
散ればこそいとど桜はめでたけれ
いっそう
かくおとなしき心あらむとこそ思はざりしか。
このように
何をもちて、とかく申すべき
あれこれと
我はしか隔つる心もなかりき。
そのように
まことさにこそ候ひけれ。
そう
この殿の御心、さばかりにこそ
その程度
かの廂に敷かれたりし物は、さながらありや。
そのまま
知らぬ人の中にうち臥して、つゆまどろまれず。
少しも〜ない
今は逃ぐとも、よも逃がさじ。
まさか〜ないだろう
むなしう帰り参りたらんは、なかなか参らざらんより悪しかるべし。
かえって
祇王もとより思ひまうけたる道なれども、さすがに昨日今日とは思ひよらず。
そうはいってもやはり
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例なし。
一方では
などかくは仰せらるる。
どうして
なでふ、かかるすき歩きをして、かくわびしきめを見るらむと、思へどかひなし。
どうして
大人になり給ひて後は、ありしやうに御簾の内にも入れ給はず。
かつての
例のいと忍びておはしたり。
いつものように
音に聞くと、見る時とは、何事も変はるものなり。
うわさに聞く
奈良坂にて人にとられなばいかがせむ。
どうしようか
若宮など生ひ出で給へば、さるべきついでもありなむ。
適当な
いざたまへ、出雲拝みに。
さあ一緒にいらっしゃい