過失犯
暗記
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過失犯の意義
故意ではなく、過失を成立要件とする見解
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故意処罰の原則
刑法38条1項は故意犯の処罰を原則としており、過失犯は法律に特別の規定がある場合に限って例外的に処罰される
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明文の規定がない場合でも、過失犯は成立し得るか?
特別法の場合にのみ趣旨に照らして存在し得るとする
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認識なき過失とは
行為者が犯罪事実の認識を全く書いている過失
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認識ある過失
認識はあるが認容を書いている過失
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業務上の過失の意義
行為者が業務上必要な注意を怠ったことによって、犯罪事実を発生させた場合における過失
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業務上の過失における「業務」とは
①社会生活上反復継続して行われる事務
②法益侵害の恐れ又は危険防止のための事務
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業務は公私を問うか?
・公私
・主たるか従たるか
・報酬利益の有無
を問わない
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「重大な過失」の意義
通常の過失に対して行為者の注意義務に違反した程度が著しい場合における過失
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過失犯の構造・本質
①旧過失論
②新過失論
③危惧感説
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旧過失論とは?
過失犯の本質を結果予見義務違反のみに求める見解
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新過失理論とは
構成要件・違法性の段階で一般人を判断基準とする客観的注意義務違反を考慮し、注意義務の内容としては結果回避義務を中心に考え、その前提として結果予見可能性を考慮する見解
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新過失論によるところの過失をどのようなことで認められるか?
①予見可能性に基づく結果予見義務
②結果回避可能性に基づく結果回避義務
のいずれかに対する違反
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危惧感説
具体的な予見可能性なしに、有害な結果発生の危惧感・不安感があれば
その危惧感を打ち消すに足る結果防止措置を取る義務が生じ、この結果回避義務に反する行為が過失であるとする見解
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新過失論における過失の意義は?
客観的注意義務違反
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客観的注意義務違反とは?
①予見可能性に基づく結果予見義務
②結果回避可能性に基づく結果回避義務
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注意義務の中心は何か?
結果回避義務
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注意回避義務の認定に留意することは?
「いかなる作為・不作為をすれば結果を回避し得たか」という注意義務の内容を具体的に指摘する必要がある
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結果を回避することが抑々不可能な場合はどうなるか?
結果回避義務自体が認められず、過失犯の成立は否定される
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予見可能性を肯定するためには結果についてどの程度具体的な予見可能性が必要か?
故意犯と同様、客体などについて具体的な認識の可能性までは不要であり、一般人をして結果回避へと動機づける程度の予見可能性があれば足りる
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予見可能性を肯定するためには因果関係についてどの程度具体的な予見可能性が必要か?
故意犯同様、実際の因果経過が予見可能であるかは過失の要件ではない
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予見可能性の程度は
具体的予見可能性説
具体的な結果及び当該結果に至る因果経過の基本的部分の予見可能性が必要
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予見可能性は何らかの結果が発生するかもしれないという危惧感で足りるか?
一般人を結果回避へと動機づける程度の具体的予見可能性が必要
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信頼の原則とは?
被害者や第三者が適切な行動をとることを信頼するのが相当な場合、行為者はそれを前提として適切な行為をすれば足り、その信頼が裏切られた結果として法益侵害が発生したとしても、それに対する過失責任を負わないとする理論
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信頼の原則を新過失論に適用したらどうなるか?
結果回避義務が否定される
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信頼の原則の適用条件とは?
①他の者が適切な行動をすることに対する現実の信頼が存在し
②その信頼が社会生活上相当なものであること
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危険の引き受けとは?
被害者が結果発生には同意していないものの、その危険にさらされていることの認識・認容があるなど一定の関与が認められる場合
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危険の引き受けがあった場合における、危険を作出した行為者が刑事罰を免れる法的根拠・要件は?
①被害者が予見の範囲内で生じる危険の発生を自己の危険として引き受け
②その引き受けていた危険が行為者の行為によって現実化し
③その行為に社会的相当性が認められる場合
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