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はらから(同胞)の意味
1.兄弟・姉妹
同じ「腹から」生まれたから
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鹿児(かこ)の崎といふ所に、守(かみ)の『はらから』、また異人(ことひと)これかれ、酒なにと持て追ひ来て、磯に下りゐて、別れ難きことをいふ。
兄弟
兄弟・姉妹
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かたへ(片方)の意味
1.片方・半分・一部分2.側・傍ら3.仲間・同僚(傍らの人)
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五年六年(いつとせむとせ)のうちに、千年(ちとせ)や過ぎにけむ、(庭の松の)『かたへ』はなくなりにけり。
半分(一部分)
片方・半分・一部分
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ある荒夷(あらえびす)の恐ろしげなるが、『かたへ』にあひて、「御子(おこ)はおはすや」と問ひしに、
仲間(傍らの人)
仲間・同僚(傍らの人)
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ほどの意味
1.間・うち・時・ころ(時間の程度)2.距離・広さ・あたり(空間の程度)3.身分・地位・年齢(人間の程度)4.様子・ありさま(物の程度)
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またの日、山の穂に日のかかる『ほど』、住吉を過ぐ。
ころ
間・うち・時・ころ(時間の程度)
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(部屋の)『ほど』せばしといえども、夜臥(ふ)す床あり。
広さ
距離・広さ・あたり(空間の程度)
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(桐壺(きりつぼ)の更衣と)同じ『ほど』、それより下臈(げらふ)の更衣たちは、まして安からず。
身分
身分・地位・年齢(人間の程度)
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髪は風に吹きまよはされて、すこしうちふくだみたるが、肩にかかれる『ほど』、まことにめでたし。
様子
様子・ありさま(物の程度)
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さぶらふ・さうらふ(候ふ)の活用
ハ行四段
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さぶらふ・さうらふ(候ふ)の意味
1.(貴人の側に)お仕え申し上げる・伺候する(仕ふの謙譲語)2.あります・おります(「あり」「をり」の丁寧語)3.~です・~(でござい)ます(丁寧の補助動詞)
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(わたしは)宮(みや)の御前(おまえ)近く『さぶらひ』て、もの啓しなど、
お仕え申し上げ
(貴人の側に)お仕え申し上げる・伺候する(仕ふの謙譲語)
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(都には)物語の多く『さぶらふ』なる、ある限り見せたまへ。
あります
あります・おります(「あり」「をり」の丁寧語)
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西国にて左の中将殿失せさせ給ひ『さうらひ』ぬ。
まし
~です・~(でござい)ます(丁寧の補助動詞)
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さやうのことに心得たる者に『候う』。
ございます
~です・~(でござい)ます(丁寧の補助動詞)(「に」は断定の助動詞「なり」の連用形)
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はべり(侍り)の活用
ラ変
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はべり(侍り)の意味
1.(貴人の側に)お仕え申し上げる・伺候する(仕ふの謙譲語)2.あります・おります(「あり」「をり」の丁寧語)3.~です・~(でござい)ます(丁寧の補助動詞)
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夕さりまで(帝の側に)『はべり』てまかり出でける折(おり)に、
お仕え申し上げ
(貴人の側に)お仕え申し上げる・伺候する(仕ふの謙譲語)
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おのがもとにめでたき琴(きん)『はべり』。
あります
あります・おります(「あり」「をり」の丁寧語)
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かの撫子(なでしこ)のらうたく『侍り』しかば、
ございまし
~です・~(でござい)ます(丁寧の補助動詞)(「に」は断定の助動詞「なり」の連用形)
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その北の方(かた)なむ、なにがしが妹に『はべる』。
ございます
~です・~(でござい)ます(丁寧の補助動詞)(「に」は断定の助動詞「なり」の連用形)
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まゐる(参る)の活用
ラ変
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まうづ(詣づ)の活用
ダ行下二
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まゐる(参る)の意味
1.参上する(「行く」「来」の謙譲語)2.(貴人に何かをして)差し上げる(「与ふ」「す」の謙譲語)3.召し上がる(「食ふ」「飲む」の尊敬語)
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まうづ(詣づ)の意味
1.参上する(「行く」「来」の謙譲語)
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宮に初めて『参り』たるころ、
参上し
参上する(「行く」「来」の謙譲語)(「まうづ」は1の意味のみ)
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泉の大将、故左の大殿(おほいどの)に『まうで』給へりけり。
参上
参上する(「行く」「来」の謙譲語)(「まうづ」は1の意味のみ)
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(光源氏は女房に)とく御格子(みかうし)『参ら』せ給ひて、朝霧をながめ給ふ。
お上げ
(貴人に何かをして)差し上げる(「与ふ」「す」の謙譲語)「敬意を伴った名詞(大体「御+名詞」)+参る」だと大体~差し上げる
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親王(みこ)に馬(むま)の顔(かみ)、大御酒(おほみき)『まゐる』。
(ついで)差し上げる
(貴人に何かをして)差し上げる(「与ふ」「す」の謙譲語)
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泉の大将、(中略)外(ほか)にて酒など『まゐり』、酔ひて、
召し上がり
召し上がる(「食ふ」「飲む」の尊敬語)
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まかるの活用
ラ行四段
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まかづの活用
ダ行下二段
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まかるの意味
1.(貴所から)退出する・(都から地方へ)赴く・下る(「出づ」「行く」の謙譲語)2.出かけます・参ります(「行く」の丁寧語)3.(動詞の上につき、謙譲や丁寧の意を表す)(特に訳さなくてよい)
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まかづの意味
1.(貴所から)退出する・(都から地方へ)赴く・下る(「出づ」「行く」の謙譲語)2.出かけます・参ります(「行く」の丁寧語)
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『まかで』なむとし給ふを、暇(いとま)さらに許せば給はず。
退出し
(貴所から)退出する・(都から地方へ)赴く・下る(「出づ」「行く」の謙譲語)
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人のもとに『まかれ』りける夜、
出かけまし
出かけます・参ります(「行く」の丁寧語)
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娘に『まかり』おくれて、またの年の春、桜の盛りに、
訳さない(動詞の前の「まかり」は無視!)
(動詞の上につき、謙譲や丁寧の意を表す)(特に訳さなくてよい)
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あそばす(遊ばす)の活用
サ行四段
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あそばす(遊ばす)の意味
1.(何かを)なさる(「す」の尊敬語)
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御格子(みかうし)あげさせて、御琵琶(おんびわ)『あそばさ』れけるところに、
弾きなさっ
(何かを)なさる(「す」の尊敬語)
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碁『あそばす』
打ちなさる
(何かを)なさる(「す」の尊敬語)
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手跡(て)うつくしう『あそばす』
(文字を美しく)書きなさる
(何かを)なさる(「す」の尊敬語)
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おはすの活用
サ変
サ行四段説やサ行下二段説もある
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おはしますの活用
サ行四段
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おはす・おはしますの意味
1.いらっしゃる(「あり」「行く」「来」の尊敬語)2.~(て)いらっしゃる(尊敬の補助動詞)
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昔、惟喬(これたか)の親王(みこ)と申す親王『おはしまし』けり。
いらっしゃっ
いらっしゃる(「あり」の尊敬語)
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門(かど)をたたきて、「庫持(くらもち)の皇子(みこ)『おはし』たり」と告ぐ。
いらっしゃっ
いらっしゃる(「来」の尊敬語)
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上も聞こしめして、興ぜさせ『おはしまし』つ。
ていらっしゃっ
~(て)いらっしゃる(尊敬の補助動詞)
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(光源氏が)世に知らず聡(さと)うかしこく『おはすれ』ば、
ていらっしゃる
~(て)いらっしゃる(尊敬の補助動詞)
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います・ます・ましますの活用
サ行四段
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いますかり
ラ変
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います・ます・まします・いますかりの意味
1.いらっしゃる(「あり」「行く」「来」の尊敬語)2.~(て)いらっしゃる(尊敬の補助動詞)
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福原の新都に『まします』人々、名所の月を見んとて、
いらっしゃる
いらっしゃる(「あり」の尊敬語)
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右大将に『いまそがり』ける藤原(ふぢはら)の常行(つねゆき)と申す、いまそがりて、
いらっしゃっ
~(て)いらっしゃる(尊敬の補助動詞)
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右大将にいまそがりける藤原(ふぢはら)の常行(つねゆき)と申す、『いまそがり』て、
いらっしゃっ
いらっしゃる(「来」の尊敬語)
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御覧ずの活用
サ変
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御覧ずの意味
1.御覧になる(「見る」の尊敬語)
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(小督(こごう)の失踪後、帝は)夜は南殿(なでん)に出御(しゆつぎよ)なつて、月の光を『御覧じ』てぞなぐさませ給ひける。
御覧になって
御覧になる(「見る」の尊敬語)
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