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成熟優位説
Gesell(ゲゼル)
環境的要因にかかわらず、発達が進む速さや順序は個人の遺伝子により規定されているとする説
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レディネス
心身の成熟によって成立する学習が可能になるための学習準備状態
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階段上りの訓練
①ゲゼル:一卵性双生児の乳児二人に対して行った。より短い期間の訓練でもレディネスが整っているほうが早く階段を登れるようになった。
②片方は生後45週目から6週間、もう片方は正誤53週目から2週間
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輻輳説
Stern(シュテルン)
遺伝的要因と環境的要因が寄り集まって(輻輳して)発達を作り出すという説。
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環境閾値説
Jensen(ジェンセン)
遺伝的な特性が環境の影響を受けて発現すると考える。
環境要因が特性ごとの閾値を超えるかどうかで発現が決まる。
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生理的早産
Portman(ポルトマン)
ヒトの乳児は感覚器はよく発達しているが、運動能力は未発達
⇐十分な成熟を待つと難産になるため約1年早く生まれるようになったと考えられている
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原始反射
出生後の一定期間にだけ見られる生得的かつ生理的な反射
①吸啜反射:口に触れたものに吸い付く
②把握反射:掌に振れたものを掴む
③モロー反射:落下感覚を覚えると腕を広げ、その後抱きつくようにする
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選好注視法
Fantz(ファンツ)
乳児に刺激を対提示して、いずれかの刺激をより長く注視すれば弁別できているとする方法。
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馴化
①同じ刺激を繰り返し提示されると反応が減少すること。
②中性的な刺激で起りやすいとされる
③弱い刺激の方が早く起こる
④強い刺激に馴化すると少々の刺激では反応しなくなる
⑤呈示頻度が高いと形成も早い
⑥馴化後、休憩をはさむと反応が回復する(自発的回復)
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馴化法
ある刺激の馴化後、新しい図形を呈示した後に再び反応が見られれば(脱馴化)、弁別できたと判断する。
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社会的随伴性
①他者との相互作用の中で、自分の行動に対して相手が反応すること
②生後2か月以降から検出可能とされる
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スティルフェイス実験
乳児の社会的随伴性に対する感受性を調べる実験
①母と乳児の相互作用中、母が急に無表情になる
⇒②笑顔の減少、視線逸らし、体を触る(沈静行為)、修復行為(発声、笑顔)
⇒③普段は反応してくれることを理解しているため、異変と理解した
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期待違反法
①乳児の認知発達を検証するための実験方法。
②乳児が予想することとは異なる事象を呈示⇒驚きの反応を測定するため注視時間や心拍数の変化みる
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視覚的断崖
ギブソン(Gibson)、ウォーク(Walk)
崖のように見えるガラスの床を子供が渡るかどうか
・奥行き知覚:可能になるのは生後6か月とも、3か月ともいわれる
・社会的参照:母親の表情が笑顔だと渡り、悲しい表情だと渡らない。1歳前後から可能と言われる
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社会的参照
乳児がどうすればいいか判断に困った状況において、母親などの表情を見て自身の行動を決定すること。⇒視覚的断崖
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刻印付け
Lorenz(ローレンツ)
①カモやアヒルが孵化してすぐに目にした動く対象の後を追っていく。孵化後36時間前後(14~18h?)までしか起こらない。
②アマラとカマラ:8歳、1歳半で発見⇒人間らしい行動をとれない
③アヴェロンの野生児:捕獲当時11,12歳⇒言語能力はほぼ取り戻せず(もともと知的障害があった?)
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臨界期
発達に大きな影響を及ぼす(非可逆的な)出生直後の経験を指して初期経験と呼び、初期経験が成立する時期のことを臨界期と呼ぶ。
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敏感期
人間の場合、初期経験が非可逆的な「臨界期」ではなく、ある種の環境に感受性が高い「敏感期」とする説が支持されている
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3か月微笑、8か月不安
精神科医のSpitz(スピッツ)
①生後2、3か月頃:どの人に対しても区別なく微笑みかける
②生後8か月頃:愛着対象とそれ以外の区別⇒人見知りを示す
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共同注意/注視
①自分と他者が同じものに注意を向けること
②他者が指差しをした方向を向く/他者と興味や注意を共有するために指さしをする
③3項関係の成立に深くかかわる
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3項関係
①1歳頃に成立する「私―あなた―もの・こと」の関係。
⇒②「私―あなた」の2項関係を抜け出し、人を介して物事とかかわったり、物事を介して人とかかわったりすることが可能になる
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ピアジェの認知発達論
子どもの認知や思考様式を、①感覚運動期 ②前操作期 ③具体的操作期 ④形式的操作期 の4つに分けた。
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感覚運動期
0~2歳
①同化や調節・均衡化を通して、シェマを形成し、外界を理解する。
②対象の永続性(視界から消えても存在を認識できる)を獲得する(第4段階:8~12か月)。
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対象の永続性
ピアジェが提唱したよりも早い段階から対象の永続性を獲得していることが示された
Baillargeon(ベヤージョン)
①生後3,4か月の乳児も対象の永続性を獲得している
②隠されたものを探し出せないという点はピアジェと一致する(運動スキルの問題)
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同化・調節・均衡化
①同化:感覚野運動を通じて外界の性質を自身のシェマに取り込んで処理すること
②調節:外界の性質に合わせてシェマを変化させること。
③均衡化:同化と調節を繰り返してさまざまな事象を安定的に処理できるようになること
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循環反応
乳児のある行動が何らかの結果をもたらすとき、それを繰り返しすこと
①第一次(1~4m):自分の体に関する反応
②第二次(4~8m):外部に興味を持つ
③第三次(12~18m):外界に働きかける
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クーイング
生後6~8週間頃
機嫌の良い時の「アー」「クー」という喉の奥から発せられる音
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喃語
生後5~6か月
①「バブバブ」のように子音と母音から構成される複数の音節を含んだ発声
②コミュニケーションの役割;要求や感情によって微妙に音調が変わる
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初語
1歳頃
「ママ」「ワンワン」など
一語文:1つの単語でもそれ自体を指すだけでなく、「ワンワン(がいた)」といった意味を含む場合もある
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前操作期
2~7歳
①イメージ(表象機能)と言葉(象徴機能)による外界の理解。
②自己中心性や保存の未獲得がみられる。
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前概念期
2~4歳
包括的概念や関係概念が理解できず、過小限定や過大拡張がみられる
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直観的思考期
5~7歳
数や大小を認識できるようになるが、対象の見かけに左右されてしまう
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自己中心性
①自分と他人を明確に区別できず、他者の視点を理解できないこと。
②三つ山課題で他者の視点取得ができない。
③自己中心語:他者を意識しない独り言のような発話。
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自己中心語
ピアジェの論。 自己中心性を持たない3歳頃前操作期の幼児は、他者の視点を持つことができない。⇒幼児の発話は他者とのコミュニケーションと言うよりも独り言のように聞こえる。
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心の理論
①プレマック(Premack, D.)が提唱した、他者を自分とは異なる信念や糸を持った行為者として捉え、その信念や意図を推し量る能力のこと。
②自閉症の4歳児は誤信念課題ができず、自閉症児の抱えるさまざまな問題は、心の理論を持たないことが原因ではないか、と考えられるようになった。
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誤信念課題(サリーとアンの課題)
バロン・コーエン Barron-Cohen, S.
①3歳以前:自分が知っていることとサリーが知っていることを区別できない⇒「右の箱」と答える ・4~5歳ぐらい:「本当は右の箱だが、サリーは左の箱だと思っている」と答えられる
②ピアジェが具体的操作期(6歳以降)にならないと他者の視点を持てないとしたことの反証
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アニミズム
前操作期の子供が、無生物も自分と同じように生きていると感じると考える説。
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保存の未獲得
①保存…見た目が変化しても、対象の本質が変化していないこと、を理解できていない。
②コップの水をより細いコップに移し替えると、水位が高くなったことで量も増えたと思ってしまう。
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第一次反抗期
大人が何を言っても拒否や否定をする。自己主張が強く、悪いことをしても謝らない
⇐自己と他者の区別、自我が芽生える
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パーテンの遊びの発達
遊びを社会的行動と捉え、社会性の観点から遊びを分類した。
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ひとり遊び/並行遊び
2歳代
ひとり:他の子と近くにはいるが独立して遊ぶ
並行:近くの子供と同じ玩具で、交わらない
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傍観者遊び
2歳半~3歳
他の子供を観察する。話し掛けることもあるが、明らかに一緒に遊ぶわけではない。
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連合遊び、協力遊び
3歳以降
連合:玩具の貸し借りや遊びや会話(未組織)
協力:組織化された集団遊び、役割分担
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具体的操作期
6~12歳
①具体的な事物に対し、実物に触れなくても頭の中で持ち上げたり、回転したりと言った心的操作が可能となる。
②保存の概念を獲得し、論理的な思考が可能となる。
③脱中心化:自己中心性から脱し、他者の視点を獲得できるようになる。
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保存の獲得
可逆性、同一性、相補性を獲得し、見かけに左右されなくなる
「元に戻せば同じである」
「付け加えたり取り除いたりしていないから同じである」
「物のある側面が他の側面を補う」
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形式的操作期
12歳以降
抽象的な概念についても心的操作が可能となる。
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ヴィゴツキーの発達理論
Vygotsky
①認知発達は社会(大人)との共同行為を通して行われ、文化・社会的環境を内化していく過程であるとした。
②言語は周囲の人とのコミュニケーションの道具としての役割が先立ち(外言)、やがて思考のための内言に変化する
(精神間機能⇒精神内機能に変化する)
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発達の最近接領域
①周囲の人の協力を借りて解決できる「明日の発達水準」と自力で問題解決できる「今日(現下)の発達水準」に分けたとき、この2水準のずれの範囲。
②この領域に働きかけることで発達可能な水準を高める
③レディネスを待つのではなく、レディネスを積極的に形成するという能動的な教育観を支持する
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内言と外言
Vigotsky
①内言:思考の道具として発話せずに頭の中で用いられる自身への語り掛け。
②外言:他者への伝達を目的とした発話による語り掛け。
③コミュニケーションのための外言から思考のための内言へ移行する
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ピアジェ=ヴィゴツキー論争
幼児の言語活動に関して2点
①幼児の言語は他者とのコミュニケーション …ピアジェ× /ヴィゴツキー〇
②独り言の消滅 …ピアジェ:他者の視点を持つことで伝達を意識(脱中心化)/ヴィゴツキー:内言の獲得
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ギャング・グループ
小学校中~高学年頃
①同性、男児に特徴的
②同一行動:同じ遊びをする⇒親密性
③権威に対する反抗性、他の集団への対抗性、異性集団への拒否性
*現代社会では消失しているとも言われる
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チャム・グループ
思春期前期の中学生
①同性、女児に特徴的
②同じ趣味・関心・部活動などで結びつく
③同一言語:自分たちにしかわからないことばを作り出す⇒集団の境界線を引く
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ピア・グループ
高校生くらい
①男女混合、年齢差があることも
②互いの価値観・理想・将来について語り合う関係
③異質性をぶつけ合い、認め合う⇒互いを尊重し共存できる
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コールバーグの道徳性の発達
Kohlberg
道徳性は6つの段階を経て発達するとした
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前慣習的水準
⇐コールバーグの道徳性の発達
①罰と従順志向
罰を回避し、権威に服従する
*捕まるからしない
②報酬と取引への志向(道具的相対主義)
自分や他者の欲求充足、損得
*こうすれば自分/母は嬉しい
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慣習的水準
⇐コールバーグの道徳性の発達
③他者への同調
よい子への志向、他者の肯定
例)家族や世間からどう思われるか
④法と秩序志向
権威を尊重、義務としての秩序維持
例)法律は守らないとだめ
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脱/後慣習的水準
⇐コールバーグの道徳性の発達
⑤社会契約志向
自由や平等、社会契約を重視
例)A社の値段のつり上げは消費者の生活を脅かす。独占禁止法によって規制されるべきだ
⑥普遍的な倫理原則
正義について自ら選んだ基準、人間の尊厳の尊重、良心
例)生命の価値はあらゆる法を超越する
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エリクソンの発達段階説
Erikson
①発達における自我の機能を重視した。
②8つの心理社会的発達段階を設定した
③それぞれの段階で直面する発達課題や心理社会的危機を克服することで発達していく
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発達課題・心理社会的危機
①乳児期(0~1歳半)…基本的信頼vs基本的不信
②幼児前期(1歳半~3歳)…自律性vs恥・疑惑
③幼児後期(3~6歳)…積極性vs罪悪感
④学童期(6~12歳)…勤勉性vs劣等感
⑤青年期(12~22歳)…アイデンティティの達成vsアイデンティティの拡散
⑥成人期(22~35歳)…親密vs孤立
⑦中年期(35~60歳)…生殖vs停滞
⑧老年期(69歳以降)…統合vs絶望
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第二次性徴
①男子…精通、声変わり、肩幅の広がりなど 女子…乳房の発達、腰幅の広がり、皮下脂肪の発達、初潮など
②肉体的に大人に接近し、子供ではない・親の価値観を盲目的に受け入れられない
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発達加速現象
世代が新しくなるにつれて身体的発達が促進される現象
身体と性の発達の、世代・地域による差異が指摘される
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年間加速現象
異なる世代間での発達速度の違い
①成長加速現象:身長や体重などが世代の進むごとに増加する
②成熟前傾現象:初潮や精通の発現年齢が若年化する
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発達勾配現象
同一世代でも地域や民族、階層などで見られる発達速度の違い
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心理的離乳
青年期前期頃
親からの心理的自律、情緒自律性の獲得
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アイデンティティ/自我同一性
①不変性→自分が他者とは代替不可能な固有の存在である
②連続性→過去・現在・未来を通して自分自身が一貫して同じ自分である
③帰属性→ある特定の社会集団に所属してその集団に受け入れられている
④主観的な自己と社会的な自己が一致した感覚
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アイデンティティ・ステイタス
Marcia(マーシャ)
青年期におけるアイデンティティの状態は、危機と積極的関与によって決定される
①危機…生き方の選択肢について思案・決定する
②積極的関与…選択した生き方への取り組み方
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アイデンティティ達成
危機を経験し、選択・決定した生き方に対して積極的に関与している青年
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アイデンティティ拡散
積極的関与の無さから、自己が混乱し社会的位置づけを失った状態
・危機前:生き方について真剣に悩んだ事がない
・危機後:全ての選択肢を可能なままにしておく
⇒否定的アイデンティティの選択
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否定的アイデンティティ
否定的感情を回避するため、社会的に望ましくないが、最も現実なものへの同一化に基礎を置く
「どうせ、私は○○だ」
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早期完了/フォークロージャー
①危機を体験することなく積極的関与をしている状態
②親や社会の価値観をそのまま受け入れ、早期から生き方を決めた状態
③既存の価値観が通用しない場面でひどく混乱することもある
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モラトリアム
自我同一性(アイデンティティ)の探求のため、本来大人が背負うべき義務や責任が免除されている期間
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モラトリアム
・古典的モラトリアム
①社会的義務や責任を負うことが猶予されている
②社会から一定の距離をとりながら自己を探求している段階、半人前意識
③モラトリアム人間:快楽主義的
④第3のモラトリアム:真面目で堅実だが後れを取る不安を持っている
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中年期危機
①身体機能の低下、職場や家庭での役割の変化
②アイデンティティの再確立が必要となる
更年期障害、自己認識欲求、自己の有限性の自覚
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空の巣症候群
子供が巣立つことによるアイデンティティの揺らぎに伴う精神の不安定性
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ユングの発達理論
①人生を少年期、成人前期、中年期、老年期に分けた
②40歳前後の成人期後期を「人生の正午」と呼び、転換期と捉えた
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レヴィンソンの人生の四季
Levinson
①4つの職業群の40人の男性に面接調査を行い、児童期・青年期を春、成人前期を夏、成人中期を秋、老年期を冬に例えられるとした
②生活構造が安定する時期と過渡期が交互にやってくるとした
②40歳からの5年間を「人生半ばの過渡期」と名付けた
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サクセスフル・エイジング
よりポジティブに個人の加齢に対峙しながら老いの時期を生き抜くという概念
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活動理論
Havighurst(ハヴィガースト)
中年期の活動や態度を引退後も継続することが望ましい
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離脱理論
Cumming(カミング)、Henry(ヘンリー)
引退後は活動的な生活から離脱することが社会としても個人としても良い
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継続性理論
Atchley(アッチェリー)
引退前の対処方法を継続し、連続性を保ちながら変化に対応することで適応が促進される
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SOC理論
Baltes(バルテス)
選択・最適・補償の3つの適応方略を用いてサクセスフルエイジングを達成する
・選択:特定の活動への専念など、有限な資源の振り分け
・最適:身体能力に見合った環境調整などを通し、変わらない行動を維持する
・補償:資源の喪失に対処できない場合、代替になるような行動や支援で埋め合わせる
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ICF/国際生活機能分類
①2001年にWHOが提唱した、健康状態に関連した要因や生活機能を包括的にとらえるモデル
②人間の生活機能と障害について「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの次元及び「環境因子」等の影響を及ぼす因子で構成されている。
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発達の生態学的モデル
Bronfenbrenner, 1979
発達を生態学的に、システムとしての環境との相互作用の過程としてとらえた
①マイクロシステム:子供が直接かかわる場面;学校
②メゾシステム:マイクロシステム同士の相互作用;家と学校
③エクソシステム:本人にかかわる他者が所属する;家族の職場
④マクロシステム:国や文化
⑤クロノシステム:時間に伴うシステムの変化
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DoHad仮説
Barker(バーカー)ら
胎児期や出生後早期の環境が成人後の慢性疾患のリスク要因になる
①ナチス・ドイツによる食糧封鎖を経験した妊婦の子は、肥満・統合失調症などのリスクが増大
②胎内の劣悪な環境への適応がエピゲノム変化を引き起こす⇒良好な胎外環境には過剰適応
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スキャモンの発育曲線
Scammon
20歳時点での発育率を100%としたときの臓器や器官ごとの発育パターン
①一般型:身長・体重・骨格・筋肉・呼吸器・消化器…乳幼児で急速に発達
②神経型…出生直後急激に発達、4~5歳で80%
③生殖型…思春期に急激に発達
④リンパ型…12~13歳で急激に発達し成人を超える、思春期以降は成人水準に
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情動知能(EI, EQ)
Mayer(メイヤー)、Salovey(サロヴェイ)
自分自身や他者の情動を認識・表出・理解・コントロールする知能や能力
人間関係や非行、リーダーシップなど、さまざまな社会的適応性と関連すると言われる
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ソーシャル・コンボイ
Kahn(カーン)、Antonucci(アントヌッチ)
①動的なソーシャルサポートのネットワークを3つの同心円による階層構造で表す
②中心から配偶者・家族⇒親族・友人⇒知人、専門家 の順(変化しやすさの順)
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Neisserの自己理論
5種の自己知識
①自己知識:自己概念についての知識
②生態学的自己 :身体が物理的な環境の中でどのようにあり、相互作用しているか。触る・よけるなど、生後すぐにみられる
③対人関係的自己:視線を合わせる、共同注意、模倣、感情表現など他者との直接のやりとりを通じて形成される自己の感覚 。他者とのやりとりの中で生まれる自己の感覚
④概念的自己:自己に関する物語、信念、記憶、役割など、抽象的で言語的な知識に基づいて形成される自分についての理論
⑤拡張的自己:過去の記憶に基づいて想起、あるいは予測する
⑥私的自己:他者に話さない
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内在化・外在化問題行動
①内在化問題行動:過度の不安や恐怖,抑うつ,社会的引きこもりなど自己の内部に問題を含むもの
②外在化問題行動:攻撃,非行,かんしゃく,多動性など,周囲の人々との間で軋轢を生じさせ,環境との葛藤を含む。
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レジリエンス
①心理的な傷つきや落ち込みから立ち直る回復力や柔軟性のこと。
②先天的な資質的レジリエンスと、後天的な獲得的レジリエンスに分類される。
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資質的レジリエンス
先天的;楽観性、統御力、社交性、行動力
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獲得的レジリエンス
後天的;問題解決志向、自己理解、他者心理の理解
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ハーディネス
ストレスに対する頑健性。3つのCからなる。
①コミットメント…自分の存在や好意に価値があると感じ、人生の様々な状況に自分を十分に関与させる傾向。
②コントロール…出来事の推移に対し自分が影響を及ぼすことができると信じ行動する傾向。
③チャレンジ…人生における変化を安全・安心に対する脅威ではなく、成長するための刺激とみなす傾向。
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ヴァルネラビリティ
ストレスに対する脆弱性。
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センス・オブ・コンヒアレンス
①ストレスに対する首尾一貫感覚
②把握可能感、処理可能感、有意味感からなる
③ストレス刺激を把握し、処理し、意味を見出すことで自らの成長につなげていく。
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セルフ・コンパッション
①自分自身を受け入れて優しい気持ちを向ける力
②困難へのポジティブな反応:自分へのやさしさ、マインドフルネス、共通の人間性
③困難へのネガティブな反応:自己批判、過剰同一化、孤独感
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マインドフルネス
出来事や自分の感情をありのままで受け入れ、バランスの取れた見方をすること。それが困難になると、否定的な感情に支配されてしまう「過剰同一化」になる。
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サピア=ウォーフ仮説
①我々の認知や思考は、母国語に規定される
例)英語は"brother"のみだが日本には「兄」「弟」がある⇒出生順が意識される
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愛着
①ボウルビィ(Bowlby, J.)が提唱した養育者と乳児との間に成立する情緒的な絆のこと。
②ネガティブな情動が発生した時(危機的状況にあるとき)、特定の対称への接触・近接を求め、その状態を維持しようとする個体の傾向。
母子のかかわりを通して
③自分の行動によって環境を変化できるという有能感や
④相手の反応を受け止めて返す感受性が育まれる
⑤母親を安全基地として周囲を探索する⇒身体的な発育、好奇心、知的な発達
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ハーローの代理母実験
①ハーロー(Harlow, H. F):サルが授乳器を持つ針金製の代理母より、授乳器のない(タオルで包まれた)代理母に好んで接触したという実験。
②一次的要求<スキンシップ(コンタクト・コンフォート)⇔シアーズの二次的動因説
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施設症(ホスピタリズム)
①乳幼児の保護施設に預けられた子供たちに特徴的な発達の遅れ
②身体的な発達、協調性・自発性の欠如など。
③ボウルビィは母子のスキンシップを中心とした相互作用の欠如により、愛着の欠如(母性剥奪)が起きていると考えた
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母性剥奪
Bowlby(ボウルビィ)
①乳幼児と母親の関係:親密的、持続的、満足と幸福感
②欠如すると全般的な発達の障害を引き起こす。内的作業モデルでは、物理的喪失だけではなく内的対象としての母親の喪失でもある
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内的作業モデル
愛着関係を基に形成される、対人関係の枠組み
①“自分は他者に愛され援助される価値のある存在なのかどうか”という自己に関する表象と
②“他者は自分を愛し援助してくれる存在なのかどうか”という他者に関する表象を形成する
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ストレンジ・シチュエーション法
Ainsworth(エインズワース)
①母子の分離・再会場面における子供の行動によって、愛着のタイプを分類した
②当初は3種類、のちにマインとソロモンがDタイプを定義した
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Aタイプ(回避型)
①分離の際に不安を示さない
②母親を避ける。再会時にも喜んで迎え入れない
③母親とかかわりなく行動する
④母:働きかけが否定的
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Bタイプ(安定型)
①分離の際に多少の泣きや混乱
②再会時の身体接触ですぐに収まる
③探索行動に積極的
④母:敏感かつ適切な反応
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Cタイプ(アンビバレント型)
①分離の際に強い混乱や不安
②再会時に強い身体接触を求め、怒りを示し強くたたく
③探索行動がみられにくく、母にくっついている
④母:シグナルに応じるものの一貫していない/敏感でない
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Dタイプ(無秩序・無方向型)
①統一感のない行動。顔を背けながらの接近・しがみついたかと思えば倒れ込む(矛盾した態度)
②ぎこちない動き、場違いな表情をうかべながら動かないなど
③母:極度の精神的不安定さや虐待など
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統制型
①Dタイプからの分化⇒母との役割逆転
②統制‐懲罰型 …子ども:親に攻撃的で辱める言動をしたり、攻撃的で暴力的 /親:統制できない無力感、育児ストレス
③統制‐世話型…子供:親に対して支援的で、慰めたり、過剰に暖かく接する /親:抑うつなどで周りに注意を向けづらい
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分離―個体化
Mahler(マーラー)
乳幼児が母親との共生と再接近を繰り返しながら、2~3歳頃に「個」としての自身を獲得するという概念
~1~2m:正常な自閉期
・自己と外界の区別がない
~4~5m:正常な共生期
・自己の内界への注意
---分離・個体化期---
~8m:分化期
・自他を区別しようとする行動/外界への興味
~15~18m:練習期
・一時的に母から離れるが時折接近
~25m:再接近期
・一人歩き/分離不安
~36m:個体化期
・現実吟味、時間の概念、空想と言語の交流
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再接近危機
生後15~25か月頃
①一人歩きできるようになる喜び⇔分離不安
②まとわりやしがみつき⇔飛び出し
③母親に対する態度は両価的。不安から接近するときもあれば、母親が追いかけてくれるのを期待するように離れることもある
④この時期に適切な情緒的応答を与えられないと、幼児は傷つき、不安的な状態になる
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可塑性
①経験を通して新しいことを学習していく能力
②出生直後は可塑性が高い
③初期経験で学習したことは可塑性が低いとされる
④哺乳類は可塑性が高く臨界期を過ぎても修正の可能性があるため、敏感期と呼ばれることもある。
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ピグマリオン効果
①教師が生徒に持つ期待に沿う形で生徒が変容すること。
②ローゼンソール(Rosenthal, R.)の実験…実験群:教師に、この子たちは必ず伸びるという情報が伝えられた。⇒成績が伸びた
③その後の研究で、教師の期待が高い群では教師とのかかわり方にいくつかの違いがあることも分かった。
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実験者効果
実験者が自分の仮説を支持するような反応を期待し、それが被験者に伝わることで仮説を支持するような反応が起こりやすくなること。
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賢い馬ハンス
簡単な計算問題に対して答えの数だけ蹄を鳴らすことができるとされた ⇒正解を期待する観客や飼い主の態度を敏感に感じ取って答えを得ていた
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自己成就的予言
自身の期待を現実にしようと、期待が無意識化で行動や態度に反映され、その結果、期待が現実になること。
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光背効果(ハロー効果)
一つのよい特徴によって他の特徴もよい方向に捉えたり、その逆で1つの悪い特徴によって他の特徴も悪い方向に捉えたりすること。
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