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ジェームズ=ランゲ説/末梢起源説
①生理的変化が先に生じ、その変化を脳が受信することで情動が発生するという説。
②ジェームズ(James, W.):ある刺激が大脳皮質で知覚されると,内臓や骨格筋といった身体反応が生じ,その変化が脳に伝わり、感情というものが知覚される
③ランゲ(Lange):ほぼ同時期に,血管の反応に着目し血管運動のパターンによって,怒りや悲しみといった感情が識別されると考えた
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闘争―逃走反応
Cannon(1914)
①怒りや恐怖を感じるとアドレナリンが分泌され,エネルギーを必要な身体の部位にまわすようになる。(交感神経系の賦活)→このような仕組みは,生体の生存確率を高めるために役に立つ
②後にストレス研究に引き継がれた。(急性ストレス反応(英語: acute stress response)とされることもある。)
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シャクター・シンガー説/情動の二要因説
①情動の生起には[* 生理的喚起]と、その生理的喚起に関する[* 認知的解釈]の二要因が必要とする説。
②シャクター(Schachter, S.)とシンガー(Singer, J.)の実験(1964)
・ビタミン剤と称してアドレナリンを打つ⇒怒りを感じる。「自分も怒りを感じているから」;誤った解釈
・説明したうえでアドレナリンを打つ⇒怒りを感じない。「注射のせいだから」;適切な解釈
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吊り橋効果
危険なつり橋を渡ることによって生じた興奮(生理的喚起)を、女性の魅力による興奮と考えてしまう(認知的解釈)。
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認知的評価理論
Arnold (1960)
刺激と反応(感情体験も含む)の間にあるものは,認知的評価(cognitive appraisal appraisal)であると考えた
例)熊が現れる⇒「怖い」認知⇒逃走
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ザイアンス-ラザルス論争
ラザルスは感情の生起から派生し、ストレスの生起過程においても認知の重要性を主張した。一方、ザイアンスは単純接触効果の例を挙げ、感情の生起に認知は必要ないとした。最終的にお互いがどこまでを認知と認めるかが一致せず、この論争に決着はつかなかった。
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ストレスの認知的評価理論
Lazarus(1966)
・一次的評価(例:害があるかどうか)と
・二次的評価(例:対処できそうかどうか)に区別した
例)熊が現れる⇒倒せる⇒余裕⇒闘争
⇒倒せない⇒恐怖(逃走)
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ザイアンスの感情についての理論
Zajonc(1980)
①[単純接触効果/mere exposure effect effect]に基づいて,感情の生起に認知的評価が必ずしも必要ではないことを主張。
②閾下呈示された(認知できない)刺激によっても感情は形成される⇒認知的評価より先に感情が生じる
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基本情動理論
Ekman(1992)
①特定の感情には,特有の表情があり,人間の遺伝子に組み込まれている⇐ダーウィンの進化論から
②6つの基本情動(恐れ(fear),驚き(surprise),怒り(anger), 嫌悪(disgust),悲しみ(sad),喜び(happy))
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内発的動機付け・外発的動機付け
内発的動機付けとは、外的な賞や報酬に依存しない動機付けであり、外発的動機付けとは、行動に伴う外的な賞や報酬に依存する動機付けである。
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感性動機づけ
内発的動機付けの一つ
①環境からの刺激を求め、環境に自ら働きかけたいという動機付け。
②ヘッブの感覚遮断実験
触覚、聴覚、視覚を著しく制限した状態でベッドの上で何もしないでじっと横になっている状態でいつまで耐えられるか⇒ほとんどの参加者が48時間も耐えられなかった。
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好奇動機づけ
内発的動機付けの一つ
①新奇な刺激を求める動機付け。
②窓があるが締めてあって外が見えない部屋に入れられたサル・その外側からおもちゃの汽車の音がする
⇒汽車を覗くために窓を開けることを学習する(窓から外が見えることのみが報酬)
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操作(活動性)動機付け
内発的動機付けの一つ
①ハーローのアカゲザルの実験:道具などを操作したいという動機付け
②パズルを置いておくと、アカゲザルは実験者が操作しなくとも自ら熱心に遊び始めた。日を追うごとに正しい反応の割合が増加していった。
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認知動機付け
内発的動機付けの一つ
「頭を使おう」とする動機付け
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エンハンシング効果・アンダーマイニング効果
①エンハンシング効果
内発的動機付けが低い対象に対して外的報酬を与えることで、やがて内発的動機付けが高まっていくこと。
②アンダーマイニング効果
内発的動機付けが高い対象に対して外的報酬を与えることで、内発的動機付けが低下してしまうこと。
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達成動機・親和動機
①達成動機:優れた目標を設定し、それを達成することを目指す。
②親和動機:他者との関係を重視し調和を目指す。
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欲求階層説
①人間の欲求を生理的・安全・所属と愛情・尊敬・自己実現の5つに分類したマズローの説。
1.生理的欲求…人間の生命維持のための基本的な欲求
2.安全の欲求…危険を回避し、安心感を得たい欲求
3.所属と愛情の欲求…集団に所属し仲間や友人を得たい欲求
4.尊敬の欲求…他者から認められたいという欲求
5.自己実現の欲求…理想とする自分の姿に近づきたいという欲求
②下位の欲求が満たされていないと、上位の欲求は出現しない。
③1~4…欠乏欲求:満ち足りていないものを満たそうとする 5…成長欲求:自己のあるべき姿を模索し成長を求める
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一次的欲求・二次的欲求
①一時的欲求…生命維持のための本能的な欲求;胎内環境を一定に保とうとするホメオスタシスが関係する
②二次的欲求…発達の過程で獲得された欲求
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カフェテリア実験
特定の栄養素を不足させた状態のネズミが、不足している栄養素を多く含む食物を選んで多く食べる
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性格類型論
性格を比較的少数の典型に分類することで、その特徴を捉えようとする方法論のこと。直感的に個人の全体像を理解しやすい一方で、個人差をとらえられず、中間タイプが生じたりする。
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クレッチマーの気質類系
クレッチマー(Kretschmer, E.)」
①体形によって人の気質を分類した
②肥満:躁鬱・循環 細長:分裂 闘志:てんかん
②「普通体型」のような、中間の特徴や両方の特徴を持つ人を分類できない。
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ユングの機能類型
心的エネルギーの「内向・外向] × 心の機能「思考・感覚・感情。直観」の8類型
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性格特性論
①性格を複数の性格特性の集合体と捉え、それらを測定することで個人の性格を把握する手法。
②オルポート(Allport, G. W.)
辞書から人の性格にかかわる約18000語を取り出し、それらを分析
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YG(矢田部ギルフォード)性格検査
①ギルフォード(Guilford, J. P.)の考案した人格目録をもとに、矢田部達郎らが作成した検査。
②抑うつ性、回帰的傾向、劣等感、神経質、客観性、協調性、攻撃性、活動性、のんきさ、思考的外向、支配性、社会的外向の12の性格特性について各10項目、計120項目から構成される。
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16PF性格検査
キャッテル(Cattell, R. B.)
①オルポートが分析した性格語を因子分析を用いて、共通する特徴でまとめる⇒16の特性で説明できると述べた
②各16の特性を2因子(知性的な-知性の無い など)構造を想定
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MPI(モーズレイ人格目録)
①アイゼンクが開発(モーズレイは病院名)
②80項目、3件法
③情緒安定性である「神経症傾向」と社会性である「外向性-社会性」の2つの性格特性を測定
④回答の歪みを判断する虚偽尺度がある
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ビッグ・ファイブ
①外向性、調和性、誠実性、開放性、神経症傾向の5因子からなる。
②ゴールドバーグ他:語彙的アプローチ+統計処理
③2000年代前後から、第6因子として正直さ‐謙虚さが提唱され始める。ダーク・トライアドと関連する
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ダーク・トライアド
①社会的に望ましくないパーソナリティ
②マキャベリアリズム…自身の利益のためなら手段を択ばない傾向
③サイコパシー…冷淡な感情と反社会性、他の人々の痛みを感じにくい傾向
④ナルシシズム…自身に対する誇大感を持ち、それを他者にも強要する傾向
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