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引当金
①将来の特定の費用または損失であって、②その発生が当期以前の事象に起因し、③発生の可能性が高く、④その金額を合理的に見積もることができる場合に計上させる貸方項目のこと。
①評価性引当金、②負債性引当金(債務性のある引当金と債務性のない引当金)に分類される。
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評価性引当金
資産の部に記載される引当金のこと。
例:貸倒引当金
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負債性引当金
負債の部に記載される引当金のこと。さらに債務性があるものとないものに分類される。
債務性のある引当金の例:製品保証引当金、退職給付引当金
債務性のない引当金の例:修繕引当金
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製品保証引当金
販売した製品について一定期間内は無償で修理するという契約で発生する費用に対する引当金のこと。
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売上原価
算定方法
期首商品棚卸高+当期商品純仕入高-期末商品棚卸高
当期商品純仕入高:総仕入高から仕入戻し、仕入値引および仕入割戻等を控除したもの
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仕入戻し
不良品または品違いなどを理由に、仕入れた商品を返品すること。
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仕入値引
不良品または量目不足などを理由に、仕入れた商品の代金を減額してもらうこと。
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仕入割戻
リベート
一定期間に多額または多量の商品を取引した場合に、商品代金の一部を控除してもらうこと。
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仕入割引
買掛金を支払期日より前に決済することによる、掛代金の一部免除額のこと。
本質が利息であるため、仕入からは控除せず、「仕入割引」勘定(営業外収益)として計上する。
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総記法
購入、販売、売上原価の算定、期末在庫などをすべて混合勘定である「商品」勘定で処理する方法のこと。
混合勘定:複式簿記の複数の要素を一つの勘定で示す場合の勘定
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他勘定振替高
仕入れた商品を販売以外の用途に使用した金額を把握するための勘定科目のこと。例:見本品の提供や自家消費、火災など
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個別法
取得原価の異なる商品を区別して記録し、その個々の単価に基づいて、期末商品の価額(期末帳簿棚卸高)を算定する方法のこと。
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売価還元法
期末棚卸資産について原価率を用いて算定する商品の評価方法のこと。
例:スーパー、ホームセンター
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原価率(売価還元平均原価法)
算定方法
(期首原価+当期仕入原価)÷(期首売価+当期仕入原価+原始値入額+値上-値上取消-値下+値下取消)
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原価率(売価還元低価法)
(期首原価+当期仕入原価)÷(期首売価+当期仕入原価+原始値入額+値上-値上取消)
分母から値下および値下取消を除く
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無形固定資産
具体的な形態を持たないが利益を獲得するうえで他企業に対する優位性をもたらす、法律上の権利または経済的事実であり、長期にわたり利用される資産のこと。
残存価額をゼロとする定額法で償却する。記帳方法は直接法。
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特許権
新発明を一定期間独占的・排他的に利用する権利のこと。
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商標権
自己の営業にかかる商品であることを表す商標を一定期間独占的に利用しうる権利。
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のれん
ある企業が同業他社に比べて高い収益性(超過収益力)を有する要因のこと。
例:立地条件が優れていること。従業員の技術や営業手腕が卓越していること。製法上の秘伝や秘訣があること。製品ブランドの知名度が高いこと。
償却期間最長20年
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ソフトウェア
コンピューターを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム等のこと。
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投資その他の資産
営業に供する目的以外で長期間にわたって保有する固定資産のこと。
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投資有価証券
満期保有目的の債券・その他有価証券のうち、流動資産に属さない有価証券のこと。
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投資不動産
貸借収益・キャピタルゲインの獲得目的で保有する不動産(貸借等不動産)のこと。時価評価は行わないが、時価情報を注記する。
キャピタルゲイン:株式や債券等、保有している資産を売却することによって得られる売買差益のこと。
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長期貸付金
貸付金のうち、返済期日が決算日から起算して1年超に到来するもののこと。
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繰延税金資産
税効果会計の運用により、将来の税負担の軽減について計上するもの。
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長期前払費用
前払費用のうち1年以内に費用とならないもののこと。
経過勘定のうち、1年基準より分類するのは前払費用のみ。その他の経過勘定は流動資産。
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繰延資産
既に代価の支払いが完了し、または支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現すると期待される費用。その効果が及ぶ期間に合理的に配分するために、経過的に資産として計上されるもの。
繰延資産には財産的価値がない(費用だから)
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株式交付費
新株発行および自己株式の処分のために要した費用のこと。償却期間:3年以内
定額法
営業外費用
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社債発行費等
社債等の発行のために要した費用のこと。償却期間:社債の償還期間
原則:利息法
容認:定額法
営業外費用
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創立費
会社成立のために要した費用のこと。償却期間:5年以内
定額法
営業外費用
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開業費
会社成立後営業開始までに支払われた開業準備のための費用のこと。償却期間:5年以内
定額法
原則:営業外費用
容認:販管費
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開発費
①新技術または新営組織の採用 ②資源の開発 ③市場の開拓などのために特別に支出した費用のこと。償却期間:5年以内
定額法その他合理的な方法
売上原価または販管費
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賞与引当金
来期に支給する賞与のうち、当期に帰属する額を見積もって計上する引当金のこと。
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債務保証損失引当金
他社の債務を保証している場合に、主たる債務者が期日に債務の弁済をすることを危うくするような事象が生じ、主たる債務者にかわって弁済する可能性が高くなるときに設定する引当金のこと。
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売上総利益
算定方法
売上高-売上原価
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原価率
売価に対する原価の割合のこと。
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売上総利益率
利益率
売価に対する売上総利益の割合のこと。
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利益加算率
加算率・付加率
原価に対する売上総利益の割合のこと。
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正味売却価額
売価-見積追加製造原価及び見積販売直接経費
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種類別
原則
個々の商品の種類別に原価と正味売却価額の比較を行う方法のこと。
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グループ別
容認
数種類の商品をグループとし、グループごとの原価の合計額と正味売却価額の合計額との比較を行う方法こと。
切放法を採用できない
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切放法
評価損益の戻入れを行わない方法のこと。
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洗替法
評価損益の戻入れを行う方法のこと。
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トレーディング目的の棚卸資産
市場価格の変動によって利益を得ることを目的として保有している棚卸資産のこと。
時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益(営業外損益)とする。
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株式
株式会社に資金を出資することで発行される証券のこと。配当金を受け取ることができる。
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社債
会社が不特定多数の者から資金調達を行う際に発行される証券のこと。利息を受け取ることができ、一定期間経過後に元本の返済を受けることができる。
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売買目的有価証券
時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券のこと。
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満期保有目的の債券
企業が満期まで保有することを目的としていると認められる社債その他債券のこと。
株式には満期という概念がないため満期保有目的の債券として保有することができない
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子会社株式及び関連会社株式
支配目的及び影響力を行使する目的で保有する株式のこと。
公社債は株式と異なり議決権がないため、子会社株式及び関連会社株式として保有することができない
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その他有価証券
売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式のいずれにも分類されない有価証券のこと。
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約定日基準
原則
有価証券を購入の契約締結時点(約定日)で認識する方法のこと。
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修正受渡日基準
容認
有価証券を約定日で認識せずに、受け渡し時に認識する方法のこと。
有価証券にかかる評価差額の会計処理のみ決算日に行う。
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利息法
原則
利払日ごとに期中仕訳として償却原価法を適応する。
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定額法
容認
決算日ごとに決算整理仕訳として償却原価法を適応する。
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全部純資産直入法
その他有価証券の評価差額の合計額を純資産の部に『その他有価証券評価差額金』として計上する方法のこと。
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部分純資産直入法
時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額は純資産の部に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額は当期の損失として損益計算書に計上する方法のこと。
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減損処理
時価が著しく下落し、かつ、回復の見込みがない又は不明の場合に適応される。
50%以上の下落:著しい下落に該当する
30%以上50%未満の下落:各企業で合理的な基準を設定し、著しい下落に該当するか判断する
30%未満の下落:著しい下落に該当しない
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市場価格のない株式等
取得原価で評価し、時価評価は行わない、市場において取引されていない株式(非上場株式)のこと。
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配当落ち日
配当権利付き最終売買日の翌日
その期の配当を受ける権利がなくなる日、またはその日に株価が下がること。
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その他資本剰余金からの配当を受け取った場合
売買目的有価証券以外(その他有価証券又は関係会社株式)の場合には、出資の払戻しとしての性格を重視し、有価証券の帳簿価額から配当額を直接減額する場合のこと。
売買目的の貸方:受取配当金
売目以外の貸方:投資有価証券
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保証債務
P/Lにおいて、保証債務費用と貸倒引当金戻入額は相殺して表示する。
手形の割引や裏書を行った場合、二次的債務である〇〇〇〇(遡求義務)を認識する必要がある。
手形の裏書及び割引を行った手形に対して貸倒引当金が設定されている場合、当該貸倒引当金は取り崩すことになる。(相手勘定は貸倒引当金戻入額)
仕訳
(貸引/貸引戻入)
保証債務費用/保証債務
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破産更生債権
経営破綻している債務者に対する債権で、1年以内に回収できないことが明らかな債権のこと。
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金融資産の消滅の認識
①金融資産の契約上の権利を行使したとき
②契約上の権利を喪失したとき
③契約上の権利に対する支配が他に移転したとき
具体例
①:債権者が貸付金などの債券に係る資金を回収したとき
②:保有者がオプション権(新株予約権)を行使しないままに行使期限が到来したとき
③:保有者が有価証券などを譲渡したとき
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財務構成要素アプローチ
現行制度
金融資産を構成する経済価値とリスクをそれぞれ分割して取引できる財務構成要素とみなし、ある財務構成要素に対する支配が他に移転した場合に、当該移転した財務構成要素のみ消滅を認識し、留保される財務構成要素の存続を認識する考え方のこと。
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リスク・経済価値アプローチ
金融資産を構成する経済価値とリスクとを一体のものとみなし、金融資産のリスクと経済価値のほとんどすべてが他に移動した場合に当該金融資産の消滅を認識する考え方のこと。
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一般債権
数%
経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権のこと。
貸倒実績率法
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貸倒懸念債権
40~50%
経営破綻には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権のこと。
財務内容評価法,
キャッシュ・フロー見積法
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破産更生債権等
100%
経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権のこと。1年以内に回収されることが明らかな場合は稀なため、通常、固定資産として処理する。
財務内容評価法
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デリバティブ取引
原資産の価格や金利等から派生した商品(金融派生商品)を扱う取引のこと。
先物取引、オプション取引、スワップ取引の3つに分類される。
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相対取引
読み あいたいとりひき
取引相手と直接デリバティブ取引を締結すること。
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市場取引
市場を通じて行うデリバティブ取引のこと。
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差金決済
デリバティブ取引で、損益の額だけ現金で決済すること。
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先物取引
将来の一定の期日に、一定の価額で売買することを約束した取引のこと。
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売建
将来の一定の期日に、一定の価額で売る約束のこと。
デリバティブ取引で、値下がり予想。
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買建
将来の一定期間の期日に、一定の価額で買う約束のこと。
デリバティブ取引で、値上がり予想。
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オプション取引
原資産を一定の期日までに一定の価額で売買する「権利」を売買する取引のこと。権利の対価としてオプション料を支払う(返還✖)。オプションを行使するか、放棄するかを選択できる。
買う権利:コール・オプション
売る権利:プット・オプション
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スワップ取引
将来生じるキャッシュ・フローを交換することを約束する取引のこと。
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金利スワップ取引
固定金利と変動金利を交換する取引
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ヘッジ取引
①ヘッジ対象の資産又は負債に係る相場変動を相殺する(公正価値ヘッジ)、②ヘッジ対象の資産又は負債に係るキャッシュ・フローを固定してその変動を回避する(キャッシュ・フロー・ヘッジ)ことにより、ヘッジ対象である資産、負債の価格変動、金利変動及び為替変動といった相場変動等による損失の可能性を減殺することを目的として、デリバティブ取引をヘッジ手段として用いる取引のこと。
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ヘッジ目的
保有する資産・負債に係る相場変動のリスクを回避すること。
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投機目的
少額の資金で大きな利益を得ること。
ギャンブル
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ヘッジ会計
ヘッジ対象に係る損益とヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を適切に反映させるための特殊な会計処理のこと。
繰延ヘッジと時価ヘッジがある
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繰延ヘッジ
ヘッジ手段の時価評価によって生じた損益を「繰延ヘッジ」勘定を用いてヘッジ対象に係る損益が認識されるまで、純資産に繰り延べる方法のこと。
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時価ヘッジ
ヘッジ対象の相場変動等を損益に反映させ、損益の計上タイミングをヘッジ手段に合わせる方法のこと。現行制度上、その他有価証券にのみ適応される。
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特例処理
金利スワップを時価評価せず、金銭の受払などの純額を当該資産又は負債に係る利息に加減して処理すること。
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5章・無形固定資産 ~ 12章・デリバティブ取引