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1. アーキアの特徴のうち、真核生物的およびバクテリア的特徴をそれぞれ2つ以上述べよ。 野村
真核生物的特徴
・イントロンの存在
・プロモーター配列は「TATA」
原核生物的特徴
・細胞膜ステロールなし
・細胞骨格なし
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2. アーキアのヒストンタンパク質の特徴について述べよ。 野村
真核生物と同様にDNAがヒストンに巻き付いたコイル状の形をしている
塩基性尾部がない
DNAコンパクト化能が HMfA < HMfB
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3. アーキア型スプライシングの特徴について述べよ。 野村
・アーキアのイントロンのほとんどは、エキソン断片の連結にタンパク質酵素の触媒反応を必要とするアーキア型イントロンである
・真核型tRNAスプライシング酵素と相同性がある
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4. Nanobdella aerobiophilaの分類学的位置とその特徴を述べよ。 野村
・DPANNグループ
・ナノアーキオータ門
・好熱好酸性メタッロスパエラ・セドゥラを宿主とする
・MJ1HA株とのみ共生可能
・宿主から物理的に離れても、宿主を厳密に見極めて
・特異的に付着して増殖する
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5. 現在報告されているアーキアゲノムのうち最小ゲノムをもつ種を含む超門および門を答えよ。 野村
DPANNグループ、アエニグマーキオータ
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6. ASGARD超門を構成する門を5つ答えよ。 野村
ロキアーキオータ、
トールアーキオータ、
オーディンアーキオータ
ヘイムダルアーキオータ、
ヘラーキオータ
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7. Ca. Prometheoarchaeum syntrophicumはASGARDグループの中で初めて培養された種であるが、その特徴を真核生物の誕生進化と合わせて述べよ。
野村
・MK-MG株等との共培養系
・無酸素環境下で生育
・他の原核生物と比較して複雑な細胞形態
・真核生物と比較して単純な細胞構造
・E3モデル。ASGARDの足でミトコンドリアの祖先と成るバクテリ アを巻きこみ、バクテリアが内部で発達することで真核生物になった説。
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1. リンネが行った生物の体系的な分類が、それまでの方法と異なっていた点を全て挙げて説明して下さい。
・二名法
・分類階級
・ラテン語を用いた統一的命名
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2. 距離行列法の短所と長所
距離的行列法
長所:計算量が少なく、数多くのOTUを扱う系統樹も短時間で構築できる。
短所:①距離値が真の進化距離を反映していない場合、誤った系統関係を導く可能性がある②距離値に変換する際に、情報が失われる③系統樹が一つしかできないので、他の系統樹と比べてどの程度優れているかを検証できない。
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3. バクテリアと真核生物の違いについて、知っていることをできるだけ詳しく述べて下さい。
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4. バクテリアの細胞壁の構造について説明して下さい。
・グラム陰性バクテリアはグラム陽性バクテリアよりも膜が1枚多い。
・ペプチド鎖内にD‐アミノ酸を持つ
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5. 車軸藻類などの藻類から陸上植物への進化過程の中で生じた重要な形質進化について説明して下さい
・造卵器の形成
・胞子体の発達
・体表面にクチクラ層を形成
・仮根などの水分・無機栄養分吸収システムの進化
・ガス交換をするための構造の進化
・スポロポレニンを大量に含んだ細胞壁を持つ胞子の形成
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6. ウロコゴケ綱とゼニゴケ綱の違いについて説明して下さい。
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7. 蘚植物門の配偶体の特徴について説明して下さい。
さく歯、原糸体を形成する
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8. ミズゴケ綱とクロゴケ綱の胞子体は、他の蘚植物門の綱の胞子体と、どのような点で異なっているか説明して下さい。
さく柄がない、偽足がある、ミズゴケには偽気孔がある
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9. ツノゴケ類の一般的な葉緑体の特徴について説明して下さい。また、それと比較するとLeiosporoceros の葉緑体はどのような点が異なっているか、説明して下さい。
ツノゴケ類の葉緑体
・大型
・細胞あたり1~数個
・ピレノイドを持つ
Leiosporocerosの葉緑体
・デンプン粒が葉緑体の縁辺に分布
・中央にグラナが密集する
・ピレノイドがない
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10. 配偶体中心の生活をおくるコケ様の植物から、胞子体中心の生活をおくる維管束植物に至る過程で、どのような進化が生じたと考えられるか、説明して下さい。
1️⃣胞子体の先端に茎頂分裂組織を形成
2️⃣基部は地面をはって、頂部で胞子体が二股に分岐する。胞子体に複数の胞子嚢がつく。
3️⃣胞子体が成長の初期段階で配偶体から独立。胞子体の大型化。
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11. 維管束植物に見られる 2 つのタイプの葉、「大葉」と「小葉」について、その形態的な違いと、それぞれの想定される起源について説明して下さい。
大葉:葉隙(ようげき)がある。テロムが分岐してメソムになった。
小葉:葉隙がない。突起に葉跡が通り葉脈になった。
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12. 真嚢胞子嚢と薄嚢胞子嚢の違いについて説明して下さい。 5 64
真嚢胞子嚢:始原細胞が多数あり、胞子の数が多くなる
薄嚢胞子嚢:始原細胞が一つなので、限られた花粉の数になる
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13. ヒカゲノカズラ類の異型胞子をもつグループにのみに見られる特殊な器官「担根体」について説明して下さい。
・葉がない
・内部構造は根と同じ
・走地性→根の性質
・外生的に発生
・根冠・根毛がない
・IAA処理で葉が出る→茎の性質
・根でも茎でもない第四の器官
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14. トクサ類の茎の内部構造の特徴について説明して下さい。
・通気口、髄腔など空所が多い
・節間が伸長すると原生木部が崩壊し通水道を形成
・特殊な形態の環状中心柱
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15. 遺伝子のデータに基づく系統解析から、胞子繁殖を行う維管束植物の分類はどのように変更されたか、小葉類と大葉類の関係、旧マツバラン綱、旧トクサ綱の位置に特に注目して説明して下さい。6 52
小葉を持つグループと大葉を持つグループが分かれ、旧マツバラン綱、旧トクサ綱は、シダ綱の一部と考えられた
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16. 原裸子植物とはどのような植物か、説明して下さい。 6 57
・デボン紀~前期石炭紀
・体制は裸子植物に似ている
・胞子繁殖
・少なくとも一部の種類は異型胞子
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17. 維管束植物が胞子繁殖から種子繁殖へと進化した際に生じた重要な形態進化について説明して下さい。 6 62
・雌性配偶体は胞子体に寄生して成長=胚嚢
・胚嚢を中心とする胚珠の形成
・雄性配偶子体が移動性の繁殖子として機能=花粉?
・配偶体の雌雄分化
・複数の組織体と母細胞からなる茎頂分裂組織
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18. 裸子植物の現生主要群(ソテツ類、イチョウ、球果類、グネツム類)の茎頂分裂組織の特徴について、相違点がわかるように説明して下さい。
ソテツ:始原体、中央母細胞帯、周辺帯の3部。帯状構造
イチョウ:中央母細胞帯、周辺帯、髄状分裂組織の3部。帯状構造
球果類:頂端始原細胞体、中央母細胞帯、周辺帯、髄状分裂組織の4部
グネツム類:外衣‐内帯構造
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19. イチョウの受粉から胚形成までの経過について、各過程の大まかな季節を示しながら説明して下さい。
4月:受粉
9月:受精
6月:発芽
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20. 球果類の雄性配偶体の特徴について説明して下さい。
・第一前葉体細胞、
・第二前葉体細胞、
・管細胞が花粉管を伸ばす、
・不稔細胞を持つ
・雄性配偶子2個を形成する。
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21. ソテツ類、イチョウ類、球果類の胚の発達の特徴について、共通点と相違点が分かるように説明して下さい。
ソテツ;遊離核形成が先行する。その後細胞壁形成を経て胚の器官分化が始まる。
イチョウ:ソテツと同様に遊離核形成が先行。ソテツのように明確な杯柄は形成されない。
球果類:遊離核期は短い。一つの受精卵から4‐8個の胚が形成される。最終的に残るのは1胚。
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22. グネツム類は以前、被子植物に系統的に近い裸子植物と考えられていたことがありました。その理由となっていた特徴について説明して下さい。 42 43 44
・茎頂の外衣‐内帯構造、
・道管要素を持つ。
・胚珠を包む小苞・外被を持つ。
・2個の雄性配偶子のうち1つが腹溝核と融合することがある。→重複受精と関連?
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23. 被子植物特有の形態的特徴について説明して下さい。 54 55 56 57 58
花は小胞子、大胞子葉、葉状器官からなるシュート。
胚珠は大胞子葉に包まれる→子房
胚珠は2枚の珠皮を持つ
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24. 遺伝子のデータに基づく系統解析から、新たに構築された被子植物の分類体系について、特にエングラー体系と比較しながら説明して下さい。
エングラーでは、系統を見た目で判別し、単純な花→複雑な花へ進化したと解釈。
被子植物亜門の中に離弁花植物亜門と合弁花植物亜門があった。
遺伝子データに基づく解析では、合弁花、離弁花のカテゴリーはなく、真正双子葉類のくくりと、基部被子植物のくくりを分けた。
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1. シアノバクテリアの一次共生によって誕生した系統群を3つ答えよ。 の2
紅藻、灰色植物、緑色植物
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2.葉緑体を生み出した一次共生は進化の過程でたった 1 回起こったとされているが、その理由を答えよ。 の2 11
一次植物の共生者と宿主はともに単系統群を形成しているから
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3. オルガネラ化の過程において共生シアノバクテリアに起きた変化を述べよ の2 15
・ゲノムの縮小
・構造的変化
・細胞周期の統合
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4. 灰色藻の色素体の特徴を述べよ。 の2 20
・色素体は2重膜で囲まれる
・膜の間にペプチドグリカン層が存在
・シアノバクテリアの細胞壁の名残
・ペプチドグリカン壁があるため色素体は細胞外でも形を保つ
・クロロフィルはaのみ
・チラコイド上にフィコビリソーム
・LHCなし(他の全ての葉緑体に存在する色素タンパク質複合体)
・外側色素体分裂リングなし(他の全ての色素体には存在)
・原始的(シアノバクテリア的な)な特徴
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5. 光合成性有殻アメーバのPaulinellaは灰色藻の色素体と類似した有色体と呼ばれる色素体をもつが、この有色体の特徴を述べよ。 の2 25
・フィコビリソームを持つ
・重ならない同心円状のチラコイド
・カルボキシソームを持つ
・ペプチドグリカン層を持つ
・求心的な分裂
・ゲノムサイズが中間的
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6. ニトロプラストとは何か?その特徴を由来と細胞内での役割に着目して述べよ。 の2 38
・窒素固定オルガネラ。
・異なるシアノバクテリアの細胞内共生によって球状体を獲得した。
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7. 紅藻の色素体の特徴を述べよ。 の2 47
・ピレノイド:酵素(特にルビスコ)の塊
・CO2濃縮機構に関与*藻類に一般的
・細胞質基質中のデンプン:ふつうアミロースを欠く
・2重膜、重ならないチラコイド
・クロロフィルはaのみ
・フィコビリンタンパク質
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8. イデユコゴメ綱に属する紅藻の特徴について述べよ。 の2 64
・紅藻の中で最初期分岐群
・単細胞性
・フィコエリスリンなし→青緑色
・酸性温泉に生育
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9. ピットプラグとは何か?その形成過程と役割を説明せよ。 の2 55
細胞を融合させる役割
一次ピットプラグ:姉妹細胞間に形成、不十分な隔壁形成による
二次ピットプラグ:非姉妹細胞間に形成、不等分裂とそれに続く
接合細胞の融合による
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10. Rhodelphis属の特徴を述べよ。 の2 62
・2本の鞭毛
・非光合成
・色素体の痕跡
・捕食栄養性
・淡水湖及びサンゴ礁に生育
・ゲノム情報から非光合成性の色素体(おそらくヘム合成のため)をもつことが示唆
・紅藻の共通祖先はおそらく混合
・栄養性の鞭毛虫だった
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最節約法の長所と短所
最節約法
長所:①祖先状態の形質の復元も可能②系統仮説の検証が可能。
短所:①多重置換などが起こっているなどの場合、誤った系統関係を導く可能性がある②網羅的解析で計算量が膨大になる
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最尤法の長所と短所
最尤法
長所:①他の解析法では誤った系統関係を導くような状況でも正しい系統関係を構築できる可能性が高い②系統関係の確からしさが確率で表現できる③異なる進化モデルを持つ分子主観の情報を総合的に評価可能。
短所:①進化過程をモデル化できない形質には使えない②進化モデルが適切でないと、誤った系統関係を導く③計算量が膨大で、時間がかかる。
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